2022.5.21 (土)
2022 明治安田生命J1リーグ 第14節
FC東京 × 柏レイソル
( 味の素スタジアム,15:00 )
introduction
- いきなり個人的な話から始まるのだが、5/4に三ツ沢で横浜×熊本の試合を観た翌日、急に体調が悪化。高熱を出して寝込んでしまった。症状からはただの風邪とは思い難く、遂に「流行りもの」にかかってしまったか・・・と半ば諦めながら、連休明けに病院の発熱外来を受診。PCR検査までしてもらったのだが、検査結果は「陰性」。要するにただの風邪というわけだ。なんとも拍子抜けの結果である。処方された薬を飲んだ翌日には解熱してしまい、あっさりと体調は戻ったのだが、検査結果が偽陰性であることも否定できなかったため、しばらくの間は現地観戦を見送っていた。そんな経緯があり、今日は久しぶりの味スタ現地観戦である。天候は生憎の雨となったが、現地に着く頃には雨脚も弱まり、それほどストレスには感じない。
- 東京を取り巻くチーム状況は、残念ながらあまり良くない。自分が最後に現地観戦した国立競技場での第10節・ガンバ大阪戦を2-0で勝利した後、リーグ戦の連敗が続いているためだ。第11節・アビスパ福岡戦(A)では、負傷離脱した森重とエンリケの両CBの穴を埋めきれずに1-5の大敗。その後もサガン鳥栖に0-1、ジュビロ磐田に1-2と、いずれも接戦を落としてリーグ戦3連敗となってしまった。これ以上の連敗は防ぎたいところである。
- 今節の対戦相手は柏レイソル。現在の順位は4位で、勝点では東京よりも2ポイント上を行っている。昨オフはクリスティアーノや瀬川といった従来の主力選手が次々と移籍で流出し、シーズン前は残留争い必至かとも言われた柏だが、いざシーズンが始まってみれば安定した成績を残している。ここはネルシーニョ監督の手腕といったところだろう。一方、直近のリーグ戦5試合では僅か1勝にとどまり、東京と同様、シーズン開幕直後の勢いは失われつつある。ここで勝利して再び良い雰囲気を取り戻したいはずだ。
- 東京にとっての数少ない朗報は、森重の復帰が挙げられる。4/20の名古屋戦の試合終盤に受傷してしばらく戦列を離れていたが、3日前の5/18に行われたルヴァンカップの福岡戦でスタメン復帰し、45分間プレイ。試運転もバッチリだ。今節は久々に森重と木本のCBコンビがスタートから最終ラインに揃うことになる。攻撃面では紺野がスタメンとなった一方、レアンドロや山下がメンバー外。ジョーカー的な存在がいない以上、なるべく先制点を許さずにロースコアの展開に持ち込むのが理想的かもしれない。
1st half
- 開始早々にチャンスを作ったのは東京。3分、高い位置のプレスからボールを奪い返し、アダイウトンのラストパスをゴール正面に走りこんだ安部が押し込もうとするが、柏の若手GK・佐々木が防いでピンチを防ぐ。東京は即時奪回という狙いどおりの形。これ以外にも最終ラインから中盤に対して比較的長い距離の縦パスが何度か入り、リズムとしては悪くない。
- 一方の柏は、前線からそれほど厳しいプレスはかけてこないものの、中盤からは一気に寄せが激しくなり、ボールを奪ったら2トップの細谷と小屋松が裏のスペースを狙って動き出し、一気に裏を返そうという狙い。ボールを一度奪っても、直後に奪い返されたらピンチを迎えやすそうだ。
- 20分、柏はCKの流れからこぼれ球をサヴィオが拾うと、東京のDFラインが整わない隙に、木本と森重のCB間のギャップに入り込んだ細谷へ鋭いスルーパスを供給。これがズバッと足元に収まり、一瞬にしてゴール前で決定機を迎えるが、スウォビィクが素早く距離を詰めてコースを限定し、シュートも防いでピンチを脱出。細谷には去年の味スタでの試合でも自分たちのミスからゴールを許しており、しっかりとした対応が必要だ。
- ピンチの後にチャンスあり・・・といきたいところだが、その後も柏が主導権を握る展開。25分、ミドルゾーン起点のカウンターから三丸が左サイドからハーフスペースまで侵入し、ゴール前でスクランブル状態となるが、これも東京がクリア。水際の攻防が続く。なかなか押し返せない東京は、前線でボールが出てくるのを待つディエゴへどうにかパスを供給したいが、ディエゴにほぼマンツーマンでマークにつく上島の守備が非常に厳しい。主審の判定がやや緩いため、ファウルを引き出せないディエゴは見るからにフラストレーションを溜めている様子だ。
- その後は互いに決定機を迎えることなく、0-0で前半終了。東京は攻める場面が皆無だったわけではないが、アダイウトンの推進力で押し込むくらいしかチャンスを作れそうな空気が無い。強いて戦果を挙げるならば、安部のボール回収に対して柏の椎橋が後方からチャージをかけ、主審のイエローカードを引き出したことくらいか。今日も我慢の試合展開だ。
2nd half
- 流れを変えたい東京は、後半開始から運動量のギアを1段上げる。高い位置からしつこくボールを追い、奪い取る狙いだ。51分には柏の最終ラインにディエゴがプレスをかけてパスミスを誘い、高い位置でのカットから紺野がPA内に侵入して倒されるがPKは勝ち取れず。前半と同様に体力があるうちに1点を取り切りたい。
- しかし柏もこの東京の圧力に対して怯まずに前進。56分には東京のCKのこぼれ球を拾ってカウンターが発動。戸嶋がボールを運んで細谷へのラストパスが通るが、どうにか東京も戻り切ってシュートは許さず。59分にはゴール正面で柏に直接FKを許し、サヴィオが右足で狙ったシュートがクロスバーを直撃し、どうにか失点を免れる。
- 最初のテンポアップでチャンスを作ることのできなかった東京は、61分に最初の交代カードを切る。長友と紺野を同時に下げ、中村と渡邊を投入。右サイドのユニットを同時に代える。渡邊はややインサイド寄りの立ち位置を意識している様子だ。71分にはこの日相手のマークに苦しんだディエゴを下げて永井を投入し、左サイドに置く。
- すると直後の73分、小川のロングパスに永井が抜け出して左サイドからPAに侵入。右足で狙ったシュートは惜しくもゴールの右に外れるが、久々の良い形だ。76分には中盤の競り合いのルーズボールを拾ったアダイウトンが左サイド寄りの位置からドリブルで仕掛けてミドルシュートを狙うが、これはクロスバーを直撃。前節の磐田戦で決めたスーパーショットと同じ形でスタンドからは大きなどよめきが起きるが、なかなかリードを奪えない。
- 0-0のまま両チームに疲れの色が見え始め、ややオープンな攻防が増えてきて迎えた90分、柏は右CKでのリスタートをゴール前に入れると、混戦の中で跳ね返ったボールがゴールネットを揺らす。土壇場での先制点となり、柏はベンチメンバーも駆け寄って総出でのゴールセレブレーションだ。よもやのセットプレイからの失点で立ち尽くす東京の選手たち。しかし、センターサークルにボールがセットされたところでVARが介入。飯田淳平主審によってオンフィールドレビューが行われる。ビジョンには混戦の最後にボールを押し込んだ上島の手にボールが当たっている映像が映し出されると、レビューにはそれほど多くの時間はかからず、主審はハンドのジャッジで得点は取り消しに。ホーム側のスタンドからは大きな拍手が起きる。
- 後半ATはVARによって救われた形の東京が反転攻勢を仕掛け、ゴール前に何度かチャンスに繋がりそうなボールが供給されるものの、消耗戦の末に溜まった疲労は相当なようで、なかなかあと一歩が出ない。結局、互いに決定機は作れずに試合終了のホイッスル。0-0のスコアレスドローとなり、東京は前節までの連敗を「3」でストップした。
impressions
- とにかくフィジカル的に非常にタフな試合だった。試合を通じて攻守の入れ替わる場面が多く、トランジションの局面においては特に柏が走力でもってひっくり返そうと試みていたため、急いで帰陣を要求される場面は少なくなかった。勿論ピンチの場面もあったが、そこで守備が耐えきり、久々のクリーンシートを達成できたのは収穫といえるだろう。森重も怪我の復帰から2試合目でフル出場だったが、問題なくプレイしており安心した。
- 試合全体に関しては、柏がコントロールしていた試合だったといえるのではないだろうか。前後半共に、立ち上がりこそ東京のハイテンションな守備から流れを握られたかに見えたが、裏のスペースへの素早い展開は東京を主にフィジカル面で苦しめていた。体力的に厳しい試合終盤は、前線に大卒ルーキーの森や、ルヴァンカップのグループステージで大活躍した升掛などの若手選手を積極的に起用するなど、攻撃陣の層の厚さも見せていた。土壇場の得点の取り消しはアンラッキーな面もあったが、いつ得点が生まれていてもおかしくない試合運びをしていたことは間違いないだろう。
- 東京は前半にディエゴを封じられてチャンスメイクできず、後半にテンションを上げて攻めに出たが、最後まで火力不足の感は否めなかった。最初のギアチェンジは後半の頭からだったが、柏に問題なくアジャストされてチャンスを作れず。その後は両サイドに梃入れを図り、これはある程度成功したと考える。しかし、永井とアダイウトンの決定機をいずれも決めきれず、この2つのビッグチャンスを逃したことで、勝点3奪取の望みが遠のいた。ベンチに永井以外のFWを置いておけなかったのも痛かった。VARによる柏の得点取り消し後は、どさくさ紛れで1点取れないかと誰もが邪なことを考えただろうし、実際に自分も考えたが(笑)、現実はそんなに甘いものではない。無得点に終わった事実は真摯に受け止める必要がある。
- 勝ちきれなかったことは事実だが、無失点という結果が出たことは間違いなく前進といえる。連敗中は即時奪回の守備意識が少し薄れていたように感じたので、その意識が戻ってきたのも良かったと感じた。やるべきことはやっているわけで、下を向く必要はない。そのうえで、攻撃の精度を上げていけば良いのではないか。次節は中3日でのアウェイ・清水エスパルス戦となっており、厳しい日程ではあるが、大きく戦い方を変える必要性は無い。コンディションをしっかり整えて、次の試合に臨んでほしい。
FC東京 |
0 |
0 | 前半 | 0 |
0 |
柏レイソル |
0 | 後半 | 0 |
|
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| | 得点 | | |
GK | 24 | ヤクブ スウォビィク | GK | 21 | 佐々木 雅士 |
DF | 5 | 長友 佑都 | DF | 3 | 高橋 祐治 |
| 30 | 木本 恭生 | | 44 | 上島 拓巳 |
| 3 | 森重 真人 | | 4 | 古賀 太陽 |
| 6 | 小川 諒也 | MF | 25 | 大南 拓磨 |
MF | 16 | 青木 拓矢 | | 6 | 椎橋 慧也 |
| 31 | 安部 柊斗 | | 2 | 三丸 拡 |
| 44 | 松木 玖生 | | 10 | マテウス サヴィオ |
FW | 17 | 紺野 和也 | | 28 | 戸嶋 祥郎 |
| 9 | ディエゴ オリヴェイラ | FW | 19 | 細谷 真大 |
| 15 | アダイウトン | | 14 | 小屋松 知哉 |
GK | 13 | 波多野 豪 | GK | 46 | 松本 健太 |
FP | 7 | 三田 啓貴 | FP | 7 | 大谷 秀和 |
| 10 | 東 慶悟 | | 22 | ドッジ |
| 11 | 永井 謙佑 | | 23 | 岩下 航 |
| 23 | 渡邊 凌磨 | | 32 | 田中 隼人 |
| 29 | 岡崎 慎 | | 38 | 升掛 友護 |
| 37 | 中村 帆高 | | 39 | 森 海渡 |
| | | 警告 | 25' | | 高橋 祐治 |
| | | 警告 | 40' | | 椎橋 慧也 |
紺野 和也 | | 61' | 交代 | | | |
渡邊 凌磨 | | | |
長友 佑都 | | | |
中村 帆高 | | | |
ディエゴ オリヴェイラ | | 71' | 交代 | | | |
永井 謙佑 | | | |
| | | 交代 | 79' | | 戸嶋 祥郎 |
| | | ドッジ |
| | | 椎橋 慧也 |
| | | 大谷 秀和 |
| | | 細谷 真大 |
| | | 森 海渡 |
| | | 交代 | 86' | | マテウス サヴィオ |
| | | 升掛 友護 |
安部 柊斗 | | 87' | 交代 | | | |
三田 啓貴 | | | |