match memo

• ワールドカップ予選のための中断期間を挟み、2週間ぶりとなるリーグ戦で我らがFC東京が迎えるのは川崎フロンターレとの｢多摩川クラシコ｣。中断期間前の試合、アウェイでのアビスパ福岡戦を終了間際の失点で0-1と敗れた東京にとっては、連敗だけは避けたいところでいきなりのビッグマッチを迎えることになった。今季から長谷部茂利新監督率いる強力なライバルチームを相手にどこまで戦えるか注目される。この1週間は気温が20℃を超えて夏日も観測されるほど暖かい気候だった東京だが、本日は一転して気温が10℃を切る寒さに。注目ゲームということもあり33,632人もの観客が味スタに詰めかけたが、雨の影響もあって出足は遅く、キックオフ直前に合わせてやってきた観客の入場待ちの列が伸びに伸び、試合開始までに入れない人も多くいたようだ(自分はどうにか間に合ったが)。

• 試合序盤、東京は3バックのシステムながら、右CBの土肥がサイドに張り出してWBの白井を高めに押し上げ、4バックに近い対応。これが川崎の強力なサイド攻撃を封じ、裏のスペースを突いた俵積田がGKと1vs1のチャンスを迎えるなどチャンスも作り出す。しかし徐々に川崎が効果的な守備を見せるようになり、東京はたびたび自陣で奪われてピンチを招く画面も。どうにか水際の守備で跳ね返し、試合は0-0のまま後半へ折り返す。

• どちらに転ぶか読めない後半だったが、試合を動かしたのは川崎。55分に右サイド深い位置から仕掛けてマークを剥がした佐々木がハーフスペースからゴール前へラストパスを送り込み、やはりマークに付かれながらも強引に足を振り抜いた山田のシュートが転々とゴールに決まって0-1。個の打開からゴールをこじ開けられると、そこから先はアウェイチームが一方的に支配する展開へ。73分には再び右サイドの深い位置から佐々木が入れたクロスに途中出場で入ったばかりの伊藤がダイレクトで合わせ、スコアを2点差に広げると、終盤の83分には東の中途半端なバックパスを脇坂がカットして単独でゴール前に持ち込み、横からサポートしたエリソンが脇坂からのプレゼントパスを悠々と叩き込んで3点目。勝敗の行方がほぼ決したその瞬間、ホーム側スタンドの少なくない観客が席を立つ光景が印象的だった。終わってみれば0-3で東京の完敗。中断期間を挟んでリーグ戦2連敗となった。

• 前半の途中までは悪くない試合展開だった。通常時と選手の立ち位置を変えて相手の攻撃に対するリアクションをうまくとりつつ、ボール保持時には無駄にゲームスピードを上げずに試合をコントロールしようとしていた。その後川崎に主導権を握られ、最終的に完敗となったのは、シンプルにそれまでの積み上げの違いが出ただけともいえる。小細工抜きで正面から川崎にぶつかるとこうなる、ということが分かった試合だった。一方、少なくとも選手たちは先に残せなかった｢何か｣をやろうとしているように見えた。決して先の見えない絶望に打ちひしがれるような敗戦ではなかった。リーグ戦は連敗となったが、今は選手たちが自信を失わないかどうかが心配だ。次節は中3日で東京ヴェルディとのダービーマッチが待っている。何よりも結果が求められる重要な一戦で東京は、息を吹き返せるのだろうか。