インターナショナルウィークを挟み、2週間ぶりのリーグ戦。気が付けば残りは6試合となり、いよいよ終盤戦だ。東京はアウェイ8連戦のうち6試合目となる神戸との一戦を迎える。2週間前の10/5に行われた鳥栖とのアウェイ戦、東京は後半ATの痛恨の失点によって1-2の敗戦。一方、2位・鹿島が勝利したことによって勝点で追い越され、遂に首位陥落となってしまった。とはいえ、前節終了時点で勝点「55」の鹿島と、勝点「53」で追う東京の勝点差は2ポイント。しかも鹿島は昨晩の試合で松本と1-1で引き分け、勝点「1」の上積みにとどまっている。ここでまだ諦めるわけにはいかない。勝点「3」を上積みし、勝点「52」の3位で追ってきている横浜Mにもプレッシャーをかけたいところ。前節の鳥栖戦は財布と相談の末に遠征を断念せざるを得なかったが(笑)、今節はデーゲームで試合が組まれたこともあり、自分も朝一の新幹線の切符を押さえて神戸へ向かった。ホームに東京を迎える神戸は勝点「35」の9位と中位の成績。今節はイニエスタが欠場となったせいか、ノエスタの観客も20,413人と比較的落ち着いた(?)入り。それでもビジャがスタメン、負傷明けのポドルスキがベンチに入るなど、嫌な相手であることに変わりはない。東京は日本代表戦で試合に出場していた永井がベンチスタート。代わりにアルトゥールがスタメンというこれまでに無いパターンのラインナップで試合に臨む。
東京の最初の並びは4-2-3-1。ディエゴを1トップ気味にして髙萩がシャドウに近い位置でサポートする形だ。このシステムの効果はいきなり表れる。6分、右サイドに開いて受けたアルトゥールのクロスがPA内に侵入した髙萩から東へと渡り、東のリターンパスを髙萩が押し込んで0-1。狭いエリア内でのパス交換ながら、テクニックのある2人の連携でゴールを陥れる。更に10分、東京は左サイドでのキープからパスを受けたアルトゥールがPA外から右足を一閃。弾道がぐんぐんと伸び、ファーサイドのゴール上隅を見事に射貫いて0-2。アルトゥールのクラブ加入後初得点となるゴラッソが炸裂。チームメートにもみくちゃにされるアルトゥール自身も信じられない様子だ(笑)。立ち上がりで2点のアドバンテージを受けた東京は、トップ下の髙萩が対面のサンペールを徹底的に潰し、橋本とアルトゥールの働きもあって中盤を制圧。左サイドの酒井が積極的に攻めあがってくるのが厄介だが、これはある程度分かっていたこと。決定的なチャンスまでは作らせない。すると34分、今度は自陣でのボール奪取から橋本が縦パスをディエゴに入れ、一気に駆け上がる。ボールを溜めたディエゴがダブルタッチでスルーパスを送り込むと、そこに走りこんだ橋本がGKと1vs1になり、これを流しこんで0-3。東京が更にリードを広げる。これ以上傷口を広げるわけにいかない神戸は、中盤で完全に穴になっていたサンペールを前半終了を待たずに交代。後半に入ると、ボランチを増やした神戸も中盤に落ち着きを取り戻し、リズムを掴む。60分には前線で目立った働きの少なかったビジャを下げ、ポドルスキを投入。66分、神戸は右CKを中央のオマリが頭で合わせ、これがゴール左隅に決まって1-3。セットプレイで待望の1点を挙げ、攻勢を強める。雲行きが怪しくなってきた東京は、永井を入れて前線からボールを追わせ、更に中盤に岡崎を投入して守備を引き締める。79分には神戸の押し込む流れからポドルスキがPA外から強烈なミドルシュートを枠内に飛ばしてくるが、林が渾身のセーブで弾き出し、これ以上の失点を許さない。結局、この75~80分にかけての神戸の猛攻の時間帯を耐えたのが大きかった。終盤は前線に投入した永井や内田のボールキープなどもあって難なく逃げ切りに成功。3-1で試合を制した東京が4試合ぶりの勝点「3」を奪取し、勝点「56」で首位・鹿島に並ぶことに成功した。
会心の勝利といえる試合だった。神戸の3-3-2-2のシステムに対し、中盤のマークがぴったりと噛み合う4-2-3-1を採用したことで、中盤でしっかりマークに付くことができ、神戸に組み立てをさせなかったことが流れを呼び込んだと思う。特に中盤の底でゲームを作るサンペールに対して髙萩を対面に当てたのが効いた。攻撃面ではPA内に積極的に侵入し、6分には先制点という結果も出してみせた。先制点の場面以外にも、高い位置で攻撃の起点となり、24分というこれまた早い時間帯にサンペールからイエローカードを引き出すプレイ。結局サンペールを前半途中で交代に追いやり、神戸のゲームプランを破壊する中核的な役割を担った。リーグ戦で初スタメンながら、1得点の大活躍を見せたアルトゥールの働きも大きかった。先制点の場面では右サイドに顔を出して良いクロスを入れてくれたし、何よりチーム2点目となったゴールは年に1回飛び出すかどうかというレベルの鮮烈なもの。神戸に与えるダメージは大きかったはずだ。全体のパフォーマンスという点では髙萩の方が上だったと思うが、「出場していきなり」というインパクトの点では、アルトゥールの方が上だったかもしれない。今日は橋本もゴールを挙げており、中盤の3人が本当に輝いた試合だったと思う。守備面では、酒井が絡む神戸の左サイドからの攻撃に少し手を焼いた印象だが、そこから肝心のゴールは割らせず、どうにか耐えきった印象。後半にポドルスキを入れられて、セットプレイから1点を返されたのは課題だが、そこから押し込まれても2点目を許さなかったのは収穫だ。永井を途中からの投入にして、終盤になっても前からボールを追えたのは大きかった。守備に強みのある岡崎、前線でキープのできる内田も、自分の役割を理解して着実に仕事を遂行していた。チームとしては8月の名古屋戦以降勝利が無く、更に首位陥落という非常に悪い流れだったが、それを断ち切る良い試合運びができた。首位・鹿島に勝点でも並び、再び首位奪回を目指す良い流れができつつある。アウェイでの連戦はまだ大分と磐田との2試合が残っているが、来週末はまた試合がなくリフレッシュできる。ここでもう一度ギアを入れなおして首位奪回を狙いたい。