J1リーグは今節から後半戦に突入。前節の横浜M戦に続き、ホームゲームでの連戦となる東京の対戦相手はG大阪だ。現在13位と低迷しているG大阪だが、直近のリーグ戦6試合負けなしと復調気味。小野瀬などの新加入組の浸透に加え、中村・髙江・食野といった若手選手を積極的に起用する宮本監督の采配が徐々に実を結びつつあり、注意が必要な相手となる。一方、2位・川崎に勝点「5」差をつけてトップに立つ東京は、今季控えの試合が多かった太田の名古屋への完全移籍が決定。今季は小川が左SBに定着したとはいえ、バックアップとしては充分すぎるくらいの戦力だっただけに、少し不安が残るところ。また、今日のスタメンにはヒョンスが控えにもおらず、渡辺がCB起用となった。首都圏外クラブとの日曜ナイトゲームに加え、雨にも見舞われるという集客に苦しみやすい条件が出揃う中での開催となったが、それにも関わらず観客数は28,209人。さすがに30,000人到達は厳しかったが、それでもこの観客数の多さは「首位効果」といえるのかもしれない。
先にゴールを破ったのはアウェイのG大阪。5分、小野瀬の仕掛けを起点に攻め込むと、一度左サイドに流れてからの矢島のクロスを小野瀬がPA内で受けてニアに叩き込み0-1。東京にとっては前節の横浜M戦に続き、またしてもハーフスペースにフリーで侵入を許して先手を奪われた形だ。序盤は黄義助とアデミウソンの2トップの前からの圧力に加え、2列目の選手の攻撃参加への対応にも苦しんでリードを許す展開。しかし今日の東京はここから冷静な試合運びを見せる。左サイドのサンホへシンプルにボールを蹴り、G大阪の後方のスペースを突いたのだ。38分、そのサンホが左サイド深くでボールを持つと、1人でマーカーを振り切って中へ侵入。ラストパスは相手選手に当たってこぼれた所に詰めていた永井がダイレクトで押し込み、1-1の同点。更に40分、再び左サイドのやや浅い位置でボールを受けたサンホが高速クロスを送り込むと、中央の永井が頭で僅かにコースを変えてゴール右隅に叩き込み2-1。ものの3分間で一気に東京が逆転し、前半を折り返す。後半、G大阪は頭から遠藤を投入して攻撃の構え。51分にはその遠藤の直接FKからゴールネットを揺らされるが、相手にファウルがあったようでゴールは認められず。東京の選手の主審への鬼気迫るアピールに、スタンドからは自然と大きな拍手が起きる。するとここから再び流れは東京へ。60分、PA内まで侵入した永井のマイナスの折り返しをフリーのディエゴが決めて3-1。ゴール前にサンホが入り込んで相手マーカーを引きつけ、その後ろのディエゴをフリーにするという完璧な崩しだった。その後は再びG大阪が主導権を握るものの、決定的なチャンスはほとんど作らせず。73分にはG大阪期待の若手の一角・食野が登場するが、アデミウソンがポジションをトップ下に近い位置へ下げたことで逆に怖さが無くなった印象だった。このまま3-1で東京が逃げ切りに成功し、ホームで2連勝。首位の座をキープした。
決して簡単な試合ではなかった。距離を詰めて中央を固める守備を横からこじ開けられて失点した小野瀬の先制点は、前節に近いパターン。更に2トップと攻め残った中盤の選手がボールを激しく追ってくるG大阪の守備にも手こずった。雨の影響で読めないボールの動きも嫌だったはずだ。しかし、そこで動じずに裏のスペースを使うことができたのが今日の最大の勝因だったと思う。前節から東とサンホのサイドを入れ替えているが、この配置転換が怖いくらいに当たっている。左サイドで持ったときのサンホがこれほどまでに強烈な輝きを見せるとは、良い意味での想定外だったのではないか。特に序盤に厄介だった小野瀬と髙江の右ユニットを背後から切り裂き、結果的に2人とも途中交代に追いやったのは、痛快以外の何物でもなかった。後半にディエゴの追加点が入ってからは防戦一方になったが、不思議とやられる感じはしなかった。守備のブロックを横方向に揺さぶって崩そうとする相手の仕掛けに対し、前半以上にボールとの距離を詰めて激しく守れていたように見えた。立ち上がりはいきいきとプレーしていたG大阪の前線の選手たちも、後半に「撤収」モードに入った東京の守備陣を前にしてはかなり窮屈そうだった。東京はこれで5/18の札幌戦以来となるリーグ戦連勝。一方、同時刻で鳥栖と試合をしていた川崎は0-0のスコアレスに終わり、代わって2位に浮上した横浜Mとの勝点差は「6」に広がった。次節は再びホーム。川崎との上位決戦が待っている。