2023.2.26 (日)
2023 明治安田生命J1リーグ 第2節
柏レイソル × FC東京
( 三協フロンテア柏スタジアム,15:00 )
introduction
- この週末は幸運が重なり、我らが東京のアウェイ戦を久々に現地観戦できることになった。昨季は1試合もアウェイへ行けなかったので、それこそ一昨年の11月、日産スタジアムでマリノスに0-8でボコボコにされた試合以来のアウェイ現地観戦である。本日の対戦相手は柏レイソル。試合会場は個人的に4年ぶりの訪問となる、「日立台」こと三協フロンテア柏スタジアムだ。
- 京王線沿線民が柏に行く場合、大概は新宿から山手線に乗り、日暮里で常磐線に乗り換えるというのが常套手段であるが、今日はなんとなく「東京駅から向かいたい」気分だったので、律儀に中央線で東京へ向かい、上野東京ラインの直通列車に乗る。柏には30分程度での到着。現地へ向かう前にまずは昼食だが、柏に訪問する際によく行くラーメン屋は週末の昼時ということもあって列を成しており、とても並ぶ気になれなかったので、駅前のチェーン店で軽く済ませてしまう。久々のアウェイで味気ない気もするが、そこまで遠方というわけでもなし、特別なこだわりはない。腹ごしらえを済ませてレイソルロードを歩いていく。
- 日立台で試合を観るときは、メインスタンドのSS席かバックスタンドのSF席と決めている。今回はチケットを押さえたのが直前で、既にSS席のビジター側は完売していたので、SF席のチケットを確保。此処は柏の応援席になるので、青赤グッズは携行せずにステルス応援である。チケットは当日券まで出たようだが、観客の入りは12,000人以上。日立台でこれだけ入れば、体感的にはほぼフルキャパシティといえる。いつの時代の設計なのかと思うような座席の窮屈さには毎度のように辟易させられるが(笑)、観客を文字どおり「詰め込んでいる」分、雰囲気の良さは素晴らしい。
- 東京のスタメンは前節からの変更が2人。松木と仲川が不在で、代わりに塚川と渡邊がスタートからの起用と発表された。松木がU-20日本代表に招集されていて不在なのは知っていたが、仲川の不在は初耳で、しかも前節活躍した安部もベンチに入っていないため、少し驚く。試合の後で知った話だが、仲川と安部は体調不良によりメンバー外だったようだ。一方、ベンチには前節不在だった森重が入り、他には寺山・俵積田・荒井といった若手アタッカーの名前が並んでいる。交代カードの切り方も重要になりそうだ。
- 対する柏は、開幕ゲームに続くホームでの連戦。前節はガンバ大阪相手に2-2のドロー。先制しながらミス絡みの失点もあり逆転を許すものの、土壇場で獲得したPKによりタイスコアに戻すという結果だった。今季は大南や高橋といった昨季のディフェンスの主力が移籍でチームを離れており、戦力的にどうなのかという下馬評も目にしたが、J1の中でも柏は特に「読めない」チームのひとつで、新戦力が噛み合えば上位進出も充分にありえる要注意チームである。柏のスタメンは前節と全く同じ。午前中から吹き荒れる強風の影響もあってかなり寒く感じる難しいコンディションの中、試合は予定どおりのキックオフを迎えた。
1st half
- 早速両チームの並びを確認していると、開始1分も経たないうちに仙頭を後方から削った木本にイエローカード。特にVARの介入も無かったが、主審によっては一発退場もありそうな深いタックルで、早くもピッチに緊張が走る。前節も前半で東が退場になりかける場面があっただけに心配だ。
- 改めて両チームのシステムを見ると、東京は攻撃時こそ前節と同じ4-1-2-3に近い並びだが、守備時は小泉が東と横並びになり、塚川がやや前目に残る4-2-3-1の可変システム。前節の浦和戦でネガティブトランジションが上手くいっていなかったのを修正するのが主たる目的だろう。対する柏は今季新加入の高嶺をアンカーに据えた4-1-2-3の並び。前線にはテクニックのあるサヴィオと小屋松がサイドに布陣し、トップにはスピードのある細谷が待つ。
- 互いに慎重な入り方を見せて静かな展開を過ごす中、最初に決定機を迎えたのは東京。16分、ロングボールに対して柏の選手のトラップミスがこぼれた先にいたディエゴが、期せずしてGKと1vs1の局面を迎える。しかしシュートは大きく枠の上。スタンドが大きくどよめき、絶好の先制の機会を逃したディエゴが天を仰ぐ。これは決めておきたかった。
- するとこの後に柏にチャンス。24分、中盤でボールを持った山田が内側に位置していたサヴィオにズバッと縦パスを入れると、これに反応して裏へ動き出しを見せた細谷へサヴィオがすかさずスルーパス。半身抜け出した細谷がそのままシュートへ持ち込み、これが決まって1-0。狭い角度でコースを切っていたスウォビィクだが、僅かな隙間を通された。
- 36分、東京は右サイドでのスローインによるリスタートに対し、フリーの塚川がハーフスペースへ走り込んでボールを受ける。すかさずゴール前へ折り返すと、ニアに詰めた渡邊がマークを引き連れながら潰れてスルー。ファーにボールが流れたところに待っていたのはアダイウトンだ。アダイウトンがGKの動きを冷静に見ながら逆を突いてシュートを押し込み1-1。前半のうちに東京がタイスコアに戻す。
- 前半終了間際、右サイドのタッチライン際の攻防で相手選手に激しいタックルを見舞った中村にイエローが提示される。いつも淡々とプレーする中村にしては珍しく激昂しており、ベンチの選手が宥めているが、経緯がちょっとよく分からない。いずれにせよここで熱くなるのは損でしかない。前半は1-1のまま終了。先制はされたが、すぐに追いつけたのは大きい。後半で逆転できるだろうか。
2nd half
- 後半は東京が攻勢を強める。51分、中村のオーバーラップから得た右CKをバングーナガンデが蹴ると、インスイングのボールがゴールマウスを捉え、柏の守備がギリギリでクリア。60分には渡邊のパスカットからショートカウンターが発動するが、ディエゴのフィニッシュはゴール前に戻った柏のディフェンスにブロックされる。直後の62分にもディエゴが楔を受けての鮮やかな反転からシュートに持ち込むものの、これも僅かに枠を捉えられない。
- 守勢が続く柏は66分に椎橋を投入してアンカーに据えるものの、東京の攻勢は変わらず。73分には中盤でファウルを受けてのFKを東がクイックリスタートでゴール前に入れ、反応していた中村がエリア内でGKよりも僅かに先に触るものの、これも僅かに枠外。78分には再び中村がゴールマウスを捉える強烈なミドルを放つが、今度はGKの正面だ。
- 79分にはCKの流れから中央の止まった密集へアダイウトンがクロスを送り込み、エンリケがヘディングを放つが枠の右。80分には再びアダイウトンのクロスに渡邊がダイレクトで右足を振り抜くが、シュートはゴール左ポストを叩いて外れていく。東京の怒涛の攻撃が続くものの、肝心のゴールが入らない。ここまで内容が悪くない分、選手を代えるタイミングを見計らっていた東京ベンチだが、80分に最初の交代。塚川を下げ、突破力に定評のあるルーキーの俵積田を投入する。
- 82分、久しぶりに柏がアタッキングゾーンまでボールを運ぶと、サヴィオのクロスボールがファーサイドに流れた先の競り合いで相手選手を巻き込むスライディングを見せた中村に対し、山本主審はイエローカード。この日2枚目の警告により退場となる。中村はピッチを叩いて悔しがるものの、この2枚目もファウルの見た目の印象がちょっと良くなかったか。東京はここから10人での戦いを強いられる。
- SBが欠けた東京はアダイウトンを下げて長友を投入し、守備を安定化。その上で人数をかけて前にも出ていく。当然守備に割く人数は少ないので、ボールを失ったらファウル覚悟で止めるしかない。小泉と東がそれぞれイエローカードを受ける厳しい展開だ。柏はU-18から昇格したてのルーキー・山本を投入して勝ち越しを狙いに来るが、東京も最終ラインで跳ね返し、ゴールは割らせず。後半ATには森重も投入して撤収を図り、1-1のままタイムアップとなった。東京は開幕2連勝とはならなかったものの、最低限の勝点1を獲得している。
impressions
- アウェイで勝点1ということを考えれば、まずまずの結果だと捉えるべきではないだろうか。開幕戦で充実した内容を見せたメンバーから松木・安部・仲川と離脱者が複数人出たのは厳しかったが、彼らの不在による穴をそれほど感じさせない試合内容だった。後半の内容を考えれば「勝てる試合」だったようにも思えるが、そんなに何もかもが上手く運ぶわけではないし、不要なリスクを冒して勝点1すら持ち帰れないよりは遥かに良い。
- 守備に関しては、前節よりも改善が見て取れた。ボールを失ってからのネガティブトランジションで後手を踏む傾向が見られた前節の内容を踏まえ、小泉をボランチに下げての4-2-3-1で守備対応をしたことにより、ある程度相手を中盤の網にかけることができていたと思う。一方で、最前線の細谷の対応には苦労した。特に前半はDFライン裏のスペースで駆け引きをしてくる若きエースをなかなか捕まえられず、結果的にはサヴィオに決定的なパスを通されて失点している。中盤で潰せなかった時にどう対応するのかは課題といえるだろう。今日に関しては、前半のうちに同点に追いつくことができたので良かった。
- 後半はショートカウンター中心にチャンスを量産した。風の影響で柏のロングボールが押し返されていたのもあるが、前節と同様にサイド起点で素早く相手ゴールへ向かうことができていた。得点チャンスはたくさんあったが、惜しくも枠を外す場面が多かった。精度を求められる部分については致し方無いと思うが、課題を挙げるならば、少しフィニッシュを急ぐ傾向が見られたところか。速攻での崩しならば相手の帰陣よりも早く攻撃を完結させるのが定石なので理解はできるが、前半の同点シーンのように、もう少しハーフスペースの崩しを意識しても良かったような気がする。
- 印象に残るプレーを見せていたのは塚川。今日は変則システムのトップ下で起用され、アダイウトンの同点ゴールをアシストした。しれっとハーフスペースに侵入する神出鬼没ぶりを見せ、攻撃面でもセンスを発揮。持ち味である守備面でも相変わらずのファイターぶりを見せてくれた。要らないカードをもらってしまう場面もあったが、中盤で相手を潰してくれるファーストディフェンス的存在はやはり貴重だ。
- 今日は全体的にプレーが荒く、カードを貰いすぎた。前半1分も経たないうちに木本がイエローカードを貰い、「カード祭り」にならないことを祈っていたが、残念ながら悪い予感が当たってしまった。退場となった中村は珍しく感情を制御できていないように見えた。主審の見ていないところで何かやられたか、言われたかだと思うが、そういった駆け引きが生まれてしまうこと自体、自分たちが蒔いた種でもある。前進的にボールを狩りに行く以上は裏を返されたら止めざるを得ないので、ある程度は致し方ないが、あまりにカードが多いとシーズン終盤に出場停止が相次ぐので考えものだ。
- 試合終了後、東京のゴール裏からは山本主審に対して「××レフリー」コールが起きていたが、そこまで酷いジャッジだったとは思わない。ゴール裏の集団心理でジャッジが偏って見えるのは何となく理解できるが、このご時世に罵倒コールは下品以外の何物でもなく、シンプルに恥ずかしい。自分もそのゴール裏で応援していた人間なので他人の事は言えないが、東京ファンという大きな括りの集団が第三者からどう見えているかについて、自覚的である必要はあると思う。
- 次節は京都サンガF.C.とのアウェイ戦。今節に引き続いて松木は不在だし、中村も出場停止になる。体調不良者が戻ってくるかも分からず、懸念材料は尽きないが、内容自体は悪くないので切り替えて次に臨みたい。個人的には、久々にアウェイ観戦の緊張感を楽しめたので良かった。今シーズンは遠方アウェイが前半戦に固まっており、しばらくアウェイはDAZN観戦になるが、近場のアウェイは年内にまた行きたいというモチベーションが湧いてくる一日だった。
柏レイソル |
1 |
1 | 前半 | 1 |
1 |
FC東京 |
0 | 後半 | 0 |
|
|
|
細谷 真大 | 25' | 得点 | 36' | アダイウトン |
GK | 21 | 佐々木 雅士 | GK | 27 | ヤクブ スウォビィク |
DF | 16 | 片山 瑛一 | DF | 2 | 中村 帆高 |
| 50 | 立田 悠悟 | | 4 | 木本 恭生 |
| 4 | 古賀 太陽 | | 44 | エンリケ トレヴィザン |
| 2 | 三丸 拡 | | 49 | バングーナガンデ 佳史扶 |
MF | 5 | 高嶺 朋樹 | MF | 37 | 小泉 慶 |
| 11 | 山田 康太 | | 10 | 東 慶悟 |
| 41 | 仙頭 啓矢 | | 11 | 渡邊 凌磨 |
FW | 10 | マテウス サヴィオ | | 35 | 塚川 孝輝 |
| 19 | 細谷 真大 | | 15 | アダイウトン |
| 14 | 小屋松 知哉 | FW | 9 | ディエゴ オリヴェイラ |
GK | 31 | 守田 達弥 | GK | 41 | 野澤 大志ブランドン |
FP | 6 | 椎橋 慧也 | FP | 3 | 森重 真人 |
| 8 | 中村 慶太 | | 5 | 長友 佑都 |
| 9 | 武藤 雄樹 | | 22 | ペロッチ |
| 24 | 川口 尚紀 | | 26 | 寺山 翼 |
| 34 | 土屋 巧 | | 33 | 俵積田 晃太 |
| 45 | 山本 桜大 | | 48 | 荒井 悠汰 |
| | | 警告 | 1' | | 木本 恭生 |
細谷 真大 | | 25' | 得点 | | | |
| | | 得点 | 36' | | アダイウトン |
| | | 警告 | 40' | | 塚川 孝輝 |
| | | 警告 | 45+3' | | 中村 帆高 |
山田 康太 | | 66' | 交代 | | | |
椎橋 慧也 | | | |
小屋松 知哉 | | 72' | 交代 | | | |
中村 慶太 | | | |
| | | 交代 | 80' | | 塚川 孝輝 |
| | | 俵積田 晃太 |
| | | 警告 | 82' | | 中村 帆高 |
| | | 退場 | 82' | | 中村 帆高 |
仙頭 啓矢 | | 87' | 交代 | 87' | | アダイウトン |
山本 桜大 | | | 長友 佑都 |
| | | 警告 | 90+1' | | 小泉 慶 |
| | | 警告 | 90+3' | | 東 慶悟 |
| | | 交代 | 90+5' | | エンリケ トレヴィザン |
| | | 森重 真人 |