match memo

• J1リーグの第8節は、3月最後の週末に行われた第7節の試合から間を置かずしての水曜開催。各クラブが厳しい日程の中での選手のやりくりを試される中、我らがFC東京は東京ヴェルディとの一戦を迎えた。今回はヴェルディのホームゲームで、東京がビジターとして乗り込む形。リーグ戦で4試合連続勝ちなし、しかも全て無得点という深刻な得点力不足に悩まされる東京にとって、非常に難しいチーム状況で迎えるダービーマッチである。平日開催ながら味スタには26,865人の観客が来場。この日に行われたJ1のゲームでは最多の入場者数となったようだ。

• 試合の立ち上がりこそボールを支配してゲームを動かそうという姿勢を見せた東京だが、先にゴールを奪ったのはヴェルディ。20分、セットプレイのチャンスから得た左CKを山見が蹴り、ニアに入り込んだ林がヘディングで叩き込んで1-0と先制する。またしても先行を許した東京は引き続きボールを握ろうとするものの、ヴェルディの守備網にかけられてしまい、カウンターを受ける場面が続出。特に山見のドリブルの仕掛けに守備が翻弄され、苦しい時間が続く。フラストレーションの募る展開だが、その状況を打開したのは43分。中盤から高の浮き球のスルーパスに反応した佐藤が見事なラインブレイクで抜け出してGKと1vs1になり、冷静に決めて1-1の同点。これまで形といえるような形がほとんど見られなかった東京にとって、実にありがたい同点ゴールが生まれ、後半へ折り返す。

• 後半も良い入り方を見せた東京だが、再び落とし穴が待っていた。52分、ヴェルディのカウンターをエンリケが見事なカバーで野澤に戻し、ピンチ脱出かと思いきや、野澤が悠々とボールを保持する間に染野が猛然とプレスをかけ、野澤がかわそうとしたところに足を出すと、染野に当たったボールは転々とゴールへ。野澤の軽率に過ぎるミスにより、ヴェルディが再び2-1と前に出る。東京は60分に負傷明けのヒアンを最前線に投入、更に仲川･北原･東の3枚同時投入など積極的な交代カードで強引に流れを引き寄せにいく。試合終盤にかけてはロングパスでヒアンがボールを競る場面が増え、東京がヴェルディの陣内を押し込む展開に。そして89分、セットプレイの流れから右サイドでパスを受けた安斎が速いクロスを中に入れると、ファーサイドで待っていたエンリケが相手選手を競り合いながらも頭に当て、ふわりと浮いたボールがゴールネット右隅を揺らして2-2。再び東京が同点に追いついた。その後は東京が逆転を狙って一気呵成に攻め立てるものの、ヴェルディのゴールをこれ以上破ることはできず、同点のまま試合終了となった。

• 試合後、両チームのゴール裏からは強烈なブーイング。この対戦カードでは昨季から3試合連続でドローとなり、またしても煮え切らない結末だ。東京にとっては、リーグ戦で5試合ぶりとなる得点が決まり、終盤には迫力のあるパワープレイから追いついて敗戦を回避するという、決して悪くない1ポイントだった。一方、攻守の入れ替わりが多い展開の中で、ヴェルディの鋭いカウンターをもろに受けてしまう場面が目立ち、野澤のミスによる失点も含めて守備の脆さが露呈された印象。ダービーの決着は9月に行われる東京ホームでのリターンマッチに持ち越しとなったが、それよりもまずは勝点を積み上げなければならない。週末にはアウェイでファジアーノ岡山との一戦が待っている。改善すべき点を見直して次の試合に向かいたい。