昨季のJ1リーグを2位で終え、2016年シーズン以来4年ぶりにアジアへの挑戦権を獲得した東京。ただしACL本戦へのストレートインではなく、まずは予備予選にあたる一発勝負のプレーオフ3回戦に勝利しなければならない。対戦相手はフィリピンのリーグ王者、セレスネグロスFC。プレーオフ2回戦ではタイのポートFCをアウェイながら1-0で制している。東京は1月上旬のチーム始動から僅か3週間での公式戦初戦というただでさえ難しいシチュエーションだが、更に気候も大雨に見舞われ、ピッチは至る所で水溜まりが出来る状況となった。大雨と寒さに加え、平日夜開催、更に東京スタジアムが改修工事中のため通路や客席の多くが使用できないなど、試合観戦にも不向きな条件が揃う中、東京スタジアムには6,630人の観客が集まった。
試合はピッチ状態から予想されたとおりボールが転がらず、互いにロングボールを蹴りあう展開。今季から4-1-2-3の新システムに取り組む東京は、新加入のアダイウトンとレアンドロ、更に上背のある原の3人を前線に並べ、短い手数で相手ゴールになるべく近い位置でボールを収めようとするが、セレスも守備時は4-4-2の基本システムから5-4-1の陣形に変化。後ろに人数をかけてスペースを消し、攻撃時にはゴール前で誰かの頭に合えば一発で仕留められるような嫌なボールを入れていく。東京は、20分にアダイウトンがDFラインの裏に抜けだして無人のゴールに流し込もうとするが、すんでのところでDFがカット。40分には中盤でのボール奪取からレアンドロが抜け出して決定機となるが、GKのミュラーが防いでゴールを死守。目に見えるチャンスは東京の方が多かったものの、そのチャンスを得点に結びつけることができないまま、0-0で前半を終える。
膠着した展開が長引くほど、東京にとって息苦しさが増していくことが予想された後半、試合は立ち上がりに動く。48分、右サイドを攻め込んでアタッキングゾーンに侵入すると、一度跳ね返されたボールを拾ってセカンドチャンス。アダイウトンのゴール前でのキープからすかさず東京の選手が攻めこみ、こぼれ球を拾った室屋が強引に右足を振り抜くと、GKが辛うじて弾いたボールはゴールポストの内側に当たって、そのままゴール。泥臭い形ながら、東京が大きな先制点を奪う。前に出ざるを得なくなったセレスに対し、東京は後ろのスペースを狙ってカウンター。64分に室屋が右サイドから送り込んだグラウンダーのクロスにアダイウトンが合わせるものの、オフサイドの判定で惜しくも追加点ならず。79分には空中戦の競り合いで肘を使ったファウルを取られた原が一発退場となり数的不利になるものの、後方の人数が減ったわけではなく、攻勢を強めるセレスに対して辛抱強く守り続ける。89分、セレスの波状攻撃を跳ね返すと、前線で待つアダイウトンがクリアボールを拾ってドリブルで突進。最後はGKが中途半端に飛び出した所をループシュートで鮮やかに沈めて2-0。粘るセレスをようやくとどめを刺した。思いどおりのサッカーにはならなかったものの、ピッチ条件にうまく適応して先制点を奪った東京が無難に逃げ切り、ACL本戦への進出を決定。不確定要素が多く、プレッシャーのかかるシーズン最初の公式戦を勝利で飾った。