J2は残り11試合となり、依然混戦の続くJ1昇格争いも1試合の重みが増してくる段階。三ツ沢では2位・横浜が5位・大宮を迎えての上位直接対決が組まれた。連続無敗記録を「13」に伸ばし続けている好調の横浜の勝点は「55」。これに対する大宮は直近3試合で勝利が無く、勝点「53」で横浜に道を譲ってしまった格好。しかし、この直接対決に勝てば再び横浜を抜いてJ1自動昇格圏内へのジャンプアップもあり得る絶好のシチュエーションとなっている。自分は茅ヶ崎で14時キックオフの関東2部の試合を観てからのハシゴ観戦。チケットの販売が好調だったことから急ぎ目に移動してきたが、メインスタンドは席を見つけるのがとても大変だった。関東のチーム同士の対決ということもあり、12,000人を超える観客数。スタンドにいる限り体感としてはほぼフルキャパシティに感じる入りだった。
試合序盤は大宮が守備からリズムを掴む展開。高木監督が得意とする馴染みの5バックの対応から、前線で待つフアンマに収めるシンプルな攻撃でゴール前の場面をコンスタントに作っていく。横浜はサイドに蓋をされてなかなか攻撃のリズムを作れないものの、今日の横浜のスタメンにはなんといっても中村俊輔がいる。チーム加入後2試合目のスタメンに名を連ねた背番号「46」がボランチの位置で試合を落ち着かせ、様子を窺う。35分にレアンドロが左サイド突破してカウンターの場面を作ると、堅かった大宮のサイドにも徐々に綻びが生まれ、横浜も中山・松尾の両翼を武器にリズムが生まれるが、大宮もクロスへの対応は明確で、中で安易にシュートを撃たせるような甘い対応はしない。0-0のまま前半終了。
後半に入ると、再び大宮が持ち直して攻撃を仕掛ける。ボールを奪いにいくポジションをやや高めに設定し、1トップもフアンマからシモヴィッチにスイッチして小気味良いテンポでサイドの揺さぶりをかけていく。69分、右サイドのシノヅカのサイドチェンジに逆サイドの酒井が抜け出してチャンスになるが、マイナスの折り返しからの奥抜のシュートはDFがブロックして横浜がピンチ脱出。横浜も攻撃のスペースが生まれ始めると、1トップのイバを下げて戸島を投入。カウンターに狙いを定める。76分、戸島が右サイドの中山に一度預けてPA内に入ると、リターンパスがDFに当たってこぼれたボールを拾いGK・笠原と1vs1の絶好機になるが、戸島のフィニッシュは笠原がセーブして決定機阻止。勝点「3」を持ち帰りたい大宮も前からのプレスを強め、85分にはショートカウンターからシモヴィッチがシュートに持ち込むが僅かに枠の左。横浜のカウンターも依然鋭く、90分にはレアンドロの右サイドやや浅い位置からのクロスを戸島がフリーでヘディングシュートに持ち込むが、クロスバーに跳ね返されてゴールをこじ開けられない。結局、終盤のチャンスを互いに決めきれず、0-0のまま試合終了を迎えた。他会場で山形が勝利して2位に浮上したため、横浜と大宮は共に1つ順位を下げる形に。横浜は前後半共に相手ペースの立ち上がりを許したが、速攻の武器をちらつかせながらしっかりクリーンシートで90分を終え、勝点「1」をキープして連続無敗記録を「14」に伸ばした。大宮も守備のコントロールは良かったものの、リスクを冒しながら決め手を欠き、リーグ戦4試合勝利無し。順位をひっくり返すチャンスを逃すこととなった。