2023.3.26 (日)
2023 Jリーグ YBCルヴァンカップ Eグループ 第2節
FC東京 × 京都サンガF.C.
( 味の素スタジアム,15:00 )
introduction
- この週末は日本代表の強化試合が行われるインターナショナルウィークとなっており、リーグ戦はお休み。代わりにルヴァンカップが開催される。我らがFC東京は、今節はホームの味スタに京都サンガF.C.を迎えてのグループステージ第2節。個人的には2/26(日)の柏レイソル戦からちょうど1ヶ月現地観戦できていなかったが、本日は都合をつけることができた。リーグ戦ではないが、いつもは出番が少ない若手選手などを観るならばうってつけの機会であるし、なにより、観られる試合は観ておきたい。
- 例年よりかなり早い桜の開花が発表されるなど、春の訪れが早かった関東地方だが、この週末は土日共に冷たい雨。今日も朝から冷え込んでおり、冬のサッカー観仕様の防寒をして飛田給へ出かけることになった。カップ戦ということもあってリーグ戦よりは人出が少なく、駅から足早にスタジアムへと向かう。観客は8,662人と寂しい入りだったが、雨宿りしながらコンコースを歩くにはこれくらいの入りの方がノンストレスだ。
- 今季のルヴァンカップは、ACLが秋開幕となった影響もあり、ACL組も参加しての20チームで開催。その影響で5グループに分かれてのグループステージとなっており、東京はセレッソ大阪、ガンバ大阪、京都サンガF.Cの関西勢とEグループで同居する形となっている。3/8(水)に行われた第1節では、東京はアウェイでセレッソ大阪と対戦。若手を多く起用して粘りの戦いを見せたものの、試合終盤の失点で0-1と敗れ、黒星スタートとなった。今季は前述のとおり5グループ制のため、プライムステージに進出できるのは各グループの首位と、各グループの2位のうち上位3チームのみ。即ち、2位に入っても勝点を伸ばせなければ敗退となるおそれがあり、1つの敗戦の重みが例年以上に大きいのが今季のレギュレーションの特徴だ。東京としては、ホームで迎える今節はなんとしても勝点3を確保したい。
- 東京はバングーナガンデが初めて日本代表に選出され、この週末はチームを離脱中。また木村もU-22日本代表の欧州遠征のため離脱中だ。更に安部・渡邊・中村は怪我で戦線離脱中であり、厳しいやりくりが続く。発表されたスタメンからはスウォビィク・木本・仲川・ディエゴあたりが不在で、これは温存と見られるが、一方でU-20アジアカップ出場のため丸1ヶ月チームを離れていた松木がチームに復帰し、リーグ開幕戦以来のスタメン。同大会で5得点を挙げて得点王に輝いた熊田もベンチ入りした。
- 対戦相手の京都サンガF.C.とは3/4(土)にリーグ戦で対戦しており、その際は終盤まで0-0の展開が続いた末、終盤に東京の守備が崩れて0-2と完敗を喫している。この試合はカップ戦でコンペティションが異なるが、同じ相手に立て続けに敗れるわけにはいかない。スタメンを見る限り、京都は東京以上にメンバーを入れ替えて臨んできた様子だが、それでも名前とプレースタイルを思い出せる程度には知っている名前がラインナップを飾っており、一筋縄ではいかない相手と思っていた方が良さそうだ。
1st half
- 序盤は両チーム共にややスローな立ち上がり。雨に濡れたピッチで足を滑らせる選手が散見され、少しやりにくそうな印象だ。京都は高い守備ラインを設定し、ボールを奪ってから素早く攻めきる構え。一方の東京は、裏にスペースが多めにあることを生かし、長いボールを蹴ってアダイウトンや俵積田に拾わせる作戦。3トップの頂点を張るペロッチも裏で勝負したそうに見えるが、ボールが出てこないので少しやりにくそうだ。
- 15分、東京は左サイドで徳元のパスを受けたアダイウトンがドリブルで持ち運び、中へカットイン。松木とのワンツーでエリア内深くまで侵入すると、中へのマイナス気味の折り返しをフリーのペロッチが難なくダイレクトで押し込み1-0。東京が早い時間帯でリードを奪う。ペロッチはこれが今季のチーム加入後初得点。アダイウトンによる完璧なお膳立てだった。
- 序盤は味方と呼吸の合わない場面もあったペロッチだが、ゴールを取って少し肩の荷が下りたのか、マーカーを背負いながら楔のボールを受ける場面が増えてくる。19分にはこの形から裏に走ったアダイウトンへ絶妙なロングパスを通すなど、フィットの兆しが見える。
- 24分、東京は自陣でのボール奪取からアダイウトンが攻め込み、PA内でのフェイントから相手を滑らせてフリーでシュートに持ち込むが、GKのハーンが好セーブ。1点もののビッグチャンスを生かせない。しかしこのチャンスで得た左CKを松木が蹴ると、ゴール正面のエンリケが空中戦に競り勝ちヘディングシュート。これが絶妙な弧を描いてゴール右隅に決まり2-0。ペロッチに続きエンリケも東京での初ゴールを決め、リードを広げる。
- 前半で2点を追う展開となった京都はここから反転攻勢。2点差とされた直後の27分、三竿の鋭いクロスに山﨑が飛び込んで惜しいヘディングシュートを放つと、34分にはゴールよりやや遠目の距離から豊川が意表を突くミドルシュートを放ち、野澤が咄嗟に弾いたボールがクロスバーに当たって跳ね返る僥倖。41分には縦に速い攻撃からクロスに松田が合せようとするが僅かに届かず、東京にとっては冷や汗をかく場面が続く。
- 前半は2-0のまま終了。チャンスでしっかりと決めきれたためリードを奪ってはいるが、前半の終盤にかけて京都にペースを明け渡してからはハイプレスで追い込まれたり、縦に速い攻撃を止めきれない場面も多かった。後半にもう一度仕切り直すことができるかが鍵になるだろう。
2nd half
- 東京は後半の頭から東を下げて塚川を投入。東の出来が特段悪いわけでもなかったので、コンディション維持のための交代だろう。4-2-3-1にシステム変更するかと思ったが、システムは変わらずに小泉がアンカーに入る。一方の京都は平賀を下げて木下を投入。先日のリーグ戦ではこの木下に苦しめられただけに要注意だ。
- 次の1点が大きく試合結果を左右しそうな展開の中、最初にチャンスを掴んだのは東京。55分、東京は最終ラインのエンリケが持ち上がり、左サイドを駆け上がった徳元へスルーパス。サイド深くで徳元が折り返すと、ニアにフリーで走り込んだペロッチがダイレクトで枠内に蹴り込み3-0。ペロッチはこの試合2得点目、徳元はこれが初アシストとなった。
- 更に東京が畳み掛ける。59分、自陣でのボール回収から左サイドを駆け上がったアダイウトンがドリブルで一気に前進。京都の選手もスプリントで帰陣しマークにつくが、アダイウトンが構わずシュートをゴール左隅に叩き込んで4-0。スピード豊かなアダイウトン様々といえるゴールであり、京都の選手たちの心を折るには充分なものだろう。
- 4-0となった直後、京都は同時に3人を交代してゲームチェンジを狙いにいく一方、東京はアダイウトンとペロッチがお役御免。代わりに大卒ルーキーの西堂と、U-20日本代表帰りのユース卒ルーキーの熊田が入る。68分、京都は左サイドの崩しからゴール前で波状攻撃を仕掛け、PA内でボールを受けた木下が強烈な反転シュートを放つものの、野澤が鋭い反応を見せて枠内を捉えたシュートを弾き出し、ゴールを割らせない。
- 75分、東京は右サイドを攻め上がった長友のボールキープから、サポートに入った塚川を経由して西堂が左足でクロス。やや高めの弾道となったクロスがゴール前を横切るかと思いきや、相手DFと競り合いながら跳んだ熊田がバックヘッドでコースを変え、これがゴール左隅に決まって5-0。予想していない形のフィニッシュだったか、GKはほとんど反応できず。観ている自分も呆気にとられてしまうようなゴラッソだった。
- 大量リードを奪った東京は終盤こそややペースダウンして京都にボール保持を許すものの、自陣でしっかり跳ね返してのボール回収もできており、一方的な展開とはさせず。無難にゲームをクローズし、5-0のまま試合終了。2試合目にして大会初勝利を挙げている。
impressions
- スコアが示すとおりの、東京の圧勝だった。カップ戦とはいえ、次の試合まで余裕があるためか、主力を一部休ませながらもキーとなる選手を残しつつ必勝体制といえる布陣で臨んだのが吉と出た。点差が開いてからはやや緊張感に欠ける内容だったが、ゴールを取れる時には取っておくに超したことはない。ここまでなかなか出番に恵まれなかった選手たちも水を得た魚のようにのびのびとプレーしていたし、チームの層をより厚くすることに寄与する1勝だったのではないだろうか。
- 前半は立ち上がりに慎重さが見られたものの、状況判断の良さが結果に繋がる内容。雨で滑りやすいピッチ条件の中、京都は一貫して地上戦で崩すことを目指していた(ように見えた)が、東京は割り切って裏のスペースで勝負した。ここでアダイウトンの突破力が生きた。1点目のカットイン、そして2点目のCKに繋がる速攻はいずれもアダイウトンがスペースを使ってゴールの起点になっている。やりづらさを抱える中で最も手っ取り早くゴールに迫れる手段を採り、そこでゴールを取りきったことは評価すべきだろう。
- 後半も東京のペースは落ちなかった。京都がより攻撃の姿勢を押し出したことで後方にスペースが生まれた点は加味する必要があるが、リーグ戦で出番の少ない選手たちが貪欲にゴールを狙いにいったことが大きかったと思う。3点目はアダイウトンが中に絞ったことで徳元の攻め上がるスペースができた。徳元は前半から攻撃面で気の利いたサポートができており、ボール扱いも丁寧。ポジション争いの激しいサイドバックではあるが、チームの力になれることを証明してみせた。途中出場の西堂と熊田も2人でチームの5点目に絡む活躍を披露。西堂は東京でのデビュー戦でさっそく印象に残るアシストを記録。左足のキック精度は今後チームの助けになりそうだ。熊田はトップ昇格後初の試合出場ながら、いきなりのゴールを記録。U-18時代に記録されたプレー動画からその才能の非凡さは理解していたつもりだが、その期待を超えてくる圧巻のパフォーマンスだった。
- 熊田の衝撃的な初ゴールが注目されるが、個人的にはペロッチが2得点と結果を出してくれたことにも安堵している。3トップ(1トップ)システムを続ける上で、アタッカーの頂点の役割はここしばらくディエゴに依存し続けているが、そのディエゴも最近は怪我と付き合いながら試合に出ており、キャリアのピークは過ぎつつある。弱冠18歳の熊田1人にこのポジションを任せるのはまだ重荷であり、ディエゴに代わる存在はチームとして必要だったはずだ。今日のペロッチは試合の序盤こそ味方と噛み合わない場面があったものの、途中からは中盤に下りてきてのポストプレーもきっちりこなし、その献身性を見せてくれた。その上での2得点というのは価値がある。熊田の台頭も含め、前線のポジション争いが活況を呈してきたのはチームにとって嬉しい悩みとなりそうだ。
- 来週末はリーグ戦が再開となり、チームはアウェイで鳥栖とのゲーム。苦手にするチームとの対戦になるだけに、ここは重要となりそうだ。その後は平日にルヴァンカップのゲームも入るため、日程はややタイトになってくるが、層の厚さでどうにか乗り越えてもらいたい。個人的には、カップ戦とはいえ1ヶ月ぶりの現地観戦でゴールショーを観ることができて満足であった。リーグ戦はタイミングが合わなくてしばらく観に行けていないが、4月には怪我人も戻ってくるし、その時期にはまた観戦の都合がつきそうなので、次を楽しみにしたい。
FC東京 |
5 |
2 | 前半 | 0 |
0 |
京都サンガF.C. |
3 | 後半 | 0 |
|
|
|
ペロッチ | 15' | 得点 | | |
エンリケ トレヴィザン | 25' | | | |
ペロッチ | 55' | | | |
アダイウトン | 59' | | | |
熊田 直紀 | 75' | | | |
GK | 41 | 野澤 大志ブランドン | GK | 21 | ヴァルネル ハーン |
DF | 5 | 長友 佑都 | DF | 20 | 福田 心之助 |
| 3 | 森重 真人 | | 5 | アピアタウィア 久 |
| 44 | エンリケ トレヴィザン | | 24 | イヨハ 理 ヘンリー |
| 17 | 徳元 悠平 | | 6 | 三竿 雄斗 |
MF | 10 | 東 慶悟 | MF | 33 | 三沢 直人 |
| 37 | 小泉 慶 | | 19 | 金子 大毅 |
| 7 | 松木 玖生 | | 18 | 松田 天馬 |
FW | 33 | 俵積田 晃太 | FW | 23 | 豊川 雄太 |
| 22 | ペロッチ | | 11 | 山﨑 凌吾 |
| 15 | アダイウトン | | 28 | 平賀 大空 |
GK | 1 | 児玉 剛 | GK | 26 | 太田 岳志 |
FP | 26 | 寺山 翼 | FP | 4 | 井上 黎生人 |
| 28 | 鈴木 準弥 | | 8 | 荒木 大吾 |
| 29 | 熊田 直紀 | | 14 | 白井 康介 |
| 35 | 塚川 孝輝 | | 17 | 木下 康介 |
| 36 | 西堂 久俊 | | 25 | 谷内田 哲平 |
| 50 | 東 廉太 | | 41 | アラン カリウス |
ペロッチ | | 15' | 得点 | | | |
エンリケ トレヴィザン | | 25' | 得点 | | | |
| | | 警告 | 45+1' | | 福田 心之助 |
東 慶悟 | | HT | 交代 | HT | | 平賀 大空 |
塚川 孝輝 | | | 木下 康介 |
ペロッチ | | 55' | 得点 | | | |
アダイウトン | | 59' | 得点 | | | |
| | | 交代 | 59' | | 三竿 雄斗 |
| | | 荒木 大吾 |
| | | 福田 心之助 |
| | | 白井 康介 |
| | | 金子 大毅 |
| | | 谷内田 哲平 |
アダイウトン | | 61' | 交代 | | | |
西堂 久俊 | | | |
ペロッチ | | | |
熊田 直紀 | | | |
俵積田 晃太 | | 72' | 交代 | | | |
寺山 翼 | | | |
| | | 交代 | 73' | | 豊川 雄太 |
| | | アラン カリウス |
熊田 直紀 | | 75' | 得点 | | | |
長友 佑都 | | 77' | 交代 | | | |
鈴木 準弥 | | | |
| | | 警告 | 86' | | 松田 天馬 |