今日は当初味スタでFC東京のホームゲームを観るつもりでいたが、新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響で都内でのスポーツイベントの無観客開催を要請された影響により、味スタの試合もリモートマッチに変更。残念ながら現地観戦はかなわないことになった。それならば大人しく自宅でDAZN観戦・・・というのが正しい「お行儀」なのかもしれないが、Jリーグの試合会場が感染源になったという事例も科学的根拠も無い中、市中の人の流れを抑制することだけを目的とした強制的な無観客開催には、自分は反対である。それならば、その「人の流れが多くなりうる場所」を回避してアクセス可能な別の試合会場を探して、感染対策をした上で現地観戦しに行くまでだ。そこで選んだのが、小瀬でのJ2・甲府×金沢のカードだ。現時点で金沢が勝点「17」の6位、甲府が勝点「15」の7位と接近しており、甲府が勝てば順位が入れ替わるという上位対決である。当初は鈍行で甲府に向かう予定だったが、朝に起きた南武線の人身事故の影響を受けて迂回乗車などしているうちに色々と面倒になり(笑)、結局「かいじ」で甲府に向かう。早めに到着した小瀬の屋台村で「黙食」してからスタジアム入り。感染症対策のため、ここでも販売する座席を間引いての着席にはなるが、メイン・バック・ゴール裏と満遍なく観客は入っており、雰囲気としては悪くない。ビジター席の金沢サポーターも、それほど遠くない距離ということもあってか100~200人くらいは来ていそうな感じだ。
試合の立ち上がりは両者主導権を握るためにボールをやや強めのプレスで奪い合う内容。15分、甲府は野澤が足を痛めて負傷交代。元東京の選手で、個人的には興味を持って観ていただけに残念だ。甲府にとっては予定外の交代カードであり、少し運が悪い。しかし19分、甲府は左サイドの深い位置で開いて受けた泉澤が切り返して右足でクロス。これがファーサイドに伸びていくと、そこに右WBの関口が詰めてシュートチャンス。マークについていた大石が先にボールに触るが、これがGKとクロスバーに当たってゴールラインを割り1-0。記録はオウンゴールとなったが、泉澤の急所を突くようなクロスが生み出した1点だ。甲府は2シャドウの泉澤が左、そして長谷川が右のサイドを深い位置まで攻略する足がかりを担っていて、両WBがサポートをしたり、時には内側のレーンを突いたりと攻撃パターンがあり、金沢の守備を手こずらせている。しかし甲府は36分にDFリーダーでもある山本が足を痛めて負傷交代。甲府はアクシデントの影響で前半のうちに2回の交代機会を使ってしまったことになる。これは大きなハンディキャップだが、前半は1-0のまま終了。金沢は交代を全て残しており、ベンチワークが勝敗を左右する鍵になりそうだ。金沢は後半の頭から左サイドの大石を下げ、今季J3の富山から獲得した大谷を投入。後半開始から大谷がボールを持つ場面ではカットインを試みて存在感を見せる。甲府もカウンターで対抗してチャンスを作り、次の1点が試合の明暗を大きく分けることになりそうだ。すると66分、甲府は左サイドで得たスローインからチャンス。左サイドのハーフスペースでボールを受ける動きを見せた泉澤に対して荒木がボールを入れると、泉澤がキレのある動きでマークをかわし、ドリブルでPA内に侵入。そのまま狭い角度ながらシュートを流し込んで2-0。泉澤の見事な個人技でゴールをこじ開けた甲府がリードを広げる。2点を追う展開になった金沢は、セカンドボールは拾えていてボールは持てているのだが、サイドへボールを開いてもハーフスペースから中が堅く、なかなか攻撃のテンポが上がらない。89分、途中出場の力安がドリブルで中に切れ込んでのミドルシュートも枠の上に外れ、これが金沢にとって最後のチャンスらしいチャンスに。結局2-0のまま試合終了となり、甲府がクリーンシート達成。勝点を「18」に伸ばして金沢を追い抜き、暫定5位に浮上した。
甲府にとってはほぼパーフェクトに近い勝利だった。序盤はどちらに転んでもおかしくない内容だったが、そこで流れを奪ったのが泉澤の存在だ。左サイドに開いて受けて鋭いクロスを供給し、相手のオウンゴールを誘発。泉澤は後半にもサイドに流れながらスローインを受けてそのままゴールに持ち込む大車輪の活躍で、間違いなく今日の勝利の最大の立役者といえるだろう。泉澤だけでなく、右のシャドウポジションの長谷川も度々右サイドを縦に破るトライを多く見せていた。3-4-2-1のシステムにおける2シャドウの役割はチームによって様々だが、甲府の場合は泉澤と長谷川がかなりワイドな位置取りをして、WBと連携しながらサイドを崩す役割を担っていた。1トップに入った新外国人のウィリアンリラも、今日は得点に絡めなかったが、何度かゴール前で顔を出す場面があり、連携が深まれば面白い存在になるのではないか。アクシデントで交代カードを2回使ってしまい、戦術的な交代をするタイミングは実質上1度しかなかったのだが、優位性を持って進められたこともあり、終盤の守備固めでそれを使う余裕を残すことができた。今季のJ2はJ1参入プレーオフが開催されないため、J1昇格には2位に入る必要があるが、甲府にとっては昇格争いに食い込む上で大きな勝点「3」獲得だと思う。一方の金沢は、順位の近い相手との直接対決だったにも関わらず、ほぼ成す術なしのままの敗戦。最大の敗因は、相手陣内に攻め込んでもハーフスペースより内側をほぼ攻め立てられなかったことだろう。前半は甲府のサイド攻撃に押し込まれてなかなか押し返すことができなかった。後半は大谷の投入でやや押し返した感じがあり、セカンドボールも拾えていたが、シュートという場面まで持っていくことができず。今季新加入の丹羽と瀬沼の2トップはJ2の中でも実力者といえるコンビだが、前からの追い込みもやや粗削りでファウルを取られる場面があり、空回りの印象が拭えなかった。終盤は甲府陣内には攻め込むことができていたので、そのまま行けば1点くらいは奪えたのかもしれないが、結局チャンスの取っ掛かりを掴む前に試合が終わってしまったような印象である。今日の内容と結果を踏まえ、次節以降に柳下監督がどのような手を打つか注目したい。甲府の一方的な内容で、個人的には少し肩透かしを食らってしまった感はあったが、久々の小瀬で良い空気を吸うことができたし、ステイホームでDAZNを見ているよりは遥かに充実した1日になった。