match memo

• 2026年からシーズン移行を控えているJリーグにとって、｢春秋制｣としては最後の通年シーズンとなる2025年。開幕は2月中旬と今年もかなり早い時期に設定された。我らがFC東京はアウェイで横浜FCとの開幕戦を迎える。横浜FCは昨季のJ2を2位で終えて自動昇格し、2023年シーズンの降格からたった1シーズンでJ1に戻ってきた。四方田修平監督率いる手堅い守備のチームを前に、どのように戦うか。東京は昨季までアルビレックス新潟を率いていた松橋力蔵監督が指揮官に就任。どのようなチーム作りをしていくのか注目が集まる采配初戦である。ニッパツ三ツ沢球技場のチケットは完売とまではいかなかったものの、10,000人を超える観客が集まった。

• 注目の東京のシステムは3-4-2-1。昨季まで戦っていた4バックのシステムから変わり、横浜と同じシステムで相対する｢ミラーゲーム｣となる。立ち上がりの東京は1トップを張る新加入のヒアンに対して長いボールを中心に送り込んでいくものの、なかなかボールが収まらず。徐々に横浜が立て直してきて、流れはホームチームへ傾いていく。横浜もカウンター主体でリスクをかけない攻撃を見せ、櫻川･パウロ･鈴木(武)のアタッカー3枚の推進力でゴールへ迫るが、東京もどうにか対応。前半の終盤はセットプレイを中心に横浜がゴール前で迫力を見せる場面が多く、東京はヒヤヒヤする場面が続いたがどうにかスコアレスで折り返し。

• 後半に入り、流れが変わり始めたのは53分、ヒアンが縦のボールの競り合いを頭で落としてから俵積田がドリブルでアタッキングゾーンまで侵入した場面から。このあたりから東京が右サイドを徐々に浸食していく場面が見られるようになる。そして61分、右サイドで得たスローインを白井が入れ、複数人が絡んでボックス付近で受けた俵積田がボックス内へはたく。そこに走り込んできた白井がダイレクトで左足を振り抜くと、シュートはGKの手をかすめてゴール左隅に突き刺さった。ようやくの｢らしい｣崩しがいきなりゴールになり東京が0-1とリードする。この後は横浜が攻勢に転じ、83分の新井･鈴木(準)の連続フィニッシュなどゴールを脅かされるが、東京が人数をかけた守備でどうにか1-0のまま撤収を完了。開幕戦を勝利で飾った。

• 守備に重きを置いたシステム同士の試合ということもあり、なかなか展開の動かない膠着したゲームだったが、その中で東京が唯一といっていいチャンスをものにし、価値ある勝点｢3｣を獲得。ヒアンの生かし方など内容面での課題は山積のように見えたが、まずはひと安心という内容だった。守備面では3バックにしたことで安定感が増し、安易に裏を取られるような場面も無かったように感じる。怪我人も抱える中でのシーズンスタートとしては上々といえるのではないだろうか。次節はホーム･味の素スタジアムでの今季最初のゲームとなるだけに、来週末を楽しみに待ちたい。