9/23のC大阪戦以来、公式戦5試合ぶりとなる東京のホームゲーム。非常に楽しみにしていた一戦だ。楽しみにしていた理由はいくつかある。まずはアウェイでの4連戦を3勝1敗という高い勝率で乗り切れたこと。連戦最初の鳥栖戦は0-3という惨敗だったが、そこから切り替えて3連勝。しかも、鬼門としていた埼玉スタジアムでの浦和戦に1-0、日程を考慮してスタメン全員を入れ替えた湘南戦も1-0、更にルヴァンカップ準決勝の川崎戦を2-0と、厳しい敵地での試合を全て無失点で3連勝したのだ。特に今季圧倒的な強さを誇る川崎を相手に勝利したルヴァンカップの勝利の価値は大きく、カップファイナルへの期待は大きく膨らんでいる。また、今節から新型コロナウイルス感染対策に伴う観客数制限が緩和され、自分にとって「定位置」でもある味スタのバック上層席が開放。5,000人上限の間はメインスタンドで観ていたが、やはり慣れた所で観られるのが一番気持ち的に落ち着く。一方、気になる点は天候だ。今週になって太平洋上から本州に接近してきた台風14号の影響で、試合の前々日から長雨が続いている。幸いにも台風の進路は大きく南に逸れたため試合延期などの措置は免れたが、ピッチには水が相当溜まっているはず。気がかりな点を抱えながら試合を迎えることとなった。対戦相手は現在5連勝中であり、暫定5位に浮上してきた好調のG大阪。暫定の勝点では東京の方が上回っているものの、残り試合数はG大阪の方が多く、重要な上位対決である。
キックオフ直後、転がったボールが早々に止まってしまい、ピッチ上に相当水が溜まっていることを把握。残念ながら今日は「特別な対応」が必要だ。なにせボールが止まってしまうのだから、グラウンダーのパスやドリブルで打開できる場面は皆無に等しくなる。両チーム共に長いボールを蹴り、前線の選手に収めてシンプルにフィニッシュを狙う場面が増えそうだ。アウェイのG大阪は、アデミウソン・パトリック・宇佐美とストライカータイプの選手を3人起用し、宇佐美が右SHの4-4-2。宇佐美が中央寄りのポジショニングを意識していたため、アデミウソンとパトリックの2人にボールを預けるのを基本線に、状況に応じて宇佐美がサポートする狙いだろう。実際、G大阪が立ち上がりからシンプルに2トップへボールを入れてきてやや強引ながらもシュートへ持ち込む場面が続く。一方の東京は、ディエゴ・アダイウトン・レアンドロの強力トリオがスタメンに出揃い、ディエゴを左SHに配する4-4-2。こちらは地上戦も織り交ぜながらの戦いで、21分、24分と立て続けにアダイウトンの突破からゴールに迫るものの、水浸しのピッチに苦労している感は否めない。互いにピッチに苦しみながら迎えた39分、G大阪は右サイドで拾った井手口のクロスに対し、PA内での空中戦の流れでG大阪にPKを与えるホイッスル。遠目から見ている分にはよく分からなかったが、後から知ったところでは三田の手にボールが当たってしまったらしい。PKをアデミウソンが冷静に右隅に蹴りこみ、G大阪が1点を先制して前半終了。東京は難しい条件下で1点を追うことになる。後半は開始直後に両チームに決定機。G大阪はアデミウソンのクロスに宇佐美が飛び込む決定機を迎えるが、林がこれをストップ。その直後、今度は東京が攻め込み、PA内に侵入したディエゴの折り返しにフリーのアルトゥールが詰めるが、シュートはDFにブロックされ、この日最大のチャンスを逃す。後半の東京はディエゴとレアンドロがポジションを入れ替え、田川・中村(拓)などの攻撃的なカードを切ってゴールを目指すものの、なかなか攻撃のテンポが上がらずゴールが遠い。そうこうしているうちに試合は終盤となり、東京はディエゴを下げて矢島を投入し、パワープレーへ移行。後半ATにはゴール正面で矢島がボールを受けてシュートに持ち込むが、これも東口に正面でキャッチされて万事休す。結局、PKでの1点を守り切ったG大阪が大きな勝点「3」を獲得。東京にとっては上位争いの中で痛恨の敗戦となった。
分かってはいたが、先制点が全てという感じの結末だった。思うようにボールが転がらないピッチ条件下では、攻撃側にとってより難しい展開になることは自明であり、どんな形でも1点を先に取ってしまえば後は楽になる。そして、G大阪はそのセオリー通りに試合を進めて、形はどうあれ1点を先に奪った。試合後の談話で敵将の宮本監督は「シンプルにPA内へボールを入れる」よう指示をしていたそうだが、目論見どおりだったことが分かる。PKのジャッジに関しては、三田の死角から飛んできたボールに手が当たったこともあり、少し厳しいと感じる部分もあるが、それが判定基準なのであれば仕方が無い。相手の狙い通りの局面を作らせてしまったこと自体を反省すべきだと思う。攻撃に関しては、濡れたピッチ条件でも戦えるメンバー選考だったようだが、結果的にはそれでもピッチに苦しんでいた印象があり、戦う相手を間違えてしまった印象は否めない。同点に追いつくチャンスが皆無だったわけではないが、後半立ち上がりのアルトゥールの決定機を防がれたことで、G大阪の守備陣をリズムに乗せてしまったようにも見えた。そこで早い時間帯に右SBを中村(拓)にスイッチしたのは良かったが、矢島の投入が遅くなってしまったのは悔やまれるところ。こういったピッチ条件でのプラン変更については、早め早めの決断が必要だと感じた。この日のナイトゲームで首位・川崎が仙台に勝利を収めたことにより、アウェイでの連勝で僅かに甦りつつあったリーグ優勝の可能性は「風前の灯」となった。今季の目標については、そろそろ見直しが必要かもしれない。個人的には、まず勝点「60」は確保してほしいところだが・・・。また、あまりグダグダと書くことは控えたいが、台風の影響とはいえ、あまりにピッチ状態が悪すぎたのはどうしても納得がいかない。試合後に近隣地域の他会場のハイライトも観たが、水浸しの中で試合をしていたのは味スタだけだ。今回に関しては、アウェイで良い勝ち方を続けてきて、さあホームゲーム!というタイミングで文字通り「水を差された」だけに、やりきれない気持ちがいつも以上に残った。きっと選手たちも同じ気持ちだろう。メンバー選考も含めて「ホームスタジアムのピッチ対策」をしなければならない時点で既におかしいし、クラブがリーグタイトルを現実的に狙える所までステップアップしてきた今だからこそ、味スタの雨天時のピッチ改善については観客としての立場からも改めて強く申し入れしていくべきだと感じた。