既に優勝を決めたVONDS市原を筆頭に、TOKYO UNITEDや栃木シティなど強豪クラブの群雄割拠となった今季の関東1部だが、そこにあって例年以上の苦戦を強いられているのが東京23FC。3年前にはリーグを制したチームながら、今季は前期9試合で僅かに2勝とスタートダッシュに失敗し、監督交代も経験。その後もなかなか勝点を積み上げられずに迎えた最終節、未だに「1部残留」を確定できていないのが現状だ。残留ラインの8位にいる東京23の勝点は「15」。そして最終節に対戦する9位・横浜猛蹴の勝点は「14」。JFLと関東1部の間での昇降格チーム発生の有無にもよるが、少なくともこの試合が終わった時点で勝点の少ない方は、JFLから関東1部への降格チームが無く、かつ関東1部からJFLへの昇格チームが発生するケースを除き、関東2部への降格が決定となる。この試合で勝利しても残留確定とはならず、まだ入れ替え戦に臨む可能性は残されるが、まさに生き残りを賭けた一戦だ。ビジター側のゴール裏には少数ではあるが東京23のサポーターが集まり、チャントを途切れることなく歌い続けて雰囲気を盛り上げていた。
先手を取ったのはホームでの試合となった猛蹴。11分、右サイドのスローインを有馬が拾ってドリブルで持ち込み、PA外から左足で強烈なミドルシュートを放つと、これがGK・シューラーの手を掠めてクロスバーを叩きながらゴールネットに突き刺さる「ゴラッソ」に。猛蹴が1-0とリードを奪い、1部残留に向けて大きな一歩を踏みだす。猛蹴のチャンスは続き、27分には西田がアタッキングエリアのこぼれ球を拾って押し込もうとするが、これはシューラーが足で防ぎ、東京23が何とかピンチ脱出。その後も猛蹴が有馬の積極的な仕掛けを中心に押し込むが、リードを広げるには及ばない。押し込まれる時間の続いた東京23だが、粘り強くサイドを縦へ突破しようとボールを繋ぎ、徐々に流れを奪回。39分、小泉が左サイドを深くまで崩すことに成功。折り返しのボールはゴールには繋がらないものの、ひとつ狙った形を作ることに成功する。するとHTが近くなってきた43分、今度は右サイドの橋岡が深くまで侵入し、グラウンダー性のクロスを渡邉がダイレクトでゴール左隅に叩き込んで1-1。前半のうちに東京23が追いつき、再びアドバンテージを奪う。
HTを挟んで後半立ち上がりの47分、猛蹴は交代で入ったばかりの齋藤(翔)のクロスに合わせた永埜のヘディングがクロスバーを叩くチャンス。1部残留に向けて再び攻勢に出る。しかし東京23も同点にしたことで落ち着きを取り戻していた。自陣でしっかりとボールをからめとり、シンプルなボールを前線に送り込んでワンチャンスを生かそうとする。攻めながら決定機を作れない猛蹴は、ここまで出色のプレイで攻撃を仕掛けていた有馬を68分で下げ、別の手段での状況打破を試みる。しかし76分、東京23はPA内に侵入した音泉がマーカーの齋藤(翔)と入れ替わろうとしたところを倒され、PKの判定。これを音泉自身が決め、東京23が1-2と逆転に成功。残留のためにあと2点が必要な状況となった猛蹴は前線へ長いボールを送り込み、パワープレイに切り替えるが、東京23も大ベテランの土屋を投入してピッチを落ち着かせ、1-2のまま試合終了。苦しい立ち上がりとなったが、サイドを執拗に突いて前半のうちに追いついたことで落ち着きを取り戻した東京23が大一番を逆転で制し、順位下降を回避。猛蹴は先制点を叩き出すなど奮闘していた有馬を下げる思い切った采配が吉と出ず、10位に後退してシーズン終了となった。