前節の勝利で再び上昇気流に乗りたい東京は、今節からホームでの3連戦。ただし相手はC大阪・仙台・広島と、あまり相性の良くない相手が続く。願わくばここを3連勝で乗り切りたいところだが、そう簡単にうまく事が運ぶとも思えない。いずれにしても、その初戦にあたる今節が重要な試合であることに変わりはない。迎える相手は、5月にアウェイで今季リーグ戦初黒星を喫したC大阪だ。リーグ戦に限れば、C大阪がJ1復帰した2017年シーズン以降一度も勝利できておらず、データ上は苦手な部類に入る相手である。今季のルヴァンカップではプレーオフステージで既に対戦しており、2戦合計2-1で勝ち抜いたが、レギュラーメンバーが揃うリーグ戦となれば話が違う。今季就任したロティーナ監督が組織した鉄壁の守備をいかに打ち破るか。1点勝負のきわどい内容になることが予想される。発表されたメンバーを確認すると、小川がベンチにも入っていない。怪我でもしたのだろうか。代わりに新加入の呉宰碩が初スタメンで左SBに入るようだ。
両者慎重に入った感のある立ち上がりとなった試合だが、11分に東京が自陣でブルーノメンデスにボールを奪われ、ゴール前のピンチ。立て続けのシュートはどうにか最終ラインで跳ね返し事なきを得るが、この一連のピンチで出足の良くなったC大阪が前半を支配することになる。なんといっても怖いのはC大阪の右サイド、水沼と松田の元・東京ユニットで、5月の長居でのリーグ戦でも水沼のクロスから失点しているが、今日は対面のジェソクが守備で奮闘。さっそくチームにフィットしている感じだ。攻撃では何度かクロスのチャンスを得るが、ディエゴにも永井にもなかなか合わず、前半はほとんど思うようなサッカーをさせてもらえないまま終了。主導権を与えてしまった中での0-0は、まだ救いといえるかもしれない。HT明けの47分、東京は室屋の攻撃参加から東がPA内でボールを受け、ゴール前へふわりと上げるクロス。これに相手GK・金鎭鉉が飛び出すが、僅かに早く競りにいった永井の頭が僅かに早くボールに届き、ヘディングシュートが決まって1-0。ここまで劣勢だった東京が後半開始直後のワンチャンスを決めて先制に成功する。こうなれば後は「いつもどおり」に進めるだけだ。C大阪がボールこそ保持するものの、東京は淡々とファストブレイクを狙って跳ね返し続ける。68分、東京は左サイドで直接FKを獲得すると、直前に投入さればかりの三田が得意の左足で競り合いの密集へ合わせるボールを入れる。これに森重が飛び込み2-0。セットプレイで追加点を奪い、リードを広げることに成功する。C大阪はロングボールを跳ね返され、攻撃のリズムを作れない。仕上げは後半AT2分、東京はジャエルのアシストをディエゴが決めて3-0。C大阪にとどめを差し、これで勝利を確実なものとした。苦しい内容の前半からは想像できないような効率の良さでゴールを積み重ね、3-0で試合終了。ホーム3連戦の頭で勝点「3」をしっかりとキープすることに成功した。
「終わったときには勝っていた」、そんな感じの試合だった。立ち上がりに自陣でメンデスに奪われて許したピンチから一気に相手へ流れがいってしまったが、圧倒的に支配された中でも無失点でHTを迎えられたことで、逆に後半に流れを引き寄せる形になったように見えた。こういう勝ち方が出来たのはとても大きい。小川がメンバー外になった理由はよく分からないが、代わりに左SBでスタメンのジェソクが守備で安定したパフォーマンス。松田と水沼のユニットに仕事をさせなかった。ここでいきなり新戦力を起用したのはナイスアイデアだったかもしれない。ワンチャンスで先制点が入って以降は、とにかく全てが上手く運んだ。こういう試合運びができることこそ、「勝ち癖をつける」という作業を繰り返してきたことの成果なのかもしれない。試合後のインタビューでお立ち台に上がった森重は、締めの一言で「優勝しましょう!」と高らかに宣言したが、こういう試合ができるからこそ、胸を張ってそう発言できるのだろうと感じた。自分はまだ「まずは勝点60、優勝云々を語るのはそれから」というスタンスを変えるつもりはないが、今の東京の戦い方・勝ち方が優勝を狙えるだけのものになりつつあることは確かだと思っている。