2022.3.26 (土)
2022 Jリーグ YBCルヴァンカップ Dグループ 第3節
FC東京 × 湘南ベルマーレ
( 味の素スタジアム,15:00 )
introduction
- この週末は、カタールW杯のための大陸別予選が行われるインターナショナルウィークとなっており、リーグ戦はお休み。代わりにルヴァンカップの試合が開催される。アビスパ福岡・湘南ベルマーレ・ジュビロ磐田と同じDグループに入っている東京は、この試合がグループステージ3試合目。ここまでの2試合がPrime videoのネット中継での観戦だった自分は、この試合が今季のルヴァンカップ初めての現地観戦である。
- 東京はこのグループステージで2試合を消化し、福岡に0-1で敗戦、磐田に0-0のドローで1分1敗。未だに勝ち星が無い。福岡との試合に関してはチーム活動休止明け直後の試合だったため致し方ない面はあったが、いずれにしてもそろそろ勝点3を積み上げなければ、プレーオフステージ進出は少し難しくなってくるという重要な局面だ。
- そんな状況での今節の対戦相手は湘南ベルマーレ。リーグ戦では今季未だに勝利無しと苦戦している湘南だが、このルヴァンカップに関しては、2戦2勝と良い滑り出しを見せている。湘南にとってはリーグ戦に向けて弾みをつけたい試合のはずだ。しかし東京にとっても勝利すればグループ首位との勝点差を一気に縮められるチャンスであることは間違いない。
- 今節は長友が日本代表、松木がU-21日本代表に招集されている関係でメンバー外。またエンリケは前節の磐田戦で退場処分を受けたため出場停止となっており、それ以外の選手でメンバーを組むことになる。1週間のインターバルを置いての試合ということもあり、木本・森重・渡邊・安部の4人が先週末のリーグ戦に続いてのスタメン出場。FW登録は山下と永井に加えて三田が名を連ねており、前線の並びは見てみないと分からなさそうだ。
- 今日の味スタの天候は、曇ながら暖かめの気温。気持ち薄めの服装でスタンドに到着したが、朝から吹いている風が非常に強く、じっとしていると体温を奪われる。試合途中からはブランケットやマフラーを着込んでも寒く感じるほどだった。選手にとってはやりやすい温度かもしれないが、ボールは強風のため流されやすく、ハイボールへの対処も注目ポイントだ。
1st half
- スタートの立ち位置を見ると、東京は「いつもどおり」の4-1-2-3。FW登録の三田は右サイドのアタッカーポジションをとっており、これまでにチーム内で起用されたポジションとは異なる場所で仕事をするようだ。
- 立ち上がりは両チーム共に中盤のタッチ数がやや多い試合内容で、最初は東京が攻め込む構えを見せる。7分、左サイドを攻め込んだ永井の折り返しを東がボレーで狙うなどチャンスも作るが決めきれず。するとその後はテンポ良くパスを回して中央に人を集めてからサイドへ大きく展開する形をとった湘南がやや優勢といえる内容で時計が進む。
- 強風の影響は試合前に予想したほどは無さそうな様子だが、戦い方に多少なりとも影響してストレスを抱えるとしたら、それはより多くのロングパスで局面を変えていきたい東京の方だろう。立ち上がりの出入りの多い時間帯の後はチャンスといえる場面を作れず、しばらく我慢の時間が続く。
- 31分、東京は鈴木がアタッキングゾーンの山下へ楔のパスを入れると、山下は収めるかと思いきやダイレクトで右サイドの三田へフリック。三田がハーフスペースまで侵入して折り返したボールを東がヘディングで狙うが、惜しくもクロスバーに弾かれてゴールならず。東が頭を抱えて悔しがる。この場面に限らず、今日の東は得点への意識がいつもより強めな印象だ。
- 39分、東京は最終ラインの森重が山下を狙った鋭い楔のパスを出すと、これを相手の杉岡がカット。しかしカットしたボールは狙いに反して湘南のDFラインの後方へとこぼれ、裏のスペースに走っていた安部に渡るプレゼントボールとなり、期せずしてGKと1vs1に。安部が冷静に流し込んで1-0。期せずして得たチャンスを確実に決めて東京が先制する。東京はこの直後にも押し込んで三田が意表を突いたループシュートを狙うが、惜しくも枠を外して得点には至らず前半終了。ほぼ互角といえる内容だったが、そんな中でリードを奪うことができたのは大きい。
2nd half
- 後半もややテンションの高い立ち上がりとなり、東京が押し込めば湘南も縦に速い攻撃で応戦。48分には米本がカウンターの起点となって大橋がゴール前まで持ち込む場面を作ると、54分には中盤での奪取から再び米本が大橋へ長い縦パスを通し、鈴木(章)のフィニッシュまで繋げる。東京は守備への切り替えの速さでどうにかピンチを免れるが、攻撃を中途半端な形で終えることだけは避けなければならない。
- すると60分、東京は木本の縦パスを起点に、安部が落としたボールを三田が回収してドリブルでカットイン。中央まで侵入しても相手の寄せが甘いと見るや、三田が得意の左足を振り抜く。シュート自体は強烈なものではなかったが、これが湘南DFに当たって僅かにコースが変わり、GK・富居が反応しきれずゴールイン。ラッキーな形で2-0と東京がリードを広げる。運に恵まれたとはいえ、シュートを撃ったからこそ生まれたゴールだ。
- 東京はリードを広げた直後にディエゴ・アダイウトン・青木という強力な3人を投入。更に時間を置かずして髙萩と中村を投入し、ボランチを青木と東の2枚とした4-2-3-1にシステム変更する。リーグ戦でも試しているシステム変更で、やや堅守速攻を意識した交代に見える。すると、ここから試合は湘南がボールを支配する展開に。
- 77分、湘南は右サイドを起点に中央で密集を作ってから、途中出場のタリクが左サイドの高橋へ展開。アタッキングゾーンまで入ってきた高橋のグラウンダー性のクロスを、ゴール正面に走り込んできた池田がダイレクトで蹴り込んで2-1。湘南が追撃の1点を挙げて食い下がる。その後も湘南が攻める時間が続き、ハイプレスをかけられない東京は少し苦しい展開。しかし、ゴール前に人数をかけて築き上げたブロックで跳ね返し続け、攻撃でもディエゴにボールを収めるなど効果的に時間を使った。結局、2-1のまま東京が撤収完了。グループステージ3試合目にして初勝利を挙げた東京が、湘南との勝点差を「2」へ縮めることに成功している。
impressions
- リーグ戦に出ているメンバーの休息などを考慮しつつ、控えメンバーをいかに活用しながら勝利に持っていくか、という難しい命題を課せられた試合だったが、よく勝ち切ったと思う。風が強くて高精度のロングボールが望めない中、「地上戦」を見事に制した。東京の2点は共に相手の選手に当たってチャンス、もしくはゴールが生まれており、運が味方した得点だったことは間違いないが、いずれもそこで鋭いパスやシュートを狙う姿勢が無ければ生まれなかったゴールであり、その姿勢こそ評価すべきだ。
- 先制点を奪ったのは、今季これまで攻撃の場面で何度もゴール前に顔を出していた安部。昨季は公式戦で無得点に終わった安部だが、今日は目に見える結果も出してくれた。今日は松木が不在の影響で東とインサイドのコンビを組む形になったが、安部が積極的な攻撃参加を見せることで、東も今まで以上に貪欲にゴールを狙う姿勢が見えた。今季初スタメンでアンカーに起用された平川も、試合の序盤はなかなかボールに絡む場面が無かったが、最終ラインに近いところまで下りていってパスを引き出すなど、徐々に試合の流れに馴染んでいったように思う。
- また、三田もインサイドやトップ下とは異なるポジションでの起用だったにも関わらず、こちらもゴールという結果を出した。現在リーグ戦では紺野やアダイウトンが縦に仕掛ける形でサイド攻撃を担っているが、三田のように中を窺うスタイルの選手の存在があると、チームとしても攻撃の選択肢は増えるはず。そういう意味でも収穫の大きい勝利だ。
- 他方で、後半途中までは完璧に近い試合内容だったが、2点リードしてからの選手交代で4-2-3-1にシステム変更してからは、なぜか流れが悪くなってしまった印象が残った。一旦受けに回るような形にしたことで、ボールの奪いどころを上手く設定できなかったのか。原因はよく分からなかったが、いずれにしても、自分たちのスタンスの変更で試合を逆に難しくしてしまったことは反省点だろう。カップ戦で色々な戦術を試し、課題が出てくること自体は悪くない。今後の改善に期待したい。
- 次の週末にはリーグ戦が再開し、いよいよ今季最初の山場、横浜M・神戸・浦和との3連戦が待っている。特に横浜Mとは昨季0-8と大敗した悔しさもあるだけに、今のチームでどのような戦いが出来るか楽しみだ。
FC東京 |
2 |
1 | 前半 | 0 |
1 |
湘南ベルマーレ |
1 | 後半 | 1 |
|
|
|
安部 柊斗 | 39' | 得点 | 77' | 池田 昌生 |
三田 啓貴 | 60' | | | |
GK | 13 | 波多野 豪 | GK | 23 | 富居 大樹 |
DF | 28 | 鈴木 準弥 | DF | 24 | 福島 隼斗 |
| 30 | 木本 恭生 | | 4 | 舘 幸希 |
| 3 | 森重 真人 | | 2 | 杉岡 大暉 |
| 23 | 渡邊 凌磨 | MF | 5 | 古林 将太 |
MF | 40 | 平川 怜 | | 15 | 米本 拓司 |
| 31 | 安部 柊斗 | | 42 | 高橋 諒 |
| 10 | 東 慶悟 | | 14 | 茨田 陽生 |
FW | 7 | 三田 啓貴 | | 27 | 池田 昌生 |
| 19 | 山下 敬大 | FW | 29 | 鈴木 章斗 |
| 11 | 永井 謙佑 | | 17 | 大橋 祐紀 |
GK | 1 | 児玉 剛 | GK | 31 | 立川 小太郎 |
FP | 8 | 髙萩 洋次郎 | FP | 3 | 石原 広教 |
| 9 | ディエゴ オリヴェイラ | | 8 | 大野 和成 |
| 15 | アダイウトン | | 11 | タリク |
| 16 | 青木 拓矢 | | 18 | 町野 修斗 |
| 29 | 岡崎 慎 | | 25 | 若月 大和 |
| 37 | 中村 帆高 | | 32 | 松村 晟怜 |
安部 柊斗 | | 39' | 得点 | | | |
三田 啓貴 | | 60' | 得点 | | | |
| | | 交代 | 62' | | 鈴木 章斗 |
| | | 町野 修斗 |
| | | 茨田 陽生 |
| | | タリク |
平川 怜 | | 63' | 交代 | | | |
青木 拓矢 | | | |
永井 謙佑 | | | |
アダイウトン | | | |
山下 敬大 | | | |
ディエゴ オリヴェイラ | | | |
三田 啓貴 | | 70' | 交代 | | | |
髙萩 洋次郎 | | | |
鈴木 準弥 | | | |
中村 帆高 | | | |
| | | 交代 | 72' | | 大橋 祐紀 |
| | | 若月 大和 |
| | | 古林 将太 |
| | | 石原 広教 |
| | | 得点 | 77' | | 池田 昌生 |
| | | 交代 | 80' | | 高橋 諒 |
| | | 松村 晟怜 |