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2021.4.11 (日)
2021 明治安田生命J1リーグ 第9節
FC東京 × 川崎フロンターレ
( 味の素スタジアム,14:00 )

東京にとって、「試される一戦」の日がやってきた。ホーム・味スタに現在リーグ首位を快走する川崎を迎えての試合である。川崎はここまで8勝1分の勝点「25」、一方の東京は勝点「15」。川崎の方が1試合多く消化しているとはいえ、既に10ポイントの差を付けられている状況だ。リーグ優勝を狙うのならばこれ以上離されるわけにはいかず、狙うは勝利、最低でも引き分けにして相手の勝点を削りたいところである。先週末の豊田スタジアムに続き、Jリーグの新型コロナウイルス対策実証試験のため、この試合に限り観客数上限が20,000人に緩和されてのチケット販売となったものの、チケットは当日まで完売せず。「コロナ前」ならばフルキャパシティのチケット販売でも完売が期待できた一戦だったが、半分のキャパシティにも満たない入りにとどまるあたり、スポーツ観戦に対する消費者心理は相当冷え込んでいるのだろう。また、感染者数は再び右肩上がりで上昇しており、都内への「まん延防止特例措置」の影響で次のホームゲームからは再び観客数上限が5,000人に減らされ、ビジター席も設置されなくなるようだ。今日のビジター席は川崎サポーターがしっかり埋めてくれたし、ボールパーソンも小平南高校の子たちで、少しだけ平時に戻ったような気持ちになれたが、この光景もまた当面見られないのかと思うと微妙な気持ちになる。せめて今日だけは良い雰囲気と熱い試合を楽しみたい。東京は前節の札幌戦で退場となった渡辺が出場停止。森重がDF登録なのは想像どおりだが、青木や永井がスタメンに入っており、システムにも興味が湧くところ。一方の川崎は負傷中のGK・鄭成龍を除けばほぼベストメンバー。家長・レアンドロダミアン・三笘の強烈すぎる3トップをどう食い止めるかが勝敗のカギだ。

スタートの布陣を確認すると、東京はいつもと異なり4-4-2のシステム。安部と青木がボランチを組み、ディエゴと永井の2人が前線に並ぶ、どちらかといえば守備に重きを置いた選択だ。これでどこまで粘れるかが重要だったが、その目論見はあっという間に崩されてしまう。8分、東京は自陣深くでキープした岡崎の前へのフィードをシミッチに拾われると、レアンドロダミアンを経由して右サイドで余っていた家長にラストパスを許し、頭で押し込まれて0-1。更に17分、今度は青木のパスミスを三笘にカットされ、またしてもレアンドロダミアンを経由して家長に左足で決められ0-2。ただでさえ難しい一戦にも関わらず、似たような形の連続失点で2点を追うことになる。更に23分、シミッチのリスタートからみたびレアンドロダミアンを経由して三笘にゴールネットを揺らされる。電光石火の一撃に唖然とするしかないが、幸いにもこの場面はVARチェックが入り、三笘のオフサイドがとられてノーゴール。ここで飲水タイムとなり、東京にとっては勝敗への興味が完全に失われるのを救ってもらった形だ。再開後の東京は安部と東の立ち位置を入れ替えて守備を立て直し。傷口を広げることだけは食い止め、0-2で前半を終える。後半、東京は安部を下げてアダイウトンを左サイドに投入。ここからようやく攻撃のリズムを取り戻す。59分、拓海が右サイドの裏へ走った永井へロングパスを通すと、永井のグラウンダーの折り返しに中央のディエゴが潰れ、ファーサイドから走りこんだアダイウトンがダイレクトで押し込みゴール。1点差に詰め寄る一撃に、味スタのホーム側スタンドは再び元気を取り戻す。しかし直後の61分、山根の右からのサイドチェンジをカットした拓海のトラップが大きくなってしまったところを、対面の三笘がすかさず奪取。目の前にいるのはGKの児玉だけだ。あっさりとゴールを陥れられて1-3。せっかく奪った1点を水泡に帰す致命的なミスが出てしまった。東京は64分の3枚替えで望みを託すものの、劇薬のような効果はなく、逆に75分にセットプレイからレアンドロダミアンに決められて1-4。84分、アダイウトンの左サイド突破から髙萩のクロスに途中出場の内田が逆サイドから走りこんでヘディングでJ1初得点を決めるが、これが精一杯の抵抗だった。このまま2-4で試合終了。首位の川崎が実力の違いを見せつける快勝を挙げ、東京との勝点差を「13」に広げた。終盤の攻勢がある程度形になっていたこともあり、ホーム側スタンドからも労いの拍手は起きていたが、東京にとって首位争いが遠のく痛恨の敗戦となった。

実力の違いを認めざるを得ない完敗だった。バランス重視の4-4-2で試合に臨んだ東京だったが、狙いはいとも簡単に崩された。1失点目は東京がボールを保持しながらも川崎にパスコースを切られて深くまで戻さざるを得なくなり、岡崎が苦し紛れに前へ蹴ったフィードを「狙い撃ち」されたもの。2点目も青木の曖昧なパスを「狙い撃ち」されている。いずれも中央のレーンでのロストであり、即座にレアンドロダミアンへの楔のパスを入れられている。この形を前半の飲水タイムまでに何回も許してしまい、これが試合の勝敗を大きく決定づけることになってしまった。東京としてはある程度意図をもって繋ぎたい部分もあったのだろうが、川崎はそれを逆手にとってきた。完全にやられたというしかない。その後の東京はポジション変更やアダイウトンの投入などでじわじわと押し返し、比較的早い時間に1点を返すところまでは上手く運んでいたが、その直後に拓海のミスから失点。これで試合の行方は99.9%決した。それくらいクリティカルなミスだった。守備にやや課題のある拓海を三笘の対面に起用するのはリスクはあったが、ここ2試合のパフォーマンスが悪くなかっただけに、今日拓海を使わない理由も無かった。しかし結果は三笘の完勝と言わざるをえない。途中交代は致し方ないだろう。1点目の岡崎も含め、今後の成長を期待される若手にとっては手痛い授業料となったはずだ。単純に授業料を払うだけならば良いのだが、これで首位争いが更に難しいものになってしまったことは重く受け止める必要がある。今後に繋がる要素を挙げるならば、64分以降のシステム変更だろうか。髙萩がトップ下の4-2-3-1かと思いきや、実際にはディエゴと田川を2トップにした3-4-1-2だったようだ。この中で存在感を放っていたのが、拓海に代わって右サイドに入った内田だった。ボールを持ち運ぶ技術に関しては元々申し分のないスキルを持っていたが、今日も安定していたし、84分には遅すぎる一撃ながらJ1リーグ初得点をゲット。しっかり結果も残してみせた。今後どういう立て直しをしていくのかは分からないが、内田にとってはチームの中での存在感を示す1点だったと思う。個人的にも期待をしている選手なので、今後何らかの形でもっと出場機会が増えてくれれば嬉しい。次節のアウェイ・福岡戦からは再びカップ戦を含めた連戦が始まる。ここで失速するわけにはいかないだろう。まずはしっかりと課題を修正して、再び勝点を積み上げていかなければならない。

FC東京 2 0前半2 4 川崎フロンターレ
2後半2
アダイウトン59'得点8'家長 昭博
内田 宅哉84'17'家長 昭博
61'三笘 薫
75'レアンドロ ダミアン

GK 1児玉 剛 GK 27丹野 研太
DF 22中村 拓海 DF 13山根 視来
29岡崎 慎 4ジェジエウ
3森重 真人 5谷口 彰悟
6小川 諒也 7車屋 紳太郎
MF 7三田 啓貴 MF 6ジョアン シミッチ
31安部 柊斗 25田中 碧
21青木 拓矢 19遠野 大弥
10東 慶悟 FW 41家長 昭博
FW 11永井 謙佑 9レアンドロ ダミアン
9ディエゴ オリヴェイラ 18三笘 薫

GK 13波多野 豪 GK 21安藤 駿介
FP 2アルトゥール シルバ FP 2登里 享平
8髙萩 洋次郎 8脇坂 泰斗
14内田 宅哉 11小林 悠
15アダイウトン 16長谷川 竜也
25蓮川 壮大 20知念 慶
27田川 亨介 22橘田 健人

長谷川 健太 鬼木 達

得点8'家長 昭博
得点17'家長 昭博
安部 柊斗HT交代
アダイウトン
アダイウトン59'得点
得点61'三笘 薫
三田 啓貴64'交代
髙萩 洋次郎
永井 謙佑
田川 亨介
中村 拓海
内田 宅哉
交代70'遠野 大弥
脇坂 泰斗
東 慶悟74'警告
得点75'レアンドロ ダミアン
東 慶悟78'交代
アルトゥール シルバ
内田 宅哉84'得点
交代84'家長 昭博
知念 慶
レアンドロ ダミアン
小林 悠
三笘 薫
長谷川 竜也
交代90+1'田中 碧
橘田 健人

福島 孝一郎

17,615人