match memo

• リーグ戦で8試合勝ち無し、順位も18位と苦境が続くFC東京。直近のリーグ戦2試合はドロー、ルヴァンカップでも3回戦進出と｢負けない｣試合はできており、そろそろ肝心の勝利が欲しい状況下でリーグ戦は重要な大型連休の連戦に突入する。その連戦最初の試合は、国立競技場にガンバ大阪を迎えてのホームゲーム。2週間前に行われた柏レイソルとのホームゲームに続く金曜日開催となったが、国立競技場には44,519人の観客が集まった。東京は前節のアウェイ･セレッソ大阪戦からスタメンを5人入れ替え。コンディション面も考慮してのことだと思われるが、この起用は吉と出るか。

• 前半の東京は、これまでの試合よりも縦のフィードを使う場面が多く、必要以上の手数をかけずに攻める。その効果なのか、立ち上がり15分までの間にシュートチャンスが多く訪れるが、いずれもGK･一森のセーブもあって決めきれない。一方のG大阪も、22分に中盤からのスルーパスに半田が抜け出し、最後は半田の折り返しからジェバリがオシャレなチップキックを沈めてゴールネットを揺らすものの、VARチェックからのオンフィールドレビューでシュート場面での半田のオフサイドをとられ、得点は認められず。東京にとっては命拾いをする形となり、0-0のまま前半を終える。

• 後半は、前半のハイテンションな内容とは打って変わって両者様子を見ながらの膠着状態。勝ちにいきたい東京は62分に高･俵積田･白井の3人を同時に投入して停滞したムードに変化をもたらそうとする。G大阪も70分にベンチスタートだった宇佐美を投入して勝負に出る中、東京は74分の佐藤が抜け出したビッグチャンスを再び一森に止められ、スコアを動かせないまま試合終盤へ。スコアレスドロー決着の雰囲気が漂い始めた86分、東京は自陣でボール回収した俵積田がドリブルで左サイドを前進すると、アタッキングゾーンに侵入してからカットインを試み、最後は強烈な右足でのフィニッシュをゴール右隅に叩き込んで1-0。今季ここまで無得点と苦しんでいた俵積田の初得点がこの重要な局面で飛び出し、遂に東京が先制する。続く90分には右サイド攻撃からハーフスペースまで相手を押し込むと、橋本がボックス外中央へ渡したパスから高が鮮やかなミドルシュートを沈めて2-0。怒涛の畳み掛けに青赤の応援スタンドは久しぶりの熱狂に包まれた。追加タイムには高のスルーパスに抜け出した俵積田のシュートのこぼれ球が岸本に当たってゴールネットを揺らし、オウンゴールで3-0。ラスト10分間の3得点で一気に試合を決めた東京が、リーグ戦で実に2ヶ月ぶりとなる勝利を収めている。

• 東京にとって長い長いトンネルをようやく抜け出す、難産の末の会心の勝利だった。勝因はいくつか挙げられるが、ひとつはこれまでの地上戦主体の攻撃にこだわりすぎず、裏のスペースを狙った攻撃も増やしたことで要らないカウンターを受ける場面が減ったことが挙げられる。もうひとつは、前半から運動量の多い試合展開となり、終盤にかけて消耗戦の様子を呈してきた中で途中出場の選手が持ち味を出せたことだろう。慣れないポジションで結果をなかなか出せなかった俵積田がこの重要なゲームでゴールを挙げたことも大きな収穫だ。無論、今日の1つの勝利でこれまでの問題が全て解決したわけではない。順位もまだ下位のままであり、チームを取り巻く状況が劇的に良くなったわけでもない。次節こそ気を引き締めて戦いたい。