第18節の徳島戦に敗れて以来、J2リーグ戦10試合連続で負けが無く、この間8勝2分の勝点「26」という驚異的なペースで巻き返した横浜FC。第18節終了時点で14位だった順位も、一気に4位へジャンプアップし、今やJ1自動昇格圏をも視野に入れつつある。その横浜が三ツ沢に迎える相手の鹿児島は、クラブ初のJ2シーズン。昨季琉球をJ3優勝に導いた金鍾成監督が率いる今季は、現在18位と残留争いを余儀なくされている。J3降格圏の21位まで勝点「3」差に迫られているが、直近の3試合ではホームでの2勝を含めて負けが無く、やや好調の兆しが見えつつある状況。両者共に良い流れを持ち込みたい一戦だ。
先制点は意外な形から生まれる。17分、鹿児島は最終ラインにGKの安俊洙が加わるパス回しで様子を窺っていたが、安俊洙がキックミスで目前に詰めていた中山にボールを渡してしまう形に。1vs1の状況をプレゼントされた中山が難なくシュートを流し込み、横浜が1点先制する。試合の立ち上がりは鹿児島が優位に試合を進め、トップ下の枝本が起点となってチャンスの場面を何度か作る良い入り方をしていただけに、ミスから先制点を与えてしまうのは非常に悔やまれるところだ。一方のホームチームは相手が覗かせた隙を突いて一気に攻めかかる。24分、右サイドからボールを運んだ中山のグラウンダー性のクロスにニアのイバが潰れ、ファーサイドに飛び込んだ松尾が押し込んで2-0とすると、34分には鹿児島のバックパスをイバが奪ってそのままショートカウンターが発動。ハーフスペースに流れた松尾に一度ボールを預け、リターンパスをイバが再び押し込んで3-0。早い時間で大きくリードを広げる。それでも39分、鹿児島は中盤のパスカットから速攻を仕掛け、枝本のラストパスをゴール正面からルカオが決めて3-1。緩みの出た横浜のミスを突いて2点差に詰め寄り、逆転の可能性を繋いでHTを迎える。
後半に入ると、鹿児島が高い位置からプレスを掛けるアグレッシブな守備で再び主導権を握る。52分にはルカオがPA目前の高い位置でボールを奪い、GKと1vs1の場面を作るが、南が決死のセーブで防ぎ得点差を詰めさせない。やや落ち着かない後半の入り方となってしまった横浜だが、62分、鹿児島が自陣からビルドアップしようと平川がドリブルを開始したところを、レアンドロとイバが2人で挟んでボール奪取してショートカウンター。ラストパスを受けた右サイドの中山がやや遠い位置ながらニアに強烈なシュートを突き刺し4-1。後半最初の1点が勝敗を大きく左右しそうな展開だっただけに、またしても不用意なボールロストから失点してしまったことで、横浜が大きく勝利に近づくことになった。3分後の65分には自陣からの速攻にイバが抜け出し、冷静にシュートを流し込んで5-1とし、勝利を揺るぎないものとした。敗色濃厚となった鹿児島だが、66分に韓勇太を投入すると、後方スペースのカバーも棄ててハイプレスに移行。76分にはそのスペースを突いて抜け出したレアンドロをニウドが後方からファウルで止めて一発退場となるが、数的不利な状況でもブレずに攻めの姿勢を見せ続けた。逃げる横浜は、夏の補強でチームに加わった中村を投入し、鹿児島のプレスをいなしながらゲームをクローズ。結局鹿児島の追撃はかなわず、5-1で横浜が圧勝。リーグ戦11試合連続負け無しとした。鹿児島はミスから失点を重ねる悪循環で4試合ぶりの敗戦となったが、自分たちからアクションを起こして相手の守備を切り開こうとする気概は感じた。このサッカーでもしJ2に残留できたら、大きな財産になるのではないかと思う。最後まで諦めずに戦う姿勢を見せた選手たちにもサポーターからは拍手が起きていた。