水曜日に行われたルヴァンカップの試合に続き、中2日で再び迎える味スタでのホームゲーム。今日はリーグ戦の試合だ。4月の川崎戦からリーグ戦5連敗という深刻なトンネルに入っていた東京だが、前節は柏とのアウェイ戦で4-0。髙萩をトップ下に起用した4-2-3-1にシステム変更して臨んだ一戦で、それまでの不調が嘘のような快勝を挙げた。その勢いを受けての今日の試合は、これまでの連敗を少しでも取り返すために、勝点「3」が求められる一戦になる。週末の5,000人上限の試合ということもあり、チケットは完売。最終的には4,900人近い客が味スタに集まった。今節の対戦相手は、シーズン序盤から予想外の苦戦を強いられているG大阪。3月にチーム内で新型コロナウイルスの集団感染が発生し、1ヶ月以上に渡り公式戦から遠ざかったことで、暫定とはいえ下位からのスタートだったのが難しかったか。活動再開後は深刻な得点力不足で勝点を積み上げられず、宮本監督は解任。現在は暫定的に松波監督が2012年シーズン以来となるチームの指揮をとっているが、その松波監督体制下でも未だに勝利が無く、リーグ戦は3連敗中。直近の公式戦勝利は4/14の鳥栖戦(A)まで遡らなければならず、現在は勝点「7」の暫定18位に沈んでいる。そして迎える今節、G大阪にとって味スタは元々相性の良くない「鬼門」だったが、昨季のリーグ戦では東京に1-0で勝利しており、ようやく悪しきジンクスにピリオドを打ったところ。新たな策を打ってくる可能性もあり、少し不気味な相手だ。東京は肩の負傷明け早々に右SBにスタメンで復帰した内田が前節に安定したパフォーマンスを披露し、今節もやはり右SBでスタートの様子。その他の選手の並びも前節を踏襲した4-2-3-1が想定され、良い流れを継続したい狙いが見える。
どんな入り方になるかと注目した前半、スコアがいきなり動く。右サイドに流れた髙萩が内側から攻め上がった内田にパスを通すと、内田が対面の菅沼と入れ替わってPA内に侵入。中に送り込んだパスをディエゴが押し込み1-0。キックオフから1分も経たないうちに東京が先手を奪う。前節の大勝の勢いをそのまま持ち込んだかのようなスタートを見せた東京は、その後も攻勢を緩めない。3分に小川のクロスに中央のアダイウトンが頭で合わせるがゴールの僅かに右。9分には再び小川のクロスにファーサイドの田川が叩き付けるダイレクトボレーを放つが、ワンバウンドしたボールがクロスバーを叩いて外れてしまう。その後もゴール前に際どいラストパスが次々と供給されるが、ほんの少しだけ味方に合わない場面が続く。こういう展開だとほんのちょっとしたミスからの失点で流れを手放すのが怖い。東京は前節に続いて高い位置から積極的にプレスをかけて取りきるか、あるいは難しいパスを出させて次の所で奪うか・・・という守り方だが、G大阪も最初の守備の網を突破したら深くまで攻めこんでくる。しかし東京もPAの幅より内側は割らせない。右サイドで内田が粘っこい対人守備を見せているのが好印象だ。それでも41分、塚元のキープに森重が食いついて生まれたスペースを突いたレアンドロペレイラ、45+1分には正面をドリブルでこじ開けた塚元がそれぞれシュートに持ち込んでくるが、いずれも波多野が良い弾き方で逃れ、どうにか前半終了。東京はシュートで終わる形が減っており、攻めきる形を増やしたい。後半の入りも東京が攻勢。47分、左サイドを攻め上がった安部の折り返しをフリーの田川がゴール至近で受けるが、戻したボールをディエゴが押し込みきれず。その後もハイテンションで押し込む東京だが、決定機を作れない。G大阪のボール支配が増え、東京は自陣にブロックをセットする形が増えるが、今日はそこからボールを奪いに出ていく姿勢も見える。G大阪は前線の選手を交代してチャンスを窺うが、東京の守備に対して与えるストレスの度合いはあまり変わらない。しばらく攻めきる形の無かった東京も、75分に安部、84分に途中出場の永井がシュートチャンスまで持っていくなど、押し返せるようになっていた。追加点こそ生まれないものの、終盤は持たれてもそれほど危ない空気にはならずにタイムアップのホイッスル。実質90分以上に渡る1点差を堅実に守りきった東京が、今節もクリーンシートでリーグ戦2連勝を飾った。
大型連敗のショックから立ち直りつつあるのを感じさせる勝利だった。なんといっても守備が安定していた。連敗中はハイプレスをかけても奪いきれず、かといって下がって守ってもこじ開けられるという悪循環に陥っていた。しかし前節に再び高い位置から奪いに行くスタイルに立ち返って結果を出し、今節もそれを継続できていた。開始早々に1点先制できた一方、その後はチャンスを作っても点を取れない展開となってしまったが、引くことなく前から攻撃的なプレスをかけることができていたというのが本日最大の勝因ではないだろうか。無論全ての相手ボールをハイプレスで奪いきるのは不可能であり、特に前半の途中からは押し込まれる場面があったが、そこで耐えきれたのも、「このやり方でやられても仕方ない」という割り切りがあったからのように思える。ここ2試合は青木と安部がボランチのコンビを組んでいるが、高い運動量の中でチャレンジ&カバーをこなしてくれているように見える。森重をアンカーに据えた4-1-2-3のサッカーでは、森重の攻撃面での貢献の代わりに背負うリスクがとても大きかっただけに、安心して観ていられた。また、肩の故障から戻ってきて右SBに入っている内田の活躍も大きかった。4月の川崎戦で右サイドをすんなりこなしていたのを観ているので、今更大きな驚きというのはないが、それでも今日はG大阪の左サイドでのキープに対してまとわりつくような守備で貢献。攻撃面でも開始早々の攻撃参加でアシストを決めると、その後もパスやドリブルで全体の押し上げに一役買っていた。G大阪が右SBに三浦を起用し、対面のアダイウトンの攻撃を防ごうとしていたので、その逆サイドを突けたのは非常に大きかった。内田のSB起用は継続して観てみたい。敗れたG大阪は東京のプレスに苦しんだこともあるが、最後は誰がどうやって点を取るのかがあまり整理されていなかったような印象を受けた。矢島のボール捌きや、塚元がインサイドに入っての仕掛けは脅威だったが、一方で途中出場の選手が存在感を見せられず、あと少しのところで迫力不足だった。終わってみれば1点差だったが、東京の勝利は妥当な内容だったと思う。連敗を止めてからの2連勝でひと安心の東京だが、次節は中3日でのアウェイ・清水戦。今日のメンバーをそのままスタートから使うのは少し難しいかもしれず、どのような選手起用でやりくりするか注目したい。