水曜日の大分戦から中3日、休む間もなく試合がやってきた。ホームでの連戦となると、それだけ短い間隔でスタジアムに足を運ぶことになるので、日程の過密さをいつも以上に実感させられる。東京は前節の大分戦で敗れており、連敗は許されないシチュエーション。次節のC大阪戦も含めてホーム3連戦のうち2戦目ということもあり、次へ繋げるためにも重要な試合だ。メンバーを入れ替えながらの連戦となっている東京は、髙萩と安部が今日もメンバー外、ディエゴと永井はベンチスタート。怪我明けから稼働率の高い田川、徐々にパフォーマンスの安定してきた内田・品田がスタメンとなっている。今日の対戦相手となる仙台は現在勝点「11」の16位。J2への降格が無いシーズンとはいえ、最下位の清水とは勝点「2」差しかなく、直近のリーグ戦6試合で勝ちが無い。東京にとっては当然勝点「3」を強く期待したいところだが、仙台には毎年苦戦を強いられている印象があり、昨季はルヴァンカップと合わせて4度の対戦機会がありながら、リーグ戦のホームゲームでディエゴのPKによる1点しか奪えなかった。決して油断の許されない相手だ。
試合開始と同時に目についたのは、4バックの予想された仙台が3バックで入ってきたこと。木山監督が愛媛や山形の指揮官時代に多用していたシステムで、まずは守備をしっかり固めたい狙いがあるのだろう。一方の東京はスタートからテンション高めで攻めに出てきた印象。こういう試合ではできれば早めにスコアを動かしたいところだが、そう思っていた矢先の13分、目論見どおりの展開となる。中盤でアダイウトンがファウルを受けると、キープの際にほぼ止まった状態で転がったボールを三田がダイレクトで田川にパスを出して、クイックリスタート。すぐさま田川がリターンパスを猛スプリントで駆け上がる三田に落とすと、ぽっかりと割れた中央のスペースに抜け出した三田がドリブルで持ち込み、スウォビィクとの1vs1を冷静に右隅に流し込んで1-0。仙台の選手たちはリスタート時にボールがセットされなかったことを主審に抗議するが、ゴールの判定は覆らない。先制を許した仙台は東京のハイプレスに苦しんでなかなかボールを縦につけられない難しい展開だが、36分には右CKのこぼれ球を関口がPA外からダイレクトボレー。強烈なシュートがゴール右ポストを叩き、一瞬肝を冷やす。ここまで関口にはほとんど仕事をさせていないが、やはり少しでもフリーでボールを渡すと危険な選手だ。ひとまず前半は1-0のリードを折り返す。後半に入ると更に仙台が攻勢を強める。8分には仙台がゴール前へ押し込み関口がシュート。森重がブロックに入ってこぼれたボールを更にジャーメインがフィニッシュするが、僅かにゴール左に逸れて難を逃れる。東京はカウンターで追加点を奪いたいが、58分に迎えた3vs1の数的有利という絶好の場面でアダイウトンのラストパスが通らずにチャンスを潰してしまい、あまり良い流れではない。仙台は66分に兵藤とゲデスの2枚を投入し、関口を左WBへ配置転換。幅を使った攻撃を強化してきた仙台に対し、東京も71分にアルトゥールと原を投入して4-4-2へ移行。仙台は更なる一手として道渕を右のシャドーに投入。中を削ってこようとするが、ここは小川が中に絞って対応し、どうにか持ちこたえた。終盤には永井を投入して再び前線から圧力をかけ、仙台のビルドアップを寸断。1点差のまま厳しい試合展開だったが、追加タイムも耐えきって試合終了のホイッスル。東京が1-0の無失点で逃げ切りに成功、3試合ぶりの勝点「3」を確保した。
とにかく勝てたことに意味がある試合だった。前半にあっさりと1点を取れたのは良かったが、仙台の守備が堅く、追加点を奪えなかった。結果的に接戦となり、ディエゴや永井をピッチに送りだす総力戦。次節にC大阪との重要な試合が待っているだけに、できれば消耗を抑えたかったかもしれないが、まずはこの試合に勝つことが重要で、ベンチワークは妥当だったと思う。仙台は16位というポジションを感じさせない強さだった。苦境の中で木山監督が決断した3バックのシステムだったが、充分に機能していた。東京のプレスにはめられて繋げない場面も散見されたが、後半に入って関口を左WBに移してからは攻撃に厚みが出て、いつ同点になってもおかしくない雰囲気だった。重視していたと思われる守備も、失点の場面を除けば決定的な崩壊もなく安定していた。仙台とはリーグ終盤戦にアウェイで試合があるが、その試合では苦労することになりそうだ。ただ、まずはこの試合で勝てたことを素直に喜びたい。得点はクイックリスタートからだったが、相手や味方の位置関係を見て突破できると判断し、すぐに始めた三田の判断が見事だった。Jリーグではあのような場面では一旦セットしなおすよう主審がリスタートを止める印象が強いが、流してくれる可能性を考慮してプレーを続けた抜け目の無さを評価したいところだ。そして何より、今日は無失点に抑えた守備が素晴らしかった。9月に入ってから、横浜・神戸・大分との3連戦で失点が続いていたが、今日の渡辺と森重のコンビは、クロスを跳ね返したり、シュートをブロックしたりとあらゆる場面で相手に立ちはだかり、観ていて頼もしかった。サイドバックの頑張りもあった。帆高も積極的な守備でインターセプトからの攻撃などを見せていたが、守備でも全力で戻ってきて参加するなど奮闘していた。小川は特に終盤、仙台が道渕を投入してから中に絞っての守備が増えたが、よく跳ね返していたし、サイドのスペースも内田が穴埋めしてくれた。ギリギリの内容で、ピッチに立った選手たちが自分のやるべきタスクをしっかりこなしたからこそ得られた勝点「3」であり、自信を持って次の試合に臨めるのではないかと思う。その次節は、2位・C大阪との上位対決。中2日という非常にタフな日程だが、今が踏ん張りどころだ。