2025.9.15 (月)
2025 明治安田J1リーグ 第29節
FC東京 × 東京ヴェルディ
( 味の素スタジアム,19:00 )
match memo
- 9月頭のインターナショナルウィークを挟み、2週間ぶりの開催となるJ1リーグ戦。この週末は3連休で、他J1チームの試合は全て土曜日に消化をしたが、我らがFC東京のゲームだけは連休最終日のナイトゲームに設定された。注目を集める本日のホームゲーム、味スタに迎える相手は東京ヴェルディ。今季2度目のダービーマッチである。ヴェルディがJ1に復帰した昨季からの対戦ではドローが続いており、どちらにとってもそろそろ決着をつけたいところ。J1残留争いにおいても、勝点32の15位・ヴェルディと勝点31で追う16位・東京とで順位が接近しており、極めて重要な一戦である。味スタの正面ゲートに続くデッキには青赤ストライプのマットが敷かれ、いつも以上に「ホーム感」を演出。37,424人の観客が詰めかけたスタンドにも、いつもと違った独特の「尖った空気」が支配していた。8月にコアメンバーが相次いで負傷離脱していた東京だが、今節を前にして室屋・森重・高などが続々と戦列に復帰。代わりに俵積田や仲川が戦列を離れたが、スタメンの陣容は8月と比べれば明らかに充実している。なんとしても勝利を飾りたい一戦だ。
- 試合前のコイントスで勝ったヴェルディはコートチェンジを選択。東京はホームゲーム3戦連続で相手にコートチェンジを許す嫌な入りだ。そんな流れもあってか、前半の立ち上がりはヴェルディが勢いをもって入る。開始早々にボックス至近でセットプレーを獲得するなどチャンスが続くが、ここは東京が防いで難を逃れる。しばらくヴェルディにセカンドを回収され苦しい時間の続いた東京だが、14分に森重のシンプルなクリアボールを長倉が収める場面で冷静さを取り戻した。16分にはギリェルメのカットインからゴール正面にこぼれたボールをフリーの遠藤がダイレクトで撃ちにいくが、GK・マテウスの正面。ヴェルディも直後の17分に齋藤のロングシュートがクロスバーを直撃するなど、怖さを見せる。その後は東京が後方からのロングフィードで前線にポイントを作り、そこを起点にチャンスを窺う時間が続いたが、フィニッシュにつながるような形までは作ることができず。むしろヴェルディが上手く守っていたような印象があり、緊張感を保ったまま0-0で前半終了。見た目上は攻めてはいたものの、ゲームの主導権は握られていたような展開だった。このままではワンチャンスを生かされて失点するようなシナリオも否定できず、きわめて厳しい内容だ。
- 後半の入りもヴェルディに良い形を作られる。48分には染野のポストプレーから齋藤にフィニッシュへ持ち込まれると、55分には左CKからスクランブルを作り出され、金承奎がこぼれ球をファンブルして押し込まれかけるなど肝を冷やす場面が続く。しかし60分、東京はゴールキックでのリスタートを金承奎がロングフィードで前線へ送り込むと、相手選手と競り合ったヒアンが頭で裏のスペースに流す。そこにいち早く走り込んだ長倉がバウンドしたボールを左足でふわりと浮かすと、ゴールマウスを空けて前に出ていたGK・マテウスの頭上を越したボールがそのままゴールネットに突き刺さり1-0。これといった決定機を作れていなかった東京が、シンプルな攻撃からのワンチャンスを生かして大きな先制点を奪う。東京はこの先制直後に投入された佐藤と小柏が前線から積極的な守備を敢行。73分には佐藤がドリブルでゴール前まで運び、ゴールマウスを左に少し外れるシュートを放つなど存在感を見せる。長い負傷からのカムバックとなった小柏が相手選手との接触でプレー続行不可能となり、インアウトで下がる残念な場面はあったものの、守備の強度は最後まで高いままだった。最後までヴェルディにこれといった決定機は作らせず、1-0で試合終了。しばらくドロー続きだったダービーマッチにようやく決着をつけた東京が勝点3を上乗せし、ヴェルディを抜いて順位を2つ上げ、14位に浮上している。
- 試合が終わった瞬間、嬉しさよりも大きく胸いっぱいに広がったのは「ほっとした」という気持ちだった。ダービーマッチだから勝ちたかったのは当然だが、それ以上に、ヴェルディに負けることを極端に恐れていた自分がいたことは白状せざるを得ない。なにしろヴェルディ相手に最後にリーグ戦で勝ったのは2008年4月のこと。90分間での勝利も同年6月の旧・ナビスコカップの試合が最後で、2年前の天皇杯でのPK戦決着を除けば、ヴェルディ相手の勝利は実に17年も遡らなければならなかったのだ。それだけ、この17年間は「終わってみれば長く感じる、苦しい歳月」だった。この解放感を「ほっとした」以外の表現で形容することは難しい。総合的にはヴェルディの粘りにかなり苦しめられた90分間だった。特に前半は両サイドのスペースがしっかりと埋められて効果的な崩しがほとんどできず、球際でも勝てずにセカンドボールを拾われる時間帯が多かった。しかし、そんな時に限ってシンプルな崩しがあっさりと決まってしまうから、サッカーは分からない。守備面はほぼ完璧で、ヴェルディの3-4-2-1と噛み合わせが良くない中、皆が必死に戦って勝利を引き寄せたといえるだろう。ホームゲームで3戦連続コートチェンジされる難しい入り方だったにも関わらず、気負わずにクリーンシートで勝ち切れたというのも大きな収穫ではないだろうか。
- 7月の浦和レッズ戦以来5試合ぶりとなるリーグ戦での勝利により、J1残留争いにおいても大きな勝点を得たといえる東京だが、立場自体はまだ盤石なものではない。次節はアウェイで川崎フロンターレとの一戦。しばらく勝てていない等々力でのゲームだが、今日の勝利がどこまでチームに勢いをもたらすか。川崎戦以降も順位が近いチームとの直接対決が続くだけに、今日の勝利がターニングポイントとなってくれることを願いたい。
| FC東京 |
1 |
0 | 前半 | 0 |
0 |
東京ヴェルディ |
| 1 | 後半 | 0 |
|
|
|
| 長倉 幹樹 | 60' | 得点 | | |
| GK | 81 | 金 承奎 | GK | 1 | マテウス |
| DF | 5 | 長友 佑都 | DF | 6 | 宮原 和也 |
| 24 | アレクサンダー ショルツ | | 2 | 深澤 大輝 |
| 3 | 森重 真人 | | 3 | 谷口 栄斗 |
| 2 | 室屋 成 | MF | 17 | 稲見 哲行 |
| MF | 40 | マルコス ギリェルメ | | 7 | 森田 晃樹 |
| 18 | 橋本 拳人 | | 16 | 平川 怜 |
| 8 | 高 宇洋 | | 40 | 新井 悠太 |
| 22 | 遠藤 渓太 | | 8 | 齋藤 功佑 |
| FW | 26 | 長倉 幹樹 | | 38 | 唐山 翔自 |
| 19 | マルセロ ヒアン | FW | 9 | 染野 唯月 |
| GK | 13 | 波多野 豪 | GK | 21 | 長沢 祐弥 |
| FP | 7 | 安斎 颯馬 | FP | 4 | 林 尚輝 |
| 11 | 小柏 剛 | | 14 | 福田 湧矢 |
| 16 | 佐藤 恵允 | | 15 | 鈴木 海音 |
| 28 | 野澤 零温 | | 20 | 食野 壮磨 |
| 30 | 岡 哲平 | | 25 | 熊取谷 一星 |
| 32 | 土肥 幹太 | | 26 | 内田 陽介 |
| 37 | 小泉 慶 | | 45 | 寺沼 星文 |
| 98 | エヴェルトン ガウディーノ | | 71 | 平尾 勇人 |
| 森重 真人 | | 40' | 警告 | | | |
| マルセロ ヒアン | | 43' | 警告 | | | |
| 長倉 幹樹 | | 60' | 得点 | | | |
| 遠藤 渓太 | | 61' | 交代 | | | |
| 佐藤 恵允 | | | |
| マルセロ ヒアン | | | |
| 小柏 剛 | | | |
| | | 交代 | 64' | | 齋藤 功佑 |
| | | 福田 湧矢 |
| | | 稲見 哲行 |
| | | 熊取谷 一星 |
| | | 交代 | 75' | | 染野 唯月 |
| | | 寺沼 星文 |
| | | 唐山 翔自 |
| | | 内田 陽介 |
| 室屋 成 | | 84' | 交代 | | | |
| 安斎 颯馬 | | | |
| 小柏 剛 | | | |
| 野澤 零温 | | | |
| | | 警告 | 86' | | 平川 怜 |
| | | 交代 | 90' | | 平川 怜 |
| | | 食野 壮磨 |
| 長倉 幹樹 | | 90+1' | 警告 | | | |
| 高 宇洋 | | 90+7' | 交代 | | | |
| 小泉 慶 | | | |