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2020.9.16 (水)
2020 明治安田生命J1リーグ 第24節
FC東京 × 大分トリニータ
( 味の素スタジアム,19:00 )

当初、10月下旬からACLの集中開催が予定されていた関係で、9月に前倒しての振替開催となったリーグ戦の第24節。日本国内ではなんとなく感染拡大の勢いが鳴りを潜めてきた感のある新型コロナウイルスだが、世界規模では依然として甚大な脅威となっており、ACLも11~12月にかけての再延期が決定。ACL組にとってリーグ戦への影響は甚大だが、まずは予定されている試合スケジュールを淡々とこなしていくしかない。東京は前節、アウェイで神戸に2-2のドロー。終盤まで2-1とリードしながら、後半ATに追いつかれて勝点をとりこぼす嫌な結末だった。今日のホームゲームはその嫌な流れを断ち切りたい。今節の対戦相手は、つい11日前にアウェイ・昭和電工ドームで対戦したばかりの大分だ。その試合では安部のゴールにより1-0の勝利を飾ったが、ホームだからといって同じような結果が約束されているわけでは決してない。もしこれがカップ戦のホーム&アウェイならば、180分トータルで勝ち切れば良いという話になるが、これはリーグ戦。またこの90分間で同じチームに勝ち切らなければならない難しさはあるだろう。そんな今節は、渡辺・髙萩・安部などがメンバー外。連戦が続いており、特に負荷の大きい守備のセンターラインはやや手薄な現状だ。ここはスタメン出場の増えてきた品田や、今日もCBでスタメンの木村など、若手選手のカバーに期待するしかない。一方の大分も多少メンバーを入れ替えてきているようだが、選手の能力に必要以上に依存しないサッカーをしてくる印象があり、チーム力は落ちないはず。非常に怖い相手だ。

前半は東京が押し気味に入るが、大分が冷静に対処する立ち上がり。大分は後ろでボールを持っているが、一度スイッチが入ると縦への楔のパスや裏へのロングボールなど、とにかく仕掛けが速い。東京はDFラインを高めに設定し、機を見て前からプレスをかけに行くが、完全に奪いきる場面をなかなか作れない。単体の攻撃・守備自体は無難にこなしているが、攻守の切り替えで必要以上に「走らされている」感がある。42分には大分がパスを繋いで押し込み、左サイドの小塚のクロスにファーサイドの高山が飛び込む決定機を作るが、シュートミスに救われて0-0のままHTを迎える。しかし53分、大分は自陣内でレアンドロのロストから素早く前線に繋いで押し込むと、左サイドで一度奪われてすぐのプレスでアルトゥールからボールを奪い返した松本のシュートがゴール右隅に突き刺さり0-1。前半の良い流れを継続した大分が先制に成功する。3試合連続で先制を許した東京は、ベンチの内田とアダイウトンの投入を準備。すると2人を投入する直前の61分、品田→アルトゥール→永井とダイレクトで繋いでPAに侵入し、最後は永井の落としをレアンドロが左足で決めて1-1。この試合最初といえる決定機をしっかり決めきり同点とする。この勢いのまま逆転に持っていきたい東京は、交代を準備していた内田・アダイウトンをそのまま投入。更に70分には原を投入して4-4-2にシステム変更。ディエゴとアダイウトンの2トップ、レアンドロと原をサイドに置く攻撃的な布陣で追加点を狙う。しかし、今日の大分はこれに動じない。82分、左サイドでボールを持った途中出場の野村が縦に振り切ってグラウンダーのクロスを入れると、ファーにこぼれたところを途中出場の田中が押し込んで1-2。更に87分、東京の裏のスペースを田中が突いてPA内に侵入し、ライン際の折り返しからこぼれ球を野村が押し込んで1-3。大分が一気にリードを広げる。割り切って攻めるしかない東京は、90分にアダイウトンが独走ドリブルで左サイドを切り裂き、PAでこぼれ球を引き取った田川のシュートを品田が押し込んで2-3と1点差。追加タイムは怒涛のパワープレーを繰り広げ、AT5分に原が競ったボールを受けた田川のゴール至近のシュートは惜しくも枠の左。更に終了間際のゴール前の混戦での原のシュートも決めきれずにクリアされ、これがラストプレーとなり試合終了。東京の終盤の猛反撃を1点に抑えた大分が2-3で逃げ切りに成功した。最後まで攻め続けたチームに対してスタンドからは大きな拍手が沸き起こったが、東京は手痛いホームでの敗戦となった。

大分にとっては理想的な勝ち方のできた試合だった。前半は慎重な試合運びとなったが、一度ボールを持てば丁寧にボールを繋ぎ、不用意なロストも無し。東京の選手を走らせて体力を削り続けたことが終盤の得点に繋がった。後半は攻守の切り替えの早さが際立っていた。一度相手陣内でボールを奪われたが、すぐに松本がプレスをかけてボールを奪い返した先制点の場面は象徴的だった。一度は同点に追いつかれたが、その後の選手交代も見事に的中。勝ち越しの2点目は三竿を起点に野村のクロスを田中が押し込んだし、3点目も田中のクロスに伊佐が詰め、更にこぼれ球を野村が決めた。この2得点に絡んだ三竿・野村・田中・伊佐の4人は全て途中交代で入った選手だ。彼らの投入によってベンチに下がった選手も、前半から献身的なプレーで東京の選手のスタミナを削ったと思うし、片野坂監督の采配も含め、まさにチーム全員で勝ち切った試合といえるだろう。東京は同点に追いついた後の選手交代で前線の配置を見直したが、それによって後ろが軽くなりすぎたのが裏目に出てしまった感は否めない。特に原の投入後は中盤を支えるのが品田・内田の2人だけという状況で、アタッカー4人に加えてサイドバックも攻撃に加担していたため、守備にかける人数が少なく、プレスバックもかかっていなかった。ミスから失点したことも反省材料だが、守備にかける人数を必要以上に減らしてしまっては裏を突かれるのは自明の理。得点の欲しい状況での攻めの采配に異論は無いが、選手交代でリスクを冒すのはもう少し待っても良かったのではないか?というのが率直な感想だ。一方、終盤のパワープレーは見ごたえがあった。ラフなボールでもゴール前で混戦を生むことができていた。今後のビハインドの状況で迎えた試合終盤には、オプションの1つとして検討できそうだ。ただ、それはあくまでビハインド時の話であって、パワープレーせずに勝てるに越したことはない。今日スコアが大きく動いたのは後半だったが、前半から大分のプラン通りに試合が進んでしまい、その手当てをできないまま先制点を与えてしまったことが試合を難しくした最大の要因だと思う。まずは先制点を許さないという基本に立ち返るべきだと感じたし、そのためにも選手層の手薄なセンターラインの立て直しは急務。今日欠場した選手の復調を待ちたいし、品田や木村など若手の成長にも改めて期待したい。

FC東京 2 0前半0 3 大分トリニータ
2後半3
レアンドロ61'得点53'松本 怜
品田 愛斗90'82'田中 達也
85'野村 直輝

GK 33林 彰洋 GK 22文 慶建
DF 22中村 拓海 DF 15小出 悠太
47木村 誠二 5鈴木 義宜
3森重 真人 2香川 勇気
6小川 諒也 MF 23高山 薫
MF 44品田 愛斗 32前田 凌佑
7三田 啓貴 4島川 俊郎
45アルトゥール シルバ 7松本 怜
FW 9ディエゴ オリヴェイラ 16渡 大生
11永井 謙佑 14小塚 和季
20レアンドロ FW 9知念 慶

GK 13波多野 豪 GK 1高木 駿
FP 5丹羽 大輝 FP 3三竿 雄斗
15アダイウトン 10野村 直輝
24原 大智 11田中 達也
27田川 亨介 18伊佐 耕平
28内田 宅哉 26佐藤 和弘
37中村 帆高 49羽田 健人

長谷川 健太 片野坂 知宏

得点53'松本 怜
レアンドロ61'得点
アルトゥール シルバ61'交代
内田 宅哉
永井 謙佑
アダイウトン
交代67'渡 大生
野村 直輝
高山 薫
三竿 雄斗
小塚 和季
田中 達也
三田 啓貴70'交代
原 大智
品田 愛斗74'警告
交代77'知念 慶
伊佐 耕平
得点82'田中 達也
得点85'野村 直輝
ディエゴ オリヴェイラ87'交代
田川 亨介87'松本 怜
中村 拓海羽田 健人
中村 帆高
小川 諒也89'警告
品田 愛斗90'得点

木村 博之

4,782人