2022.7.17 (日)
2022 明治安田生命J1リーグ 第22節
FC東京 × ジュビロ磐田
( 味の素スタジアム,18:00 )
introduction
- ここ1週間くらいの東京は連日の雨模様で、本当に梅雨明けしたのか疑わしく思うほどの悪天候が続いていたのだが、本日は味スタでのホームゲームを待っていたかのように天気が回復。昼間も久々に「夏」を感じさせる蒸し暑さだった。試合観戦をする上ではもう少し涼しい方がありがたいが、雨でピッチコンディションが悪化するくらいならば、多少暑くてもスッキリと晴れてくれた方がマシではある。
- 味スタでの現地観戦は2週間ぶりだ。前回自分が観戦した第19節・アビスパ福岡戦に続き、中3日で行われた第20節は北海道コンサドーレ札幌をホームに迎えて3-0で快勝。中断明け最初の公式戦勝利となり、ようやくエンジンがかかってくるかと期待された。しかし前節、アウェイでの浦和レッズとの一戦は、前半のミスからの失点を端緒に守備が脆くも崩れ、0-3の敗戦。攻撃でもインパクトのある場面をほとんど作ることができず、スコア以上に無力感の残る完敗であった。
- また今週は、出番を減らしていた髙萩が栃木SCに期限付き移籍し、更に永井が名古屋グランパスに完全移籍が決定。髙萩については多少覚悟はしていたものの、永井については寝耳に水で、かなりショックであった。チームに与えられる役割と本人がやりたい役割のギャップがある以上、仕方のないことではあるが、2017年からチームを支えてくれた中心的存在の2人が去るというのは、チーム内にも少なからず影響を与えたことだろう。2人のFC東京に対する貢献に深く感謝すると共に、残ったメンバーで夏場の厳しい戦いを乗り越えなければならない。まさに正念場だ。
- 本日の対戦相手はジュビロ磐田。現在は勝点「19」でリーグ最下位に沈んでいるチームだ。3年ぶりとなるJ1でのシーズンを戦っている磐田だが、今季はなかなかメンバーを固定できておらず、中でも軸となるアタッカーの不在がチームの成績に直結してしまっている印象だ。J1残留ラインからは勝点「3」差しか離されておらず、J1残留の可能性は充分に残されているが、チームの指揮をとる伊藤彰監督にとっては試練の戦いが続く。今季はカップ戦を含めて東京と3回対戦しているが、磐田が2勝1分と相性の良さを見せており、東京にとっては順位関係なしに警戒しなければならない相手だ。
- 東京は今日もアダイウトンがベンチ外。前節の浦和戦でもベンチ外で、怪我なのかコンディション不良なのか気になるところ。一方、浦和戦で負傷により途中交代となったディエゴはベンチ入り。深刻な怪我でなかったようでひとまず安心だ。また、第18節の鳥栖戦で負傷交代し、戦列を離れていた安部も復帰し、スタメンに名を連ねている。一方の磐田は3-4-2-1の布陣が予想されるが、スタメンの中に1トップ適性のありそうな名前は無く、前線の立ち位置を変えながら臨んでくることが予想される。前線でいやらしい存在感のあるファビアンゴンザレスと、前回対戦で活躍を許した鹿沼が不在なのはありがたい。また、6月に突発性難聴を患ってチームを離れていた大津が回復を果たし、今節からさっそくスタメンに入っている。
1st half
- スコアは開始早々に動く。4分、東京は右サイドの深い位置から直接FKを獲得し、バングーナガンデがゴール方向へ低い弾道のキック。ボールがニアの選手に当たって高く跳ね返ると、ボールはPA内のゴール目前めがけて落ちてくる。すると、いち早く落下点に入った木本が磐田GK・三浦が伸ばした腕よりも先に打点の高いヘディングで叩き、ボールは転々とゴールイン。遠目には木本が三浦の動きを身体で押さえたように見え、GKに対するファウルを取られそうな空気だったので、「あれ、入った?」という感じだが、得点は認められて1-0。少し呆気ない形ながら、東京がリードを奪う。
- 早くもアドバンテージを握った東京は、強烈なハイプレスを仕掛け、磐田のバックラインに対して圧力をかける。磐田はボールを繋いで出口を探そうとしているが、前線に収めどころがなく、またサイドでも長友とバングーナガンデがイニシアチブをとって突破を許さない。東京のプレスが完璧に機能したことで、磐田側でのハーフコートゲームの様相を呈している。
- 14分、磐田は最後尾の三浦にバックパスが渡ったところにレアンドロがチェイスして圧力をかけると、三浦が味方に出したパスがミスキックとなり、ボールはフリーの渡邊のもとへ。慌ててカバーに入った磐田の選手を渡邊がフェイントでかわし、余裕を持ったままシュートを叩き込んで2-0。相手のミスに乗じて東京が早くもリードを2点に広げる。
- 苦しい立ち上がりとなった磐田だが、19分に中盤でのボール奪取から鋭いカウンターを撃つ場面を作り、これでようやく流れを掴む。25分に左サイドのクロスから大津がシュートを撃つと、29分にもCKの流れからPA内で大津がフリーとなり、中への折り返しを東京がどうにかクリアするなど、水際での守備の場面が急に増える。磐田にとってはプレースキッカーに精度の高いキックを蹴れる遠藤がいるのも大きい。波状攻撃にまでなっていないのは、依然としてサイドの攻防で踏ん張れているからだろう。
- 42分、東京は自陣で東がルーズボールを回収し、ロングカウンターが発動。左サイドに開き、渡邊のラストパスを中央の松木がフリーでシュートへ持ち込むが、これはクロスバーを叩いてゴールならず。ここで3点差に広げていれば試合は決まったようなものだっただけに、惜しい場面だった。前半はこのまま2-0で終了。リードできたのは良かったが、その後は磐田に押し返されて難しい時間を過ごしてしまった。後半に切り替えたい。
2nd half
- 磐田はHT明けにジャーメインを投入して前線に配置。大津がジャーメインをサポートする形の4-4-1-1にシステム変更する。前半はボールの収めどころが無かった磐田だが、ジャーメインというターゲットが出来たことで、割り切ったボールを蹴りやすくなった。その影響もあってか、後半の立ち上がりは攻守の入れ替わりが多い展開となる。
- 57分、磐田は上原がミドルシュートを狙うと、スウォビィクが弾いてから攻守が入れ替わり東京がカウンター。安部がドリブルで突進し、GKと1vs1になりかける寸前で大森が後ろから手を使ったファウルで止める。決定機阻止で一発退場となるか判断の分かれる局面だが、カバーが間に合う状況と判断されたか、大森はイエローカードどまり。磐田は九死に一生だ。
- 66分、磐田は3人を同時に交代。吉長や金子といったフレッシュな選手が中盤に入ったことで守備の出足が良くなり、東京はなかなかボールをキープさせてもらえない。71分には紺野と渡邊の両サイドアタッカーを下げ、ディエゴと三田を投入。「攻め切る」よりは「時間を作る」ことに主眼を置いたベンチワークだ。そんな中、78分にはカウンターからレアンドロがチャンスを迎えるものの、シュートは止められて追加点が遠い。
- 試合が終盤に入ると、東京は東を下げて梶浦を投入。梶浦と松木のダブルボランチにシステムを変更し、ここからは撤退戦だ。80分にジャーメインのポストプレイから途中出場の吉長に強烈なシュートを撃たれるなど、危ない場面はあったが、圧力は感じながらも決定的な場面は作らせず。このままタイムアップのホイッスルが鳴り、東京が2-0で逃げ切りに成功。磐田からは今季4回目の対戦にしてようやくの初勝利となった。
impressions
- 連敗だけは避けたい状況下で、やるべきことをやりきれたからこそ得られた勝点「3」だった。前節の浦和戦での大敗を受け、チームとしてどのような反省をしたかは分からないが、少なくとも守備に関しては改善が見てとれる試合内容だった。相手のミスなどもあって早い時間帯のうちにリードを奪えたことにより、「守備さえしっかりやれば勝てる」状況になったことが、アグレッシブな守備スタイルの体現を後押ししたのではないかと思う。
- 前半立ち上がりの試合運びは、パーフェクトに近かった。まずセットプレイですぐに先制できたのが大きかった。ややラッキーの要素も含まれていたように思うが、いちはやく壁に当たったボールの落下点に入った木本の巧さが際立つゴールだった。DFに怪我人が続出している中、シーズン開幕時から安定稼働し続けているだけでもありがたい存在の木本だが、今日は決勝点もマーク。この選手の価値はもっと評価されて然るべきだろう。
- 先制したことで良いリズムが生まれたか、その後は強烈なプレスをかけて相手の組み立てを無効化させた。渡邊の2点目については「相手GKのミス」といえばそれまでだが、暑さの中で消耗も考慮しなければいけない状況下、前半の早い時間帯から裏を取られるリスクを冒してまでプレスをかけにいくという認識をピッチ上の選手たちが共有していなければ、あのゴールは生まれなかったはず。後々の試合運びが楽になる1点だった。
- リードを広げた後の試合運びに関しては課題が残った。前半は、守備の強度が少し落ちてきたところで磐田にあっさりと主導権を渡してしまい、ゴール前に何度も危険なボールを入れさせてしまった。後半も、相手がポストプレイヤーを入れてアップダウンの激しい展開を仕掛けてくる中、効果的なカウンターを繰り出すことができず、かといってボールキープもなかなかさせてもらえなかった。結果的にボール支配を明け渡し、必要以上の「お付き合い」をしてしまった感は否めない。ベストメンバーをなかなか組めない難しさはあるが、今後の戦いを見据える上では要改善だろう。
- 個人技での打開やプレスからの速攻で奪ったゴールを守り切る形の試合が多いのを観ていると、シーズン開幕前に思い描いた試合運びやプレイスタイルとは、まだまだ乖離があるのが現実だ。とはいえ、怪我人や移籍などでメンバーの入れ替わりが頻繁に発生しながらも、4-1-2-3のシステムを軸にして戦い続けられている点は前向きに捉えて良いと思っている。消耗の激しい夏場でも勝点を拾えているのだし、個人的にはシーズンが終わった時にチームがどうなっているかで評価をするつもりだ。
- 次の週末は、日本代表の試合が開催される関係でリーグ戦が無く、2週間のインターバルとなる。6月の中断明けからは内容と結果の両面で課題の残る試合が多かったが、必要以上に悲観するような状況でもない。次節は上位にいるサンフレッチェ広島とのアウェイ戦があり、その後の8月は週1ペースでコンスタントに試合消化する日程となるだけに、コンディションをしっかり整えてくれることを望みたい。
FC東京 |
2 |
2 | 前半 | 0 |
0 |
ジュビロ磐田 |
0 | 後半 | 0 |
|
|
|
木本 恭生 | 4' | 得点 | | |
渡邊 凌磨 | 14' | | | |
GK | 24 | ヤクブ スウォビィク | GK | 21 | 三浦 龍輝 |
DF | 5 | 長友 佑都 | DF | 2 | 山本 義道 |
| 30 | 木本 恭生 | | 3 | 大井 健太郎 |
| 3 | 森重 真人 | | 36 | リカルド グラッサ |
| 49 | バングーナガンデ 佳史扶 | MF | 17 | 鈴木 雄斗 |
MF | 10 | 東 慶悟 | | 50 | 遠藤 保仁 |
| 31 | 安部 柊斗 | | 23 | 山本 康裕 |
| 44 | 松木 玖生 | | 5 | 小川 大貴 |
FW | 17 | 紺野 和也 | | 7 | 上原 力也 |
| 20 | レアンドロ | | 8 | 大森 晃太郎 |
| 23 | 渡邊 凌磨 | FW | 11 | 大津 祐樹 |
GK | 13 | 波多野 豪 | GK | 24 | 梶川 裕嗣 |
FP | 7 | 三田 啓貴 | FP | 14 | 松本 昌也 |
| 9 | ディエゴ オリヴェイラ | | 18 | ジャーメイン 良 |
| 19 | 山下 敬大 | | 25 | 森岡 陸 |
| 28 | 鈴木 準弥 | | 27 | 吉長 真優 |
| 42 | 東 廉太 | | 32 | 黒川 淳史 |
| 43 | 梶浦 勇輝 | | 40 | 金子 翔太 |
木本 恭生 | | 4' | 得点 | | | |
渡邊 凌磨 | | 14' | 得点 | | | |
| | | 交代 | HT | | 山本 義道 |
| | | ジャーメイン 良 |
| | | 警告 | 58' | | 大森 晃太郎 |
| | | 警告 | 60' | | 大津 祐樹 |
| | | 交代 | 66' | | 遠藤 保仁 |
| | | 松本 昌也 |
| | | 大森 晃太郎 |
| | | 吉長 真優 |
| | | 大津 祐樹 |
| | | 金子 翔太 |
紺野 和也 | | 71' | 交代 | | | |
三田 啓貴 | | | |
渡邊 凌磨 | | | |
ディエゴ オリヴェイラ | | | |
| | | 警告 | 81' | | リカルド グラッサ |
東 慶悟 | | 81' | 交代 | | | |
梶浦 勇輝 | | | |
| | | 交代 | 84' | | 大井 健太郎 |
| | | 森岡 陸 |
レアンドロ | | 88' | 交代 | | | |
山下 敬大 | | | |
バングーナガンデ 佳史扶 | | | |
鈴木 準弥 | | | |
| | | 警告 | 90+3' | | 渋谷 洋樹(ヘッドコーチ) |