今季就任したばかりのホワイト前監督が7月に成績不振のため退任し、ユースから昇格する形で就任した永井監督のもと、J1昇格争いへの浮上を狙う東京V。監督交代直後は2連勝と劇薬の効果を見せたが、その後は2分1敗と勝利が無く、現在の順位は13位。昇格プレーオフ圏内の6位・水戸との勝点差は「8」で、まだ可能性は充分残しているだけに、次の勝利を狙いたい。今節ホームに迎える相手は、昇格プレーオフ圏内の4位・山形。こちらも自動昇格を狙える位置につけているとはいえ、リーグ後半戦に入ってからのの第22節以降は6試合で4敗とやや失速気味。山形はつい2週間少し前にホームでの福岡戦を現地で観たばかりだが、失点後にガクッと来てしまいがちな印象。それでも前節はホームで新潟に2-0と勝利を収めている。連勝を狙いたい一戦、前節プロ初スタメンを飾った「半田陸」の名前が今節もスタメンに入っており、少し胸が躍る。2017年のU-18クラ選で当時弱冠15歳ながら堂々とプレーしていた姿を観て以来、勝手に将来を期待している若手の1人だ。
前半は山形がチャンスを多く作る展開。6分、左サイドでボールを持ったジェフェルソンが、マークに付かれながらもドリブルで中に切れ込み、そのまま強烈なミドルシュート。これはGK・上福元が見事なセーブで防ぐが、その後も上福元の忙しい時間は続く。12分には山形のクリアの処理を誤ったボールがDFライン裏にこぼれ、これを拾ったジェフェルソンがPA内に持ち込むが、上福元が良い飛び出しを見せて何とかセーブ。18分にも縦パスにジェフェルソンが反応するが、狭い角度からのシュートは枠外。山形は序盤で先制点のチャンスを逃し、試合はそのまま膠着した展開となる。山形が5-4-1のブロックで守る一方、東京Vは攻撃時は3トップの布陣ながら、守備時は小池が中盤に吸収されて4-4-2になる変則システムで対応。どちらも守備に関してはしっかり決めごとがありそうな一方、攻撃は個人の打開に依存する部分が大きく、こういう試合は膠着するとなかなか動かない。その後は大きなチャンスがなく、試合はスコアレスのまま前半を終える。
前半を無失点で乗り切ったことで、東京Vにも後半に付け入るチャンスがあるかと思われたが、なおも山形の守備が堅く、試合はスコアレスのまま推移。東京Vはボールを支配してアタッキングゾーンまでは運ぶものの、ゴール前へチャンスに繋がるボールを入れることができない。一方の山形は、80分に中盤でのこぼれ球に東京Vの対応が曖昧になったところを途中出場の髙木が奪い、2vs1の数的有利なカウンターが発動。南に預けてからのリターンパスで抜け出した髙木がGKと1vs1になり、後は決めるだけという場面を作るが、髙木のシュートは左のゴールポストに阻まれてしまい、山形もチャンスを生かせない。82分、山形は右WBの半田に代えて柳を投入。守備ではしっかりタスクをこなしていた半田だが、攻撃面ではまだまだという感じ。今後に期待したい。代わって入った柳には当然のことながらオフェンス能力が期待され、ここが突破口になることを祈っての采配だったはずだが、更なる決定機を作ることはできず。東京VもATに入ってからクロスボールをレアンドロが落とし、中央で完全にフリーの井上が押し込もうとするが、シュートは大きく枠の上に外れて得点ならず、試合もこのまま0-0で試合終了。東京Vのこの試合の枠内シュート数は「0」だったらしいが、最後のチャンスはまさに一発を仕留めきれない東京Vの拙攻を象徴しているかのようだった。両者良い守備は見せたものの、攻撃面では上位進出に向けて大きな課題を残す勝点「1」となった。