J1リーグの開幕戦。今季は東京オリンピック開催に伴う夏の中断期間もあり、国内では1週間前にルヴァンカップが開幕。ACL組以外にとっても少し早いシーズンスタートとなっている。ホーム・アイスタで開幕を迎える清水は、昨季まで横浜Mでコーチを務めていたクラモフスキー新監督が就任。前週に行われたルヴァンカップの試合では川崎に1-5で大敗を喫しており、守備に不安を抱えながらの開幕となっている。一方、アウェイでのリーグ開幕となる東京は、火曜日に行われたACL・パース戦(H)から中4日。負傷の小川・安部がメンバー外となった他、アダイウトンがベンチスタート。代わりに三田・田川、そして大卒1年目の中村(帆)がスタメンに名を連ねた。
試合は前半から清水が押し気味に試合を進める内容。開始早々に新加入のティーラシンが際どいループシュートを放つと、その後も中盤から東京のDFラインの裏へロングフィードを送り、決定機まであと少しという場面を何度か作る。東京の守備が整った状況では、左アタッカーの西澤が中へ切れ込んでシュートを狙うなど脅威となり、全体的に押し気味の内容。東京は左サイドで溜めを作り、右サイドからオーバーラップを仕掛ける室屋へ局面を変えるロングパスを送るパターンが見られたが、上空に強風が吹く状況でボールが風に流される影響もあり、思うようにパスが通らず。守備ではアンカーの橋本の両脇を使われる場面が多く、西澤や後藤が立ち位置を横にスライドした際の対応に手を焼き、何とか前半を0-0で切り抜ける。
均衡が破れたのは後半の立ち上がり。47分、清水は中盤のパスカットから西澤がボールを受けると、前線で待つティーラシンへ鋭い縦パスを配給。これで抜け出す恰好となったティーラシンが林との1vs1を冷静に流し込み、ホームの清水が1点先制。前半をスコアレスで耐え抜いた東京だが、後半にいきなり痛恨の失点を喫する。長谷川監督はすぐさま動く。55分、三田を下げてアダイウトンを前線に投入。ディエゴと2トップを組ませ、田川とレアンドロをそれぞれ両サイドハーフに1列下げる4-4-2にシステム変更。61分にはアルトゥールをボランチに投入して中盤の守備を落ち着かせる。すると、前線にアダイウトンが入ったことで2列目からの攻撃が効き目を発揮。76分、レアンドロが左サイドからドリブルでPA内にアタックを仕掛けると、立田のファウルを誘いPKを獲得。ディエゴが左隅に冷静に決めて1-1の同点に追いつく。更に80分、自陣で押し込まれる展開からレアンドロがボールを拾い、ドリブルでファストブレイク発動。ゴール前に走り込んだディエゴ、更にアダイウトンへとパスが通り、GK・ヴォルピとの1vs1をアダイウトンが冷静に決めて1-2。僅か3分間で東京がスコアをひっくり返すことに成功する。東京はその後も紺野を右サイドに投入して相手を牽制し続けると、90分には清水の奥井がGKに戻したボールにレアンドロがスプリントで追いつき、ヴォルピをかわして無人のゴールへ流し込もうとしたところを立田に倒され、この試合2つ目のPKを獲得。これをレアンドロ自身が決め、リードを2点に広げて勝利を決定づけた。試合はこのままタイムアップ。交代策とシステム変更が見事に的中した東京が、逆転で勝点「3」獲得に成功した。