この週末のJ1リーグは第24節が行われるが、東京はACLの関係で既に第24節の試合を消化済み。代わりに第28節の試合を前倒し、同じくACL組の横浜Mを味スタに迎えての試合開催となる。ここから先はACL組がどんどん試合を前倒しで消化していくため、順位表がますますアテにならなくなってくる(笑)。とにかく、目の前の試合に勝って地道に勝点を積み上げていくしかない。味スタでのデーゲームはこれが2試合目だが、前回のG大阪戦は雨だったので、陽の光を浴びながらのホームゲームは今季初めてということになる。バックスタンド観戦だと西日が眩しいが、サッカー観戦日和という感じで、自分はとても好きだ。また、今節からは味スタでもアウェイサポーターの来場が許可されることに。観客数はまだ10,000人には届かなかったものの、ビジタースタンドの半分近くは上層席まで横浜サポーターが来てくれており、適当な表現ではないかもしれないが、「見栄え」は良かった。「相手チームのサポーターがいない」というのはそれはそれで居心地が良いものだが、エンターテインメントとしてはちょっと物足りないとも感じていた。横浜サポーターが立ち上がって手拍子をしているのを観ると、これでまた一歩、新型コロナウイルス感染拡大前の日常に近づけたのかなと感じる。チームの状況に目を移すと、東京が勝点「47」の3位、横浜Mが勝点「41」の7位。見た目の順位はそこそこといえるが、他チームの試合数が揃えば両チーム共にもう少し下に順位を落としそうだ。上位争いに生き残るにはこれ以上勝点を落とせない状況である。東京は前節、横浜FCを相手に猛攻を仕掛けながら0-1という悔しい敗戦を喫している。日程面では久々に1週間のインターバルがあっただけに、仕切り直しといきたい一戦だ。
試合は立ち上がりから頻繁に攻守が入れ替わるハイテンションな内容。横浜はトップ下のマルコスジュニオールが横にずれてパスを引き出し起点となる。東京も自陣に引きこもることなく、高い位置からプレスをかけて対応。2トップの片方が下りてきてボールを受ける形で、単発ではあるが攻撃は繰り出せている。飲水タイム明けの26分、自陣でのボール奪取から安部が運び、左サイドに開いて受けた永井がドリブルでPAまで侵入するが、折り返しにフリーで詰めていた三田のシュートは大きく枠の上。枠内に飛ばすだけで良かった場面、これは決めたかった。その後も東京がカウンターでチャンスを狙い、ATには中央に攻め上がった中村(拓)のパスを右に開いて受けたディエゴが折り返し、フリーの安部がシュートを放つが、枠の左に外れる。相手DFがブロックに入っていたのでコースは狭かったが、せめて枠には飛ばしたい場面だ。HTを挟んで51分、今度は下りてきてボールを受けたディエゴのロングボールを永井がスプリントで追って拾い、PAにドリブルで侵入してゴール正面まで角度を作るものの、このシュートも大きく枠の上。かなり走った後だったので体力的に厳しかったかもしれないが、これも決めたい場面だ。これだけチャンスを外すと、大概「落とし穴」が待っている。直後の54分、横浜は右サイドを攻め込んだエリキの中央へのラストパスをジュニオールサントスが決めて0-1。立て続けの56分、今度は前田の仕掛けから、ゴール正面のこぼれ球を拾ったサントスが再び決めて0-2。東京はここまで耐えていた守備が一気に決壊してしまう。どうにか反撃の糸口を掴みたい東京だが、63分にボールの無い所で松原に対して肘撃ちを見舞ったアルトゥールが一発退場。試合展開に苛立つのは理解できるが、反撃のチャンスを窺うチームの雰囲気に水を差す形となってしまったのは残念だ。1人少ない状況で2点を追う東京は、ディエゴを前線に残した4-4-1にシステム変更。リスクを承知で前からプレスをかけに行くが、横浜がバランスを取りながら時計を進める。0-2のまま迎えた後半AT、横浜は途中出場の水沼がカウンターから右サイドを破ってフィニッシュまで持ち込むと、渡辺に当たってオウンゴールとなり0-3。更にオープンな状況から左に開いて受けたエリキがドリブルで持ち込み、ゴール左隅にシュートを決めて0-4とし、完全に東京の息の根を止めて試合終了。横浜が復調をアピールする4得点のゴールショーで圧勝。大敗の東京は今季初の連敗となった。
横浜の分厚い攻撃力が火を噴いた試合だった。前半こそ0-0だったが、その威力は圧巻だった。マルコスがボールを受けて中盤で時間を作れるので、松原とティーラトンの両SBがまるでウイングのようにポジションを上げて攻撃に参加。そのぶん本来のウイングポジションであるエリキや前田が中に絞ることもできるので、多彩な攻撃の選択肢がある状況だった。東京の守備が踏ん張り、カウンターを受ける場面もあったため、先制に時間は掛かったが、一度こじ開けたら堰を切ったように東京の守備が崩れ、後は横浜のやりたい放題。過度に前がかりにならないように途中出場の天野がバランスをとりつつ、オープンな展開となった終盤にカウンターから加点するなど、スコアの派手さだけでなく試合巧者ぶりも見せつけての勝利。タイトル争いから少し遅れをとる形にはなったが、昨季リーグを制した実力を示した試合だったと思う。東京にとっては悲惨な幕切れとなってしまったが、試合内容自体はそこまで悪いとは感じなかった。まずは守備でしっかりと跳ね返し、速攻でチャンスを作ることができていたし、2点リードを許した挙句に退場者を出してからも、腹を括って前からプレスをかけ続けることができていた。やるべきことはやっていたのだ。結果的に4点も奪われているのは事実であり、守備の見直しは必要と感じるが、それ以上に問題なのは、先制を許すまでに作った前半2回・後半1回の決定機をことごとく外してしまったことだ。そこまでの間で1点でも取れていたら全く違う試合展開になっていたはず。1試合だけならば「まあこういう日もあるだろう」と思えるが、前節と同じような流れ、しかもゴール至近のチャンスでシュートが枠にも飛ばないとなると、ラッキーな形での得点も生まれない。チャンスを逃してみすみす相手に流れを渡してしまい、更に今季初の連敗を喫してしまったというのは大きな問題だ。攻撃に関しては地道に改善していくしかないのかもしれないが、時間は待ってくれない。中3日で柏戦、更に中2日で川崎戦を続き、その翌週には再び柏とのルヴァンカップ決勝が待っている。ここで袋小路に入り込むのは極めて悩ましい状況だ。次節からはレアンドロが出場停止明けとなり戻ってくる。悪い流れはなんとしても食い止めたい。翌週は重要な1週間になりそうだ。