プレーオフステージを勝ち上がった4チームと、ACL出場のため準々決勝からの登場となる4チームの計8チームによって行われる、ルヴァンカップ・準々決勝。本来ならば東京の試合を観に行くところだが、今日はG大阪とのアウェイにつき遠方での試合となるため、大人しく(?)近場の等々力を選択。ACL出場組の川崎が、グループ2位からプレーオフを勝ち上がった名古屋をホームに迎えての第1戦だ。リーグ戦では両チーム共に直近の成績は芳しくなく、川崎は6戦連続勝ち無し、名古屋も直近10試合でわずか1勝と苦しんでおり、カップ戦で勢いを得たいところだろう。日程面では川崎の中2日に対し、名古屋が中4日とやや分がある状況だが、川崎以上に深刻な現状といえる名古屋にとってはアドバンテージとは言い難いか。いずれにしても風間監督にとっては非常に難しい古巣との対戦となった。ちなみに、ルヴァンカップではこの準々決勝からVAR(ビデオアシスタントレフェリー)による映像判定が国内で初めて導入され、ジャッジにも注目が集まる試合だ。
名古屋のスタメンは見かけは3-4-2-1に近いが、1トップの長谷川がダミーのFWのような位置取りで0トップのようなシステム。ボールを収める役割を期待しての起用なのかもしれないが、本職でないポジションだけに役割をこなせるかは未知数だ。すると試合は立ち上がりから川崎が圧倒的に攻め込む展開。ハイラインを敷いて高い位置から圧力をかけようとする名古屋だが、川崎は慌てず冷静に裏のスペースを狙っていく。12分、守田の裏へのボールに長谷川が抜け出しかけた場面は、PA目前で宮原がファウルで食い止める。これで得た至近距離の直接FKは決められなかった川崎だが、直後の15分、今度は車屋の裏へのパスに反応した知念がGK・武田をかわしてシュートをゴールへ流し込む。知念のポジションがオフサイドか怪しいところだったため、村上主審がゴールのジャッジに少し迷っているように見えたが、さっそくVARでのチェックが行われて知念のオンサイドを確認。川崎の得点が認められて1-0となる。その後も川崎の攻勢は続き、攻守共に安定しない名古屋は前半のうちにプラン変更。31分にベンチスタートとなっていたジョーを早くも投入。長谷川のダミー1トップを早くも諦め、システムを4-2-3-1へ変更する。良く言えば割り切るのが早いともいえるが、このために交代カードを1枚使ってしまっているのだから勿体ない。その後の名古屋は1トップのジョーを狙ったロングパスを増やしてアウェイゴールを狙うが、前半はこのまま0-0で折り返す。
後半の立ち上がりは名古屋がリズムを掴む。開始早々の47分、PA内に侵入したジョーがハーフスペースから折り返すが、前田のシュートはDFがブロック。58分、CKの流れから攻め残っていた中谷がPA左隅付近からコントロールシュートを狙うが僅かに枠の上。直後の60分には右サイドのシミッチのクロスに再び中谷が飛び込み、強烈なヘディングシュートを放つが、これもGK・新井がセーブでCKに逃げ、ゴールを許さない。すると、このCKのこぼれ球を拾ったレアンドロが抜け出して一気に相手陣内へドリブル。一緒に攻め上がった脇坂へラストパスを送ると、脇坂がしっかりとシュートを叩き込み、2-0。ピンチが続いた時間帯からのロングカウンター発動により、川崎がリードを広げることに成功した。攻撃でリズムを掴みながら追加点を許してしまった名古屋はこれで流れを手放してしまう形。日程に余裕がある分、試合終盤のスタミナで上回ることも期待されたが、阿部と小林を同時に投入して前から圧力をかけてきた川崎に対して自陣に戻っての守備の時間が続き、逆に「走らされる」格好となった。結局、2-0のまま試合終了。攻守にわたり常に先手を打ち、相手に隙を与えなかった川崎が、クリーンシートで先勝。第2戦だけでなく、リーグ戦にも良い影響のありそうな完勝だった。一方の名古屋はアウェイゴールを奪えず手痛い敗戦。準決勝進出はかなり厳しい状況になってきたが、それでも名古屋ゴール裏からは拍手。「風間サッカー」で腹を括っているように見えた。