代表ウィークによる2週間のインターバルを挟んで再開となるJ1リーグ戦。東京はアウェイ8連戦のうち3戦目だ。札幌に1-1で引き分け、名古屋に2-1と勝利して臨む今節は、2位・鹿島との首位攻防戦だ。勝点「52」の東京を追う鹿島の勝点は「48」の4ポイント差。東京が勝てばその差は一気に「7」まで開く一方、鹿島が勝利すると東京との勝点差が僅か「1」にまで接近するシチュエーション。東京が独走態勢を築くのか、あるいは混沌の優勝争いとなるのか、今季の優勝争いの行方を左右する重要な「6ポインター」である。27,000人を超える観客を飲み込んだカシマスタジアムの雰囲気は心なしかピリピリとした緊張感に包まれており、この試合の重要性を感じさせる。ビジタースタンドに駆け付けた東京ファンの数も、これまでのカシマでの試合では最も多いのではないかというくらいだ。
首位攻防戦らしく、互いに慎重な入り・・・という展開をなんとなく予想した前半立ち上がりだが、そんな見立ては早々に崩れ去る。2分、鹿島はレオシルバの右CKにブエノが走り込んでヘディング。このシュートがゴール左隅に決まり、いきなり鹿島が先制。リードを許す展開は想定はしていたかもしれないが、この早い時間での失点はプランの中にあっただろうか。観る側としては少なからず動揺させられる展開だ。ただ、このままズルズルと崩れ落ちるわけにはいかない。東京は永井をDFラインの裏に走らせ、ロングパスを使ってスペースで勝負を仕掛ける。鹿島もブエノがフィジカルで走り負けずに対応し、東京にチャンスを与えない。その後も試合の主導権は鹿島が握り続ける。21分に東京の不用意なロストから鹿島が速攻を仕掛け、三竿がシュートに持ち込む場面を作ると、23分には左CKを再びブエノがヘディングで合わせるが、強く叩きつけてバウンドしたシュートは枠上に外れ、東京は助けられる形。試合は明らかな鹿島ペースだ。前半の終わりにかけては東京が少しずつポゼッションを回復するが決定機には至らず、1-0のまま前半を終える。
後半は東京が猛攻を仕掛ける。49分、ジェソクのクロスの折り返しを正面でフリーのディエゴが頭で狙うが、当たりが弱くGK・權純泰がセーブ。51分には永井がこぼれ球を拾ってドリブルを仕掛け、東が抜け出してGKと1vs1の場面を迎えるが、パワーシュートは權純泰の正面を突いて弾かれてしまう。その後も56分に髙萩のラストパスを永井がシュート、60分に永井のPA侵入からの折り返しを室屋がシュート、64分に永井がドリブルでPAに侵入・・・と1点もののチャンスを再三作り出すが、いずれも決めきることができず。鹿島の守備の粘りが素晴らしいともいえるが、これだけのチャンスを決めきれないのは痛い。すると78分、鹿島は右サイドに開いたレオシルバを起点に、名古を経由して中央でフリーになっていたセルジーニョが左足のミドルシュート。これがゴール左隅に突き刺さり2-0。勝利を大きく手繰り寄せる追加点を挙げる。この直前に2トップをジャエル・田川のコンビへスイッチする準備をしていた東京にとっては痛恨の失点となった。残された時間も東京が攻撃を続けたものの、リードを広げて余裕の出来た鹿島が最後まで安定した守りを見せ、2-0のまま試合をクローズ。セットプレイによる先制点で掴んだ流れを手放さず、要所を押さえて逃げ切る勝負強さを見せつけた鹿島が天王山を制し、東京との勝点差はいよいよ「1」に縮められた。先手を取られた東京は後半に速攻からチャンスの場面を作ったが、その時間帯でゴールを奪えなかったことが敗戦に直結した。