中2~3日での連戦が続いているリーグ戦は早くも第5節。先週水曜日のホーム・神戸戦を仕事の出張の都合で観戦できず、週末のアウェイ・大分戦もDAZNでの観戦だったため、ちょっと久しぶりな感じがする東京の現地観戦だ。緊急事態宣言の延長が続いている関係で、本日も試合は18:00キックオフ。今日もどうにか仕事に区切りをつけて早上がりしてきた。現場はともかく、クラブの営業面やファンにも相応の負担があるだけに、個人的には早期の制限緩和を望みたい。ここまで東京は1勝2分1敗という五分五分の戦績。神戸戦は2点ビハインドを追いつきながら終盤で勝ち越しを許し、2-3の敗戦。大分戦は渡邊のチーム加入後初ゴールで先制しながら後半に追いつかれ、1-1のドロー。失点続きの守備の立て直しが必要な状況だ。この間にも川崎や名古屋といった上位陣は連勝を重ねて勝点を積み上げており、首位争いについていくためにもリーグ2勝目が欲しい。対戦相手は現在1勝3敗と黒星が先行している湘南。開幕3連敗という難しいスタートながら、前節はホームで仙台に3-1と快勝しており、その勢いを持って臨んでくることが予想される。東京は前節の大分戦で遠征メンバーからも外れていた東や森重がスタメンに復帰。そして岡崎が今季初スタメンで渡辺とCBを組む。一方で小川や安部がスタメンを外れ、レアンドロはベンチ外だ。過密日程の中、全ての試合でベストメンバーを組むのは難しく、こういったメンバーの入れ替えをしながら勝点を拾っていくしかない。早くもチームの総合力が試されている時期といえるだろう。湘南はオフシーズンに坂・金子・齊藤・鈴木といった主力を相次いで移籍マーケットで放出したが、若手や補強選手がフレッシュな働きを見せている印象があり、総合力が落ちた感じはあまりない。何よりスタイルが確立されているチームなだけに、油断は禁物な相手だ。
前半は東京の緩やかな支配から、じわじわと湘南が押し返す展開。東京は今日も森重がアンカーに入るシステムを採用しているが、湘南も同様にボランチを1枚にしてインサイドに山田と名古を配置する攻撃的な3-3-2-2。特に攻撃時における名古のポジションはほとんどFWに近く、そのケアによって右WBの岡本がフリーになりやすいので注意が必要だ。拮抗した内容が続き、飲水タイムを挟んだ27分、湘南は左サイドの高橋によるカットインの仕掛けから、ボールを引き取った大橋がPA内をドリブルで突っ掛けて2人かわし、ボールを引き取った山田がシュートを右隅に沈めて0-1。警戒が必要な右とは逆の左を崩して先制する。密集をこじ開けられて先制を許してしまった東京は、なかなか攻撃のリズムが上がらない。スタンドにフラストレーションの溜まった空気が充満していくのが手に取るように分かる。37分、東京はディエゴがバイタルエリアでボールを収めて渡邊に繋ぐと、難しい体勢から渡邊が放ったシュートをGK・谷が弾き、こぼれ球に詰めた田川が押し込んで1-1。ここまでの試合内容に関係無い、完全に個人でこじ開けた形だが、好調の渡邊と田川が絡む1点でスコアを振り出しに戻す。続く40分、中盤でのボール奪取からアルトゥールが左SBの中村(帆)へボールを開き、帆高がアーリークロスを左足で供給。これがゴール正面に入ったディエゴの頭にピタリと合って2-1。立て続けのゴールで東京が逆転に成功し、前半をリードで終える。後半、東京はアダイウトンと安部を投入して4-1-2-3のシステムを維持し、追加点を狙いにいくが、64分・77分と続くディエゴのシュートチャンスを決められず。その間、石原(直)と三幸を投入して立て直しを図った湘南が息を吹き返す。79分、湘南は左WBの高橋がPA内に入ってフィードを引き出すと、入れ替わりで左に開いた山田がパスを引き出して折り返し、高橋が押し込んで2-2の同点。またしても湘南の鮮やかな崩しで試合は振り出しに。東京にとっては嫌な展開となってしまった。だが直後の81分、東京はCKの流れから波状攻撃を仕掛け、途中出場の小川が左からクロスを入れると、ファーサイドの森重が頭で折り返し、更に逆サイドに詰めていた渡辺が頭で押し込み3-2。セットプレイの流れから再び東京が勝ち越しに成功した。終盤は再び湘南に押し込まれたが、どうにか撤収完了。東京が際どい勝負を制し、リーグ戦2勝目を挙げた。
薄氷を踏むような思いで手にした勝点「3」だった。湘南は強かった。2点共に東京の守備ブロックがセットされていたにも関わらず、自分たちからアクションを起こしてゴールをこじ開けてきた。1点目は大橋のエリア内での仕掛けがゴールに繋がったし、2点目は高橋が自分のポジションを捨ててゴール前に入ったことで東京のマークを完全に剥がすことに成功している。3バック+アンカーという攻撃的なシステムだけでなく、インサイドの名古がほぼFWに近い立ち位置でプレイするなど、アグレッシブな戦い方が徹底されていた。中盤のプレスも厳しく、湘南スタイルを貫いた90分間だった。東京は立ち上がりから「なんとなく受け身」というような戦い方になり、更に湘南にリードを許す展開になったが、幸いにもシンプルな形で逆転することができた。1点目はディエゴがボールを収めてから、前節の活躍で波に乗りつつある渡邊が絡む形で田川のゴール。難しい体勢にも関わらずシュートを狙った渡邊、こぼれ球に抜け目なく詰めていた田川。好調な2人が絡んだからこそ生まれた得点だった。2点目は攻撃のトランジションの速さもさることながら、帆高のピンポイントクロスが見事。小川がベンチスタートとなった中、左SBでも仕事ができることを示す働きぶりだった。後半は一度は同点とされてしまったが、その後すかさずセットプレイで勝ち越し。第2節のC大阪戦もそうだったが、1点が欲しい場面でセットプレイでゴールをこじ開けられるようになったのは大きい。森重と渡辺の2人がゴール前に残って空中戦で存在感を示してくれた。一方、守備に関しては引き続き課題を残した。湘南の攻撃が見事だったとはいえ、人数が揃っている状況のブロックをこじ開けられたのは問題だ。逆転した後半も、中盤でハードワークできる安部を投入したにも関わらず、湘南の攻撃的な交代で流れを変えられて追いつかれてしまう展開。同点の場面に関しては、守備でやや難のある拓海の交代を準備していた矢先に対面の高橋をフリーにして決められてしまっており、結果的に手当てが遅れたことになる。ベンチワークもやや慎重すぎた印象で、ピッチ内外の隙に付け込まれたのを強引にねじ伏せた感のある勝利であることは否めなかった。ひとまずは勝利できたことを喜びたいが、まだまだ修正の必要あり。次節は中3日で味スタでの連戦となるだけに、課題をしっかり修正して望みたいところだ。