先週末の試合から中3日、今週のミッドウィークはリーグ戦は行われないが、ACL組の東京は第30節の試合を前倒しで消化する。前節横浜Mに0-4で大敗した東京は暫定順位を4位に下げ、残り試合は7試合。ACL出場圏内の3位を狙うには勝点「1」でも不十分な状況であり、とにかく連敗を脱出したい。対戦相手は、10試合を残して暫定9位の柏。直近のリーグ戦では3試合勝利が無く、こちらも好調とは言い難い状況だ。また、両チームは11/7に行われるルヴァンカップ決勝で戦うチーム同士。タイトルのかかった決戦を前に、どういったテンションで臨むのかも注目ポイントとなる。味スタに着いてスタンドに入ると、バック上層席はそこそこの客入り。隣席や前後列の間隔を空けての着席なので、どうしても空席は目立つが、ガラガラだった2週間前の清水戦と比べれば急に増えた印象だ。試合中に発表された入場者数は、今季の平日開催の中では多い6,632人。カップファイナルの前哨戦という要素が付加されたので、その効果だろうか。発表されたスタメンを見ると、東京は前節の横浜M戦からDFラインの4人を除く全員を入れ替え。ディエゴや安部などがベンチで、永井はメンバー外となっている。前節の大敗を受けて見直しの意味合いもあるだろうし、必要に迫られない限りは手の内を明かしたくない意図もありそうだ。レアンドロは3試合出場停止からの復帰となり、コンディションは良いはず。不調に苦しむチームを救う働きを期待したい。一方の柏は、最大の得点源であるオルンガを筆頭に、江坂やクリスティアーノなどフルメンバーといって差し支えないラインナップが登場。何も隠し立てすることは無い、ということだろうか。
前半は開始5分までに両チームがゴール前に攻め込む場面が続くが、徐々に落ち着きを取り戻す流れ。東京はとにかくオルンガに仕事をさせたくない。ずば抜けた身体能力を誇るケニア人ストライカーを抑えるには、とにかくしつこくマークにつくしかないが、23分には北爪のクロスにオルンガが軽く合わせたヘディングがクロスバーを叩くなど、シンプルな形で決定機を作ってくる。すると28分、柏のクリアボールをオルンガが競り、こぼれた所を拾った仲間の仕掛けを森重が奪いに行くが、裏を取られてしまう。フリーとなった仲間のシュートは波多野が弾くものの、こぼれ球を江坂が押し込んで0-1。森重がかわされた時点でほぼやられてしまった感のある失点だ。東京はアダイウトンを前線に残してレアンドロが中盤との繋ぎの役割を担うが、この2人にボールが入ってもサイドの押し上げが少ない。特に右サイドは中村(拓)の攻撃参加が少なく、原にもボールが入らず殺されている状況だ。0-1のまま前半を終え、迎えた後半開始直後の46分、東京はスローインからボールを受けた髙萩のバックパスが短くなり、オルンガがボールを奪ってゴールへ突進。折り返しをクリスティアーノが難なく押し込んで0-2。東京にとっては重要な後半立ち上がりに最悪の形での失点となってしまう。49分、東京はレアンドロのFKの流れからこぼれ球を拓海が髙萩に繋ぎ、髙萩のクロスをアダイウトンが頭で押し込み1-2。リーグ戦3試合ぶりの得点で、再び1点差。髙萩は失点に繋がったパスミスを取り返すアシストだ。58分、東京は品田と内田に代え、安部とディエゴを投入。交代直前までは内田ではなくアダイウトンが下がりそうな様子だったが、土壇場で決断を変えたようだ。この判断が吉と出ることを願ったが、そう上手くいかないのがサッカーの難しいところ。67分に左からのサイドチェンジを拓海がダイレクトで折り返し、原が更にダイレクトで狙った場面は面白かったが、飲水タイムを挟んで試合が終盤戦に入っていくと、ディエゴやアダイウトンの独力での突破に依存して相手に奪われる場面が多発。75分には柏が中盤でのパスカットからショートカウンターが発動し、裏へのパスに抜け出したクリスティアーノが決めて1-3。この失点はメンタルに響く一撃だった。その後は東京がボールこそ持つもののチャンスを作れずに、試合終了のホイッスル。追いすがる東京を振り切った柏が4試合ぶりの勝点「3」。東京はリーグ戦3連敗となり、またも勝点を積み上げられず。スタンドからは選手を労う拍手こそ起きたものの、席を立って家路を急ぐ人の姿も目立った。
東京にとっては、「トンネル」に入ってしまった感の否めない3連敗。前節の0-4の大敗に比べればスコア上はまともに見えるが、試合内容は前節よりも酷かったように感じた。メンバーを入れ替えていた点は考慮すべき要素ではあるが、DFラインは前節と同じ4人で臨んでおり、そのラインを易々と崩されての失点が続いていることは深刻な課題と言わざるをえない。1失点目の森重のチャレンジはもう少し慎重にいっても良かったかもしれないし、2失点目のパスミスは瞬間的な判断の甘さがあったはず。本来ならばもう少し慎重にやれたはずのプレーに綻びが生じて、試合の勝敗にまで影響が及んでいるのは問題だ。林に代わってゴールマウスに入った波多野も、パフォーマンスとしては悪くなかったが、試合の流れを変えるようなビッグセーブは見せられなかった。攻撃も上手くいかなかった。出場停止明けのレアンドロは単独ではさすがのプレーを見せてくれるが、ゴール前ではファウルを貰いにいって流されてしまうプレーもあった。実際にファウルは受けているのだと思うが、あまり審判団の印象が良くないせいもあるのだろう。スキルはある選手なのだし、もっと強引にゴールを奪いに行く姿勢も見せてほしい。個人的には、58分の選手交代で前節出場した選手を投入してから余計にリズムが狂った点が気になる。ディエゴやレアンドロにボールを預けても相手に寄せられてボールを奪われ、代わりに周囲の選手を使おうとしてもそこが読まれている、といった場面は1つや2つではなかった。内田や原のパフォーマンスが悪かったわけではないし、腹を括ってもう少し使い続けても良かったのではないか。ディエゴ投入直前での交代選手の変更など、ベンチワークのドタバタ感も悪い意味で目立っていた。今日の敗戦はただの1敗ではなく、ルヴァンカップ決勝に与える影響もありそうだ。フルメンバーで臨んだ柏に気持ちよくプレーをさせてしまい、「東京となら戦いやすい」という印象を与えてしまった感は拭えず、この代償は高くつくかもしれない。いずれにせよ、柏との再戦までに残された時間は10日しかなく、試合もたった1つ。しかも相手は首位・川崎とのアウェイ戦。極めて難しいシチュエーションとなってしまった。ジリ貧となっているこの状況を変えるにはとにかく結果が必要だし、そうでなくとも、最後までやりきったと思えるような手応えのある内容を残したい。ここまで来たらもう祈るだけだが、それができるチームだと自分は信じている。