J1リーグ戦3連勝中の首位・東京は、8月のホーム3連戦の最後となる試合。C大阪・仙台という難敵を退け、今節は5位・広島との対戦だ。今節を終えると、ラグビーW杯で味スタが使用される関係で11月までアウェイ8連戦となるだけに、この一戦を勝利で飾って気持ちよくロードに出たいところ。ミッドウィークに行われた天皇杯の試合では、J2の甲府に0-1で敗れて早期敗退の憂き目に遭い、しかも怪我から復帰したばかりの小川が再び負傷して戦線離脱することになった。この悪い流れは、早いうちに断ち切っておきたい。対戦相手の広島は、リーグ戦で目下8試合負け無しと絶好調。4月に行われた第8節の試合では東京がアウェイで0-1と勝利し、広島の開幕からの無敗記録をストップしている。東京がその時の再現を見せるか、あるいは広島が勢いのままに押し切るのか、注目度の高い試合だ。
前半は広島がボールを保持しながら様子を窺う展開。東京は前から連動したプレスをかけにいく場面もあるが、広島も冷静かつ丁寧なパスワークを見せて東京のハイプレスを無効化。東京は自陣でブロックを構築して跳ね返す場面が増える。対する広島も守備では5バックで自陣をがっちりと固め、互いにカウンターのチャンスはほとんど無し。39分、広島の右CKに野上がヘディングで合わせ、林が正面でセーブした場面が、前半の数少ない決定機だった。このまま0-0で前半終了。
後半に入っても依然として広島が持つ時間が続き、東京は我慢の続く展開。広島は57分に東を下げて青山を投入し、川辺をボランチから1列前に配置代えする。すると61分、左サイドの柏がハーフスペースに入り込んだ川辺とのワンツーでエリア内に侵入し、走り込んだ勢いのままニアにパワーシュートを叩き込んで0-1。拮抗した内容に風穴を開ける。追いかける展開となった東京は、直後に三田とジャエルを同時に投入。広島がスペースを埋めてくることは容易に想像できるので、永井のスピードよりジャエルのテクニックで勝負する方が理にかなっている。65分にはCKの流れから二次攻撃を仕掛け、室屋の右からのクロスにGK・大迫が飛び出すが僅かに届かず。飛び込んだジャエルが頭に当てるが、シュートは僅かに枠の左を外れてしまいチャンスを逃す。結果的には、この攻勢をかけた時間帯を広島が乗り切ったのが勝敗の分かれ目になった。東京は最後の切り札でサンホを左サイドに投入したが、広島もすぐさま対面にサロモンソンを投入。交代策に交代策で応じてくるあたりはさすが城福監督、憎らしいほど現実的な采配だ。セットプレイのチャンスも何度か得られたものの、81分の三田のFKに合わせたジャエルのヘディングはGKの正面。88分に正面で得たFKも、サンホが狙ったシュートはまたもGKの正面。最後まで広島の堅い守備をこじ開けることができず、0-1で試合終了。左サイドで仕上げる得意パターンから1点を着実に奪ってきた広島が大きな勝点「3」を獲得した。東京は攻撃で「見かけ上の迫力」は作ることができていたが、広島の現実的な守備戦術を前に敢えなく無得点。アウェイ連戦を前に不安の残る敗戦だ。2位の鹿島は大分に1-0で勝利したため、東京との勝点差は一気に「4」まで詰められた。この貯金を手に、どこまで逃げ切れるか。リーグ戦はここからが正念場だ。