前節の湘南戦から中3日、東京はホーム・味スタでの連戦だ。2月のリーグ戦開幕から週2試合ペースでの7連戦となっていたが、その連戦もひとまずこの試合で一段落となる。また、1月から東京都を中心とする1都3県に発令されていた緊急事態宣言もこの週末で解除されることになり、上限5,000人という観客数制限も緩和される。ビジター席が設置されない試合もとりあえず今日が最後で、色々な面でひと区切りになりそうな一戦だ。ここは全力投入といきたいシチュエーションだが、東京のスタメンを見ると、GKに児玉の名前が。波多野はベンチにも入っていない。失点が続いているとはいえ、波多野のパフォーマンスが特段悪くは見えなかったので、少し意外な選手起用だ。他にも安部・レアンドロがベンチ外。安部も前節は途中出場でコンディション的には万全だと思っていたので、ちょっと意外だ。今節の対戦相手となる仙台は、今季から手倉森監督が2013年シーズン以来8年ぶりに指揮官に復帰しているが、開幕から4試合を消化して1分3敗と未だ勝利が無く、厳しい戦いが続いている。仙台は水曜日に予定していたG大阪戦が延期となった影響で、1週間の準備期間があった上での試合。日程面の優位性はアウェイチームにある。東京は注意が必要な一戦だ。この週末は荒れ模様の天気となり、味スタも天候は雨。風が強く吹く荒れ模様の天気で、選手にとっては難しいコンディションだ。
前半立ち上がりは東京が何度か攻め込む場面を作るが、仙台は3-4-2-1のシステムでサイドを埋め、じわじわと押し返す流れ。4バックでのスタートが予想された仙台だが、おそらく東京が主導権を握ることを見越しての采配なのだろう。スコアが動いたのは24分。仙台の右CKを上原が蹴ると、ゴール真正面にエリア外から走りこんできた蜂須賀が頭で合わせて0-1。セットプレイから仙台が先制点を奪う。東京は前節に続いて押し返されて先に失点する嫌な展開だ。直後の飲水タイムを挟み、さてどうするか・・・と思ったのも束の間の26分、東京は敵陣内でキープした森重からボールを引き取った田川がドリブルで持ち込み、エリア外から左足を一閃。これがゴール右隅に突き刺さり1-1。名手・スウォビィクも反応しきれない強烈な一撃で東京がすかさず同点に追いつく。更に43分、左サイドから出てきたボールにディエゴがマーカーのシマオを背負いながらも見事なトラップで反転。そのままシュートをファーサイドに流し込み2-1。前半のうちに逆転に成功する。後半、最初のチャンスは54分。東京のハイプレスから仙台の不用意な横パスをアダイウトンがインターセプトし、そのままスウォビィクとの1vs1を迎えるが、シュートは枠の上。追加点のビッグチャンスを逸する。すると59分、今度は仙台が蜂須賀の左サイドからのクロスをファーサイドの真瀬がシュート。これは小川がブロックしてCKに逃げるが、ここでVARが介入し、オンフィールドレビューが行われることに。ビジョンにはシュートが小川の腕のあたりにヒットしている光景が流れ、不穏な空気が流れるが、長い中断の末の山本主審のファイナルジャッジはCKの指示。ハンドリングには該当しないということなのだろう。仙台の選手からは抗議の声が上がるが、VARが介入した上でのジャッジなので覆らない。その後も仙台が攻勢を強め、途中交代で赤﨑・石原・皆川と、特長のあるアタッカーを次々に投入。東京は前線にボールを収めて時間を作りたいが、後半から強くなってきた風の影響もあってなかなか跳ね返したボールを回収できず、仙台が攻め込む時間が続く。後半ATには左CKから加藤のシュートがゴールマウスを襲うが、ゴールライン上でディエゴがクリア。どうにかピンチを脱出し、そのまま試合終了のホイッスル。ギリギリの展開ながら、東京が2-1で逃げ切りに成功。今季初のリーグ戦連勝となった。
仙台の粘りに苦しめられたものの、東京にとっては一歩前進の勝利。前節は後半に一度追いつかれてしまったものの、今日は前半のリードをしっかりと守り切ることができた。最大の収穫はアタッカー陣にキレが戻ってきたことだろう。まずは先制を許した直後に同点弾を叩き込んだ田川だ。今季これまでに挙げた得点はいずれもこぼれ球に詰めるものが多かったが、今日は自らドリブルでシュートコースを切り開き、目の覚めるようなシュートを突き刺してみせた。この精度とパワーを併せ持つ左足はチームでは三田くらいだと思っていたので、一瞬誰が決めたのか分からなかったほど(笑)。今後の活躍への期待が更に高まる得点だった。ディエゴの2点目も圧巻だった。当たりの強いシマオを背負いながらのプレイだったが、身体を当てられて不利になるのであれば、その前にかわしてしまえば良いと云わんばかりに背後を突くトラップで抜き去り、そのままシュートへ持ち込むテクニックには恐れ入るばかり。後半ATのピンチ阻止も含め、今日のディエゴには本当に助けられた。後半は受け身になる時間が多く、際どい判定に救われた部分もあったが、結果的には無失点。長い守勢にも関わらず、集中して戦いきったのは収穫だ。課題はやはり先に失点してしまったことか。セットプレイでの失点とはいえ、そこまでの内容が悪くはなかっただけに防ぎたい失点だった。今日に関しては田川がすぐに取り返してくれたので助かったが、これで今季リーグ戦6試合中5試合で先制を許してしまったことになる。この状況で既に3勝もしているのが不思議なくらいだ。また、今日の試合でベンチ外となっていた波多野と安部だが、木曜日にクラブ内で禁止とされていたウイルス感染リスクのある会食に参加してしまったために、自主隔離も兼ねての謹慎処分となっていたことが試合後に明らかにされた。まだ若い2人だし、つい誘惑に負けてしまったのかもしれないが、ルールを破った以上は何らかの処分が下されるのは仕方のないことだ。幸い、代わりに出場した児玉や三田が安定したプレイを見せたこともあり、チームとしての影響は甚大ではない。波多野と安部はしっかりと反省をして、もう一度チームに力を貸してほしい。来週はインターナショナルウィークのため、リーグ戦はお休み。その次の週末には、今季ここまで全勝を続ける名古屋とのアウェイでの一戦が待っている。リーグ序盤戦の最初の山場といえる試合となるだけに、来週のカップ戦は有効に使いたいところだ。