match memo

• 25日に行われた第12節の試合でガンバ大阪を3-0で下し、9試合ぶりのリーグ戦勝利を飾ったFC東京。休む間もなく中3日で次の試合がやってくる。東京はホームでの連戦となり、今日は味スタに7位･清水エスパルスを迎えての一戦だ。今季J2から3シーズンぶりにJ1へ復帰した清水だが、今季も好スタートを切って上位につけており、16位の東京にとっては難しい相手。味スタにはオレンジの大サポーターがビジター席にぎっしりと詰めかけ、33,769人の観客が来場。試合前から素晴らしい雰囲気である。今日は朝から4月とは思えない初夏のような日差しが照り付けて気温も22.7℃まで上がり、日向でプレイする選手にとってはやや難しいコンディションだ。

• 前半、東京は1トップのヒアンに対してロングボールを入れる、前節のG大阪戦とほぼ同じ戦い方を選択。対する清水はボランチが本職の宇野を最終ラインに加えた4-2-3-1で試合に入り、ボール回収から推進力のある2列目の乾･松崎･カピシャーバの3枚で押し込んでいく戦い方だ。東京にとって前半最大の決定機は16分。白井の裏へのボールに抜け出したヒアンがボックス内の狭い角度からフィニッシュへ持ち込み、こぼれ球に仲川が詰めるがいずれもGKの沖に止められて決めきれない。その後は清水がうまくアジャストしてヒアンにボールを収めさせてもらえず、膠着気味の展開となる。このまま0-0で前半終了かと思われた44分、清水は東京陣内でのリスタートから波状攻撃を仕掛け、最後は左サイドからボックス内に入ったクロスを高橋が競ってファーに流れたところを回収しようとした乾を遠藤が足で引っ掛けてしまい、PKの判定。これを北川が冷静に右隅に決めて0-1。東京は最も気をつけなければならない時間帯でアウェイチームにリードを許してしまう。

• 後半開始早々、東京が攻撃のギアを入れて攻め立てるが、アタッキングゾーンの詰めの部分で連携が合わない場面が続く。60分には2シャドウを仲川･北原から佐藤･俵積田のユニットに交替。直後の64分には岡の対角線サイドチェンジから白井が絶妙なクロスを入れるが、ゴール正面でフリーだったヒアンのヘディングは当たり損ないとなり、無情にも枠の左へ。清水を押し込む時間帯でゴールを割れないまま、清水が堅実にボールをキープしながら1点リードで時計が進んでいく。すると79分に清水は中盤のボール回収からフリーでパスを受けた乾がドリブルで中央を突進。巧みなスキルで岡をかわしてフィニッシュへ持ち込むと、必死にカバーに入った岡に当たったボールが転々とゴールに転がり込んで0-2。東京にとってはこの直前に最後の交代で2枚替えを行ったばかりだっただけに、ショックの大きな失点となった。この後もロングボールやクロスをゴール前へ入れ続ける東京だったが、堅守を取り戻した清水を前にチャンスを作ることもできず試合終了。東京は今季初の連勝を逃すことになった。

• 東京にとっては、前節の勝利で勢いに乗れるかもしれないと期待を寄せていた分、反動によるショックが大きい敗戦となってしまった。金曜の夜、国立で観たものは一瞬の輝きに過ぎなかったのだろうか―。そんなことを考えてしまう試合だった。ヒアンにボールを預けるシンプルな形で何度かチャンスを作ることができ、特に前半はまずまず良くマネジメントできていた印象だったが、最後の最後でPKを取られて先行を許し、後半は巧く時間を稼ぐ清水を相手にこれといった対応策を打つことができず。チャンスは前半と後半に1度ずつあったが、いずれも決めきれなかったことで勝点奪取の可能性は潰えてしまった。とはいえこれは東京からの視点であり、総合的には清水が勝負どころを確実に押さえていた印象だ。極めて妥当な決着だったといえるだろう。勝点を伸ばせなかった東京は、次節アウェイに乗り込みアルビレックス新潟との対戦。中3日の厳しい日程だが、互いの順位を見ても極めて重要な一戦である。結果にこだわって戦う姿を見たい。