この週末はインターナショナルウィークのため、リーグ戦の試合は無し。代わりにルヴァンカップの試合が週末開催となる。3/3に行われた初戦で徳島に勝利している東京は、同じく初戦で勝利した神戸を迎えての2戦目だ。神戸とは3/10にリーグ戦でも対戦しており、その際には2-3で敗れている。異なるタイトルとはいえ、同じ相手に連敗しては今季残りの対戦でも嫌な印象が残りかねないだけに、ここは勝利しておきたい一戦だ。A代表に小川、東京五輪世代のU-24代表に渡辺と田川を送り出している東京はそれ以外の選手でメンバーを組むことになるが、スタメンは不在の選手を除き、ベストといって差し支えない陣容。試合間隔が1週間あるし、ここは試合勘を重視しての選手起用ということなのだろう。一方の神戸はリーグ戦からメンバーを大幅に入れ替えて試合に臨んできたが、ベンチには主力選手を多く登録しており、試合展開によっては起用してきそうだ。またGKにはかつて東京に所属していた廣永がスタメン。東京の試合では観る機会が無かっただけに、対戦相手とはいえ廣永を観られるのは嬉しい気持ちになる。東京を中心とする1都3県の緊急事態宣言が先週末で解除され、この試合からは観客数上限が10,000人に緩和。更にビジター席が開放されて神戸サポーターも来場できるようになり、カップ戦ながらスタジアムには先週末のリーグ戦よりも多くの観客が集まった。
東京がどのような選手配置で臨むか注目した試合の入りだが、今日は森重のアンカーではなく、東が森重と同列に並ぶ4-2-3-1。髙萩がディエゴに近いトップ下でサポートするシステムだ。最初のチャンスは11分。GKの児玉が出したパスを、岡崎が右サイドへ流れながらタッチラインギリギリで神戸DFラインの裏へフィード。これにタイミング良く走り出したディエゴが追いついて一瞬でGKと1vs1のシチュエーションに。ディエゴが廣永をドリブルでかわしてゴールに流し込み1-0。岡崎が起点になったロングパス一本で東京が先手を奪う。更に14分、今度は神戸の自陣内でのパス回しに対して東京が2列目から厳しいプレスをかけ、パスコースを切る。最後は廣永のパスを受けた安井に対して髙萩がチェックに行き、苦し紛れの横パスをフリーの三田が悠々と奪取。DFのタイミングを外してコースを狙ったシュートがゴール右隅に突き刺さり2-0。ハイプレスから相手のミスを引き出した東京がものの数分で一気にリードを広げる。余裕の生まれた東京が少しペースを落とすと、試合開始時からハイラインを敷いていた神戸が攻勢。25分には波状攻撃からクロスボールをゴール正面で小田に拾われて至近距離からシュートを許すが、これを児玉がキャッチで抑えてピンチ脱出。コースが甘かったとはいえ、ボールをこぼさない素晴らしいセーブだ。2-0のまま前半終了。東京としては理想的な展開だが、安易なミスには気を付けたい。後半、東京はアルトゥールを投入し、東を右SHにスライド。やや守備を意識した選手交代だ。案の定、後半は神戸がボールを支配。60分、このまま敗れ去るわけにいかない神戸は、山口・サンペール・藤本の主力3人を同時に投入。東京も永井を前線に投入し、4-4-2でファストブレイクを狙ったシステムに変更。永井の前線からのチェイスや、後方の岡崎からのフィードを中心に攻めてチャンスの場面も作るが、とどめになる3点目をなかなか決められない。1点が欲しい神戸は更にDFの菊池を最前線に投入。先日のリーグ戦ではパワープレイ要員として登場し、首位・川崎から貴重な勝点を得るゴールを決めているだけに気を付けたい。試合終盤は東京がルーズボールを拾えず、ゲーム支配を強めた神戸がゴール前の菊池にボールを集めていくが、東京も競り合いを跳ね返し続け、ピンチといえるような場面までは作らせなかった。結局、2-0のまま試合終了。リーグ戦では失点続きの東京だが、今日は待望の無失点を達成。ルヴァンカップもこれで2連勝となった。
ベストメンバーで試合に臨んだ東京にとって、狙い通りの完勝だった。今季初めて試合の頭から4-2-3-1を採用したが、このシステムが機能した。特に2点目はアダイウトン・ディエゴ・髙萩が前線から連動したプレスで相手のミスを誘発し、今日は右サイドのアタッカーとして起用された三田が仕留めることに成功。髙萩のトップ下起用が攻守のバランスという点で安心感のある戦い方だということを証明した試合だった。リーグ戦では森重のアンカーシステムを継続しているものの、ずっとこのシステムを続けるのが難しい局面はいずれ訪れるだろうし、オプションを試すという意味でも良いテストになったのではないだろうか。選手個人では、3/17の湘南戦以来のスタメンとなった岡崎のパフォーマンスが出色。1点目のアシストは一瞬右サイドのタッチラインを割りそうなくらい溜めて蹴ったフィードだったが、ディエゴの動き出しも鋭く、ハイラインの神戸を一発で攻略することができた。CB起用が続く中、なかなか持ち味を出せていない印象のあった岡崎だが、今日は強く正確なフィードを何度も見せていて、たびたび押し込まれる中での失地回復の大きな足掛かりになっていた。森重が中盤で起用されている中、CBでは渡辺の相方となる選手が固まっていない印象があるので、今日の岡崎のパフォーマンスはレギュラー獲得に向けて大きなアピールになったはずだ。チーム全体としても、神戸が徐々に圧力を強めてくる展開の中で、粘り強く守り切ることができた。神戸は前半立ち上がりこそ浮足立つ場面を見せてしまったが、途中からはメンバーを入れ替えていることをあまり感じさせないサッカーを見せてきた。後半からは本当の主力組を投入して更なるギアチェンジを試みてきたが、むしろそこから攻撃のリズムが上がらなかった印象。終盤のゴール前に人数をかけたパワープレイは迫力はあったが、東京も混乱せずに跳ね返すことができていたし、無失点で終えることができたのは大きな収穫といえるだろう。来週はリーグ戦で名古屋との大一番を迎えるだけに、ここで自信に繋がる試合ができたのは大きい。代表招集組も戻ってくるだけに、スタメン選びも含めてどういう試合を見せてくれるか楽しみだ。