2025.8.31 (日)
2025年度 東北社会人サッカーリーグ 2部南 第6節
FCプリメーロ福島 × メリー
( 郡山ヒロセ開成山陸上競技場,13:00 )
match memo
- 関東地方では最高気温40℃との予報も出されるほどの猛暑が見込まれる8月末日の日曜日、昼間にフリータイムが出来たため観戦計画を立てようとしたが、関東で行ける会場は軒並み炎天下での観戦を余儀なくされそう。そこで思い切って関東以外に候補地を探してみたところ、ちょうど13時から郡山の開成山陸上競技場で東北2部リーグのカードが組まれていた。開成山はサッカー観戦では未訪問でもあり、都合が良い。朝の家事を済ませて急ぎ出立し、東京から東北新幹線に揺られて郡山へ。東北地方とはいえ最高気温は30℃を超える暑さであるが、東京よりは湿度が幾分か低く感じられ、これならデーゲームでもどうにか観戦できそうである。駅から路線バスで郡山市役所まで乗車し、降りたらすぐ目の前が開成山公園だ。
- 陸上競技場には屋根付きのスタンドがついていて、地域リーグレベルであれば充分すぎるほどの観戦環境である。観客も100人程度にすぎない入りで、窮屈さを覚えることなく観ることができた。対戦カードは東北2部リーグ南のFCプリメーロ福島×メリー。どちらも福島県内で活動するクラブだ。プリメーロはかつての東北1部時代に一度だけ観たことがあり、実に十数年ぶりの再会。2023年からは2部に舞台を移し、今季はリーグ戦5試合を終えて1勝4敗。東北2部南の8クラブ中最下位と苦戦している。対するメリーはここまで4試合を終えて1勝2分1敗の暫定6位。初見ではあるが、2009年から東北2部に参戦して以来、県リーグに降格することなく長いこと東北を舞台に戦い続けており、どんなチームなのか興味があったので楽しみだ。
- 前半は両者ボールが落ち着かず、これといったチャンスがなかなか生まれない展開。メリーはGKからの組み立て時は必ずDFにボールを渡して繋いでいこうとする姿勢が見られるが、プリメーロのプレスがかかるとそこまで繋ぐことにこだわらず、1トップの倉島を目掛けたロングフィードが多い。対するプリメーロはミドルプレスでボールに圧力をかけ、奪ったら裏のスペース狙いといったところか。両チーム共に裏のスペースはしっかり狙っている印象だが、精度と強度の面で違いを見せられずにチャンスを作れずにいる。ピッチ上の暑さもあって前半はスコアレスかという雰囲気の漂いはじめた中迎えた40分、メリーはロングフィードから得たFKを防がれてスローインに逃げられるものの、すかさず樋口が意表を突くロングスローでリスタート。するとゴール正面の倉島が頭ひとつ抜け出して軌道を変え、これがゴール右隅に決まって0-1。メリーが一歩前に出て前半を終える。
- 後半は早々にスコアが動く。プリメーロは中盤でボールを持ったボランチの坂下が誰も寄せてこないと見るや、エリア外からロングシュート。するとこれがぐんぐんと伸びていき、GKもほとんど反応できないままゴール右上隅に突き刺さる。観客の少ないスタンドからもどよめきが起きるほどの強烈な一撃により、プリメーロが1-1の同点とする。これが乱打戦の号砲となったか、スコアは一気に動く。54分、メリーは左サイドからボックス内に侵入した菅野がニアを射抜くシュートを叩き込み、すかさず1-2と勝ち越し。すると62分、プリメーロは右CKでゴール前の密集に入ったボールを神谷が当ててコースを変え、これがゴール左隅に決まって2-2。プリメーロがセットプレイで再びタイスコアに戻す。防ぐのが難しいタフな失点が続いたメリーだが、勝ち越し点は70分。ハイプレスから相手陣内右サイドの深い位置で菅野がボールを奪取すると、飛び出してきたGKを引きつけて中央へラストパス。そこに待っていた倉島がダイレクトで無人のゴールに蹴り込み、またしてもメリーが勝ち越しに成功。プリメーロは痛恨のミスからの失点となった。その後はプリメーロが保持する時間が続いたが、メリーの守備がそつなく跳ね返し続ける展開。追加タイムの90+1分には右サイドで途中出場の鈴木の内側レーンへのスルーパスにこちらも途中出場の阿部が抜け出し、ファーサイドに転がす冷静なシュートを決めて2-4。これが事実上勝敗を決する1点となった。ほどなくしてタイムアップとなり、メリーは今季リーグ戦2勝目。プリメーロはリーグ4連敗となり、最下位脱出はならなかった。
- 両者共に特徴を見せた試合だったといえるが、試合巧者ぶりを見せつけたメリーが一枚上手だったと感じる90分だった。メリーは特に前半、GKからのリスタートはほとんど最終ラインの味方にパスを付けて繋ぐ姿勢を見せるものの、プリメーロが寄せてきたらさほど躊躇せず前線の倉島を目がけて前に蹴っていた。無理に繋ぎすぎず、相手がスペースを作ったらシンプルな形を心掛けていた。後半はプリメーロに持たれる時間が長かったが、引きすぎることなく前線からプレスをかけて追い込み、ショートカウンターで完結させようという意図を感じた。2回にわたり同点に追いつかれる苦しい試合展開だったが、やるべきことがチームで統一されていたことで勝ち越しに繋げることができたように感じた。対するプリメーロは、守備面では後半にメリーのハイプレスを上手くかわすことができず、ボールを失った後の守備へのトランジションも後手を踏んでしまった印象。攻撃面では2得点と悪くない内容だっただけに、悔やまれるゲームだったのではないか。
- 今回は地域の2部リーグを観るためだけに新幹線で郡山までやってくるという、我ながら攻めた(?)お出かけだったが、結果としてはとても良い観戦体験だった。まさか得点シーンを6回も観られるとは思わなかったし、中には驚くようなゴラッソもあったので大満足。初訪問の開成山陸上競技場も、年季の入った建物ながら一部の座席やトイレ設備が更新されており、管理が行き届いていた印象。JFLくらいまでは開催できてもおかしくない規模で、地域リーグを観るには充分すぎるホスピタリティだった。こういう体験がたまにできるから、地域リーグ&スタジアム巡りはやめられない(笑)。また機会があれば日帰りで遠出してみるのもいいかと思えた一日だった。
| FCプリメーロ福島 |
2 |
0 | 前半 | 1 |
4 |
メリー |
| 2 | 後半 | 3 |
|
|
|
| 坂下 健将 | 46' | 得点 | 40' | 倉島 聡太 |
| 神谷 怜央 | 62' | | 54' | 菅野 裕介 |
| | | 70' | 倉島 聡太 |
| | | 90+1' | 阿部 凛太郎 |
| GK | 31 | 齋藤 烈 | GK | 37 | 阿部 由弥 |
| DF | 25 | 橋本 直輝 | DF | 11 | 藤原 雄大 |
| 21 | 市川 翔 | | 2 | 安藤 優人 |
| 4 | 先崎 楓 | | 5 | 樋口 月雅 |
| 24 | 植村 翔流 | MF | 9 | 佐藤 仁俊 |
| MF | 17 | 坂下 健将 | | 30 | 永井 公智 |
| 29 | 伊藤 尚敏 | | 40 | 佐藤 啓太 |
| 14 | 笠原 結良 | | 19 | 青木 育 |
| 22 | 柴田 凛 | | 16 | 加藤 稜賀 |
| 5 | 神谷 怜央 | | 17 | 菅野 裕介 |
| FW | 10 | 岩瀬 継範 | FW | 27 | 倉島 聡太 |
| FP | 6 | 三宅 航太 | FP | 8 | 阿部 凛太郎 |
| 9 | 吉成 繁丸 | | 10 | 相樂 駿太 |
| 13 | 小田切 夏輝 | | 28 | 小林 稔 |
| 19 | 鈴木 澪於 | | 39 | 鈴木 星矢 |
| 28 | 堀田 永 | | | |
| 30 | 神山 侑門 | | | |
| 植村 翔流 | | 33' | 警告 | | | |
| | | 得点 | 40' | | 倉島 聡太 |
| 伊藤 尚敏 | | HT | 交代 | | | |
| 三宅 航太 | | | |
| 坂下 健将 | | 46' | 得点 | | | |
| | | 得点 | 54' | | 菅野 裕介 |
| 岩瀬 継範 | | 58' | 交代 | | | |
| 吉成 繁丸 | | | |
| 神谷 怜央 | | 62' | 得点 | | | |
| 柴田 凛 | | 65' | 交代 | | | |
| 鈴木 澪於 | | | |
| | | 得点 | 70' | | 倉島 聡太 |
| | | 交代 | 79' | | 加藤 稜賀 |
| | | 阿部 凛太郎 |
| | | 警告 | 80' | | 佐藤 啓太 |
| | | 交代 | 80' | | 倉島 聡太 |
| | | 相樂 駿太 |
| | | 警告 | 82' | | 永井 公智 |
| | | 交代 | 86' | | 永井 公智 |
| | | 鈴木 星矢 |
| 市川 翔 | | 88' | 交代 | | | |
| 堀田 永 | | | |
| | | 得点 | 90+1' | | 阿部 凛太郎 |