週1ペースのリーグ戦が続く中、水曜ナイトゲームで行われる天皇杯3回戦。現在J2の7位につけている甲府は、原則として対戦カードの下位カテゴリ側のホームで試合を行うという規定により、J1で首位の東京を中銀スタに迎えての一戦だ。ただでさえ集客の難しい天皇杯の平日ナイトゲームに加え、西日本への台風接近に伴い、試合前まで強い雨が降る不安定な気象条件の中となったが、中央本線と中央道が寸断されることもなく、自分も電車で時間をかけて小瀬に到着。東京ファンも多く駆け付け、5,000人近い観客を集めての試合となった。J1昇格プレーオフ圏内の6位まで勝点「2」差と激しい順位争いが続いている甲府は、直近のリーグ戦からスタメンを全員入れ替え、主力組はお休み。東京も先週末の仙台戦から林・渡辺・髙萩を除く8人のスタメンを入れ替えて試合に臨んだ。
試合の入りは、東京が手堅い守備で甲府の攻撃を抑え、得意の速攻でチャンスを窺う展開。何度かサイドの突破を許すものの、クロスボールに対しては安定した対応を見せ、左サイドでスタメンとなった羅相浩が縦の突破から中にボールを送り込むなどチャンスを作る。対する甲府も自陣には常にDFを残し、安易に速攻を食らわないようしっかりと保険をかけた守備。東京はJ3のU-23チームで結果を出している原を2トップの一角で起用し、スピードのある田川と組ませるが、相手の守備を前になかなか仕事をさせてもらえない。東京の攻撃の手が少しずつトーンダウンし、様子見の色が濃くなると、徐々に甲府もリズムを取り戻す。中盤でボールを奪う場面が多くなり、アタッキングゾーンまでボールを運ぶ時間が増え、東京は受け身の時間帯。前半は何とか東京が持ちこたえ、0-0で折り返す。
後半に入り、先に試合を動かしたのは甲府。56分、左サイドでボールを持った森が中へ切れ込むドリブルを開始。東京もマークを寄せてボールを奪おうとするが、丁寧なタッチでプレスをかわした森がそのままフィニッシュに持ち込み、甲府が1点を先制。この少し前にも森にカットインからのシュートというチャンスを作られていた東京にとっては、同じ形からゴールを許してしまうこととなった。攻める必要が出てきた東京は、すぐさま橋本とジャエルを投入。なかなか攻撃のスイッチを入れられない中盤と前線のてこ入れを図る。しかし、リードを奪ったことで後は割り切った守備に転じることが可能になった甲府の5-4-1の守備を前にアタッキングゾーンへ運ぶ途中でボールを失う場面が多発。サイドからの崩しやセットプレイの場面でも、ゴール前へ入れるボールの精度が上がらず、甲府の守備に淡々と跳ね返される場面が続いた。終盤には交代カードを使い切った後に小川が相手選手との接触で負傷し、ピッチに戻ることができず。数的不利な戦いを強いられ、決定機を1つも作れないまま試合終了のホイッスルが吹かれることになった。甲府は控えメンバー主体ながら、アグレッシブな姿勢から試合の流れを引き寄せ、堂々のベスト16進出を果たした。東京は前半途中からの低調なリズムを最後まで上げることができず、2年連続の天皇杯3回戦敗退。ボールを持たされる試合展開で局面を打開することができず、選手層の薄さが浮き彫りとなった。