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2019.9.29 (日)
2019 明治安田生命J1リーグ 第27節
松本山雅FC × FC東京
( サンプロアルウィン,14:00 )

松本にサッカー観戦目的で来たのは、それこそ松本山雅FCが前回J1に所属していた2015年シーズンの東京のアウェイ戦以来、5年ぶりのことだ。今季必ず行くつもりでいたアウェイの1つが松本だが、よもやこんな気持ちの張りつめるような首位争いのさなかに訪れることになろうとは思ってもみなかった。チケットを確保するのもひと苦労ではあったが、どうにか購入することができ、宿も押さえて松本に前日入り。松本に住んでいる知人と遅くまで飲み明かし(笑)、試合当日を迎えた。松本バスターミナルでのシャトルバス乗り場が想像を超えた長蛇の列になっていて時間は掛かったが、どうにかアルウィンに到着。チケット完売ということもあり、スタンドの雰囲気は試合前から最高潮。このテンションを味わえるだけでも、アルウィンに来てよかったなと思えるひとときだ。前節、東京は2位・鹿島との首位攻防戦に0-2で完敗し、勝点差はいよいよ「1」にまで接近。その鹿島は昨日既にリーグ戦を戦っており、札幌に1-1のドロー。暫定ながら、いよいよ勝点が並んだ。ただ、東京はここで勝てば再び勝点差を突き放すことができる絶好のチャンス。アウェイとはいえ絶対に勝ちたいシチュエーションだ。一方、ホームの松本は勝点「24」で、J2降格圏の17位。残留圏内の15位・浦和との勝点差は「7」、プレーオフに回る16位・鳥栖との勝点差は「3」と、状況は少しずつ厳しくなりつつある。2週間のインターバルがあった中で、どれだけ試合に向けて準備できたかが問われる一戦だ。

キックオフと同時に松本のシステムを確認。試合前からネット情報でなんとなく頭には入れていたが、松本は前節までの1トップを変更し、今節から2トップを採用してきた。2トップの片方は攻撃的MFのセルジーニョなので、攻撃の特徴は大きくは変わらないが、ボランチを1枚に減らす思い切ったシステム変更だ。9分、松本は中盤でのボール奪取から素早く繋ぎ、最後は町田が抜け出してフィニッシュに持ち込むがシュートは僅かに左へ外れ、先制ならず。やや重心を前に置く松本のシステム変更が早くも形として表れる。一方、守備では帰陣が早く、東京は得意の速攻をさせてもらえない。ボールを持たされる予想どおりの展開ではあるが、出しどころがなく攻撃が停滞。全くチャンスを作れないまま前半を0-0で終える。後半になると、少しずつスペースが生まれるようになった松本の守備に対して東京も徐々にエンジンがかかり始める。61分、三田がドリブルで中央に切れ込みシュートへ持ち込むものの僅かに左。62分には東が左サイドのオープンスペースに蹴ったボールに永井が抜け出してゴール前まで迫るが、シュートは守田がストップ。あと少しのところでゴールをこじ開けられない。一方の松本も、71分の左CKの流れからゴール前で混戦を生み出し、空中戦のこぼれ球がクロスバーを直撃するなど、カオスの中からチャンスを作っくる。押し込んだ時間で先制できなかった東京は、71分にサンホ、75分に田川を投入。痺れを切らして打開を試みる。しかし松本の守備が堅く、再びスペースが生まれなくなり、チャンスを作れない。松本のワンチャンス狙いの攻撃に対しては守備が最後まで持ちこたえたが、結局0-0のまま試合終了。満員のスタンドには消化不良気味の溜め息がこだました。東京は勝点を「53」に伸ばして再び首位に立ったものの、2位・鹿島を突き放す絶好のチャンスを逃す形に。松本も順位を17位のまま上げることができず、痛み分けのドロー決着となった。

東京にとっては、勝てない内容ではなかっただけに、非常に悔しい勝点「1」となってしまった。アウェイでのドローだし、首位を守ることはできたので結果としては悪くないが、やはり勝ち切れなかった悔しさの方が上回る試合だ。後半の立ち上がりから中盤にかけ、押し込んだ時間帯で決めきれなかったのが全てだった。4月のホームでの松本戦のように、前半のうちに先制してゲームの流れを引き寄せたてしまう戦い方もありだったと思うが、2トップを組んできた松本の戦い方に少し振り回されてしまい、なかなかアジャストできなかったようにも見えた。松本は前後半にわたり、最後まで運動量が衰えなかった。インサイドに町田と杉本の2人を配したのは、やられたと言わざるをえない。この2人が仕掛けて東京の中盤を後退させる場面があったし、守備でも最初のフィルターとなって攻撃を遅らせていた。2トップに入ったセルジーニョも状況に応じて1列下りてきて、代わりにインサイドや両WBの選手が上がっていくなど、攻撃にも連動性があった。後半は松本の動きも徐々に落ちてきて、東京が徐々に裏のスペースを使えるようになってきたが、決めたい場面で決められず、その間に松本が守備を立て直してしまったというのが全体の流れだったような気がする。試合を動かしたい場面でサンホ・田川という交代カードを切ったのは当然といえば当然だが、パワープレイでこじ開けるなど、どうしても1点が必要という状況での切り札がベンチにいなかった。ディエゴと永井のコンビがシーズン終了まで安定して得点を量産できるのならばパワープレイ要員は不要なのかもしれないが、現実として、この2人の得点ペースが落ちてきており、今日の交代選手にその穴をカバーするだけの力は足りなかった。アウェイ8連戦はまだ半分の4試合が残っており、まだ厳しい戦いは続きそうだ。呆然とした気持ちで席を立ち、アルウィンを撤収。昨晩飲んだ知人の家族が運転する車に乗せてもらうことができ、シャトルバスの大行列に並ばずに済んだのが救いだった。

松本山雅FC 0 0前半0 0 FC東京
0後半0
得点

GK 1守田 達弥 GK 33林 彰洋
DF 31橋内 優也 DF 2室屋 成
4飯田 真輝 32渡辺 剛
41水本 裕貴 3森重 真人
MF 47岩上 祐三 14呉 宰碩
6藤田 息吹 MF 7三田 啓貴
42高橋 諒 8髙萩 洋次郎
25町田 也真人 18橋本 拳人
20杉本 太郎 10東 慶悟
FW 8セルジーニョ FW 9ディエゴ オリヴェイラ
11永井 龍 11永井 謙佑

GK 16村山 智彦 GK 1児玉 剛
FP 3田中 隼磨 FP 16ジャエル
5今井 智基 17羅 相浩
13中美 慶哉 27田川 亨介
14パウリーニョ 29岡崎 慎
35宮阪 政樹 39大森 晃太郎
50阪野 豊史 42バングーナガンデ 佳史扶

反町 康治 長谷川 健太

交代71'永井 謙佑
羅 相浩
交代75'三田 啓貴
田川 亨介
杉本 太郎81'交代
パウリーニョ
永井 龍84'交代
阪野 豊史
飯田 真輝84'警告
交代85'ディエゴ オリヴェイラ
ジャエル
警告88'呉 宰碩
岩上 祐三90'交代
田中 隼磨

飯田 淳平

19,271人