2021.10.23 (土)
2021 明治安田生命J1リーグ 第33節
FC東京 × 鹿島アントラーズ
( 味の素スタジアム,14:00 )
introduction
- 昨日は仕事の都合により、東北の出張先で宿泊。せっかくの機会なので週末はそのまま現地で過ごしても良かったのだが、土曜日に味スタで試合が組まれた以上は帰京せざるを得ない(笑)。デーゲームのため、午前中の新幹線で一旦帰京・帰宅し、予め準備しておいた観戦用の荷物に貴重品だけ移して即出発という強行軍だ。この1週間はどんよりとした空模様の日が続いたが、今日はスッキリとした晴天で、サッカー観戦としては申し分ない。ただし時折強く吹き付ける風は冷たく、季節が一気に進んだのを実感する。
- ルヴァンカップ準決勝で名古屋に敗れ、今季のタイトル獲得の可能性が完全に消滅した東京。リーグ戦でも現時点で勝点「46」の9位という状況だ。ACL出場権獲得の可能性は僅かに残っているが、残り6試合で3位・神戸との勝点差は「14」に開いており、望みは風前の灯。今は目の前の試合で勝利を積み上げていくしかない。今節の相手は現在勝点「53」で6位につける鹿島。こちらはまだACL出場権獲得の可能性を充分に残しており、必勝態勢で臨んでくることが予想される。東京にとっては非常に難しい相手だ。
- 先週のリーグ戦の試合が無かった東京にとっては2週間ぶりの公式戦。選手たちもある程度はリフレッシュできただろう。そんな今日のメンバーだが、長友とオマリが代表チームから戻ってきた点を除くと、最大の注目はGKだろう。波多野がベンチにも入っておらず、代わりに児玉がスタメン。ベンチにはアベノブが入っており、同い年の自分としては胸が熱くなる。前回のホームゲームに引き続き、10,000人上限となっている味スタのチケットは完売となった。久々のリーグ戦勝利とはなるだろうか。
1st half
- 東京は前の試合と同じく、ディエゴが右サイドに入り、永井が1トップという布陣。2分、児玉のロングフィードを右サイドで髙萩が受けると、裏に走った永井へスルーパスを通し、永井の折り返しに再び髙萩が合わせるいきなりのビッグチャンス。シュートは左に外れるが、永井1トップの効果は早くも見て取れる。
- ただ、前半は総じて鹿島が支配する内容。特にMFは4人中3人がブラジル人という強力なラインナップで、鹿島らしいテンポの良い攻撃で中盤をブレイクしてくる。18分には左サイドの突破から上田に繋いでハーフスペースまで侵入し、折り返しをフリーの土居がゴール至近で合わせるが、児玉が素晴らしい反応でストップ。1点もののピンチを救う。
- 東京は立ち上がりのセットプレイの混戦で足を痛めたディエゴのプレイが難しくなった様子で、35分に渡邊に交代。ここ最近は1試合あたり1人くらいのペースで怪我人が出ているような気がする。この隙に乗じたい鹿島は直後の37分、左SBでスタートした安西のドリブルでのカットインから、アラーノ・上田と繋ぎ、折り返しに再び土居が詰める。しかし東京の決死のカバーもありシュートは枠の左へ。東京はまたしてもピンチを免れる。
- このまま0-0で前半を乗り切れば後半に仕切り直しができる・・・。そんな淡い期待を抱きながら迎えた前半AT、鹿島は右サイドで得たFKをピトゥカが左足で蹴る。ゴールに向かってくる高めの弾道のボールに対し、ニアに入ったカイキが頭で僅かにコースを変え、これが決まって0-1。東京は前々節の浦和戦に続く前半終了間際の失点でリードを許し、前半を終える。青木や安部の頑張りで中盤を徐々に支配しつつあっただけに、痛すぎる失点だ。
2nd half
- 意外にも、動いてきたのはリードする鹿島。中盤の三竿を下げてレオシルバが入り、これで鹿島の中盤は全員ブラジル人となる。レオシルバが入るだけでも中盤のプレッシャーが厳しくなるのは目に見えているのだが、これに加え、最終ラインがハイラインを保って圧力をかけてくる鹿島に対し、東京はなかなか攻め手を見いだせない。
- 65分、鹿島は東京の中盤でのバックパスをカットすると、即座にカウンターが発動。レオシルバの裏へのパスにアラーノが抜け出し、ハーフスペースへ走った土居がパスを受けて折り返すと、ここに詰めていた上田がシュート。一度は青木がブロックするが、こぼれ球を再び上田が押し込んで0-2。まさに「お家芸」といえるような、鹿島の鮮やかな速攻だった。東京は意識が前に向いていたせいか、ほとんどの選手が戻り切れていなかった。
- 東京はすぐさま2枚替えを敢行し、三田と東を投入。とにもかくにも、まずは1点が欲しい。71分、長友が左サイドを縦に破って上げたクロスに逆サイドから攻めあがった拓海がダイレクトでシュート。これは枠を捉えないが、徐々に攻撃の形はできつつある。
- すると75分、再び長友のドリブル突破からのクロスをファーサイドの拓海が受け、ゴールラインぎりぎりで折り返し。ふわっとした弾道ながら、ゴール正面に入っていた渡邊が豪快なダイレクトボレーを叩きこんで1-2。鹿島のボックス内での守備を左右から揺さぶれたことと、中央にアダイウトンと渡邊の2枚が入っていたことが奏功した。
- 終盤はリスクを承知で攻め立てる東京に対して、鹿島がカウンターで応じる動きの多い内容。鹿島は途中出場の和泉や荒木が決定機を迎えるが、いずれも枠内シュートに繋がらず。まだ何かが起こりそうな空気はある。最後の交代カードで紺野を投入して攻め立てる東京だが、この状況で面白いクロスが入ってこない。後半ATにはゴール前でスクランブルを仕掛けるチャンスが何度かあったが、それも生かせず、1-2で試合終了となった。鹿島はACL出場権の可能性を残す大きな勝利。東京はリーグ戦3連敗となった。
impressions
- 終わってみれば、鹿島が東京のウィークポイントにしっかりと付け入ってしたたかに勝点「3」を得た印象だ。立ち上がりこそ東京が何度か良い形を作ったが、ボールを奪ってからのスピードの速さで鹿島が一気に流れを持っていた感がある。前後半共に決定機をなかなか決めきれず、終わってみれば1点差ではあったが、もっと点差がついてもおかしくない内容だった。自陣でボールを奪ってから相手陣内に持っていくまでの切り替えの部分で、東京は全く太刀打ちできなかった。妥当な試合結果だと思う。
- 東京からすれば、決定的なピンチを複数回与えた前半を0-0で乗り切っていたら、結果は分からなかったかもしれない。それだけにHTを目前にしての失点が悔やまれる。セットプレイなので致し方ない面はあるかもしれないが、ニアに入られて先に触られることだけは防がなければいけなかったのではないか。こういうディテールをきっちり詰めていかなければ、上位との差はますます離されるだけだ。
- 0-2とされて以降は、拓海と長友の両SBがかなり高い位置取りをしてクロス攻勢にしたことで押し込むことに成功。左右の揺さぶりから途中出場の渡邊が味スタで初めてとなるゴールを決め、同点への望みは残ったが、終盤はサイドを深くまで押し込み切れなかった。後半ATのCKの場面では児玉を攻撃参加させる選択肢もあったはずだが、ベンチから明確な指示が出ず。こういった場面での立ち回り方は詰めておくべきだ。
- シーズン終盤の正念場ともいえる、9月下旬から10月にかけての上位チームとの連戦で3連敗。ルヴァンカップの敗退も含め、チームとしての実力不足を突き付けられた感があり、見ている側にとってもショックの大きな1ヵ月間だった。しかし、リーグ戦はまだ5試合残っている。失意のままシーズンを終えるわけにはいかないし、改めてチームの奮起を望みたい。
FC東京 |
1 |
0 | 前半 | 1 |
2 |
鹿島アントラーズ |
1 | 後半 | 1 |
|
|
|
渡邊 凌磨 | 75' | 得点 | 45+1' | アルトゥール カイキ |
| | | 65' | 上田 綺世 |
GK | 1 | 児玉 剛 | GK | 31 | 沖 悠哉 |
DF | 22 | 中村 拓海 | DF | 32 | 常本 佳吾 |
| 3 | 森重 真人 | | 33 | 関川 郁万 |
| 32 | ジョアン オマリ | | 28 | 町田 浩樹 |
| 50 | 長友 佑都 | | 2 | 安西 幸輝 |
MF | 21 | 青木 拓矢 | MF | 17 | アルトゥール カイキ |
| 31 | 安部 柊斗 | | 20 | 三竿 健斗 |
| 9 | ディエゴ オリヴェイラ | | 21 | ディエゴ ピトゥカ |
| 8 | 髙萩 洋次郎 | | 7 | ファン アラーノ |
| 15 | アダイウトン | FW | 8 | 土居 聖真 |
FW | 11 | 永井 謙佑 | | 18 | 上田 綺世 |
GK | 16 | 阿部 伸行 | GK | 1 | 権 純泰 |
FP | 7 | 三田 啓貴 | FP | 4 | レオ シルバ |
| 10 | 東 慶悟 | | 11 | 和泉 竜司 |
| 18 | 品田 愛斗 | | 13 | 荒木 遼太郎 |
| 23 | 渡邊 凌磨 | | 19 | 染野 唯月 |
| 34 | 大森 理生 | | 22 | 広瀬 陸斗 |
| 38 | 紺野 和也 | | 25 | 遠藤 康 |
ディエゴ オリヴェイラ | | 35' | 交代 | | | |
渡邊 凌磨 | | | |
| | | 得点 | 45+1' | | アルトゥール カイキ |
| | | 交代 | HT | | 三竿 健斗 |
| | | レオ シルバ |
| | | 得点 | 65' | | 上田 綺世 |
青木 拓矢 | | 66' | 交代 | | | |
三田 啓貴 | | | |
髙萩 洋次郎 | | | |
東 慶悟 | | | |
渡邊 凌磨 | | 75' | 得点 | | | |
| | | 交代 | 76' | | 土居 聖真 |
| | | 荒木 遼太郎 |
| | | アルトゥール カイキ |
| | | 和泉 竜司 |
永井 謙佑 | | 83' | 交代 | 83' | | ファン アラーノ |
紺野 和也 | | | 染野 唯月 |
児玉 剛 | | 90' | 警告 | | | |
ジョアン オマリ | | 90+2' | 警告 | | | |