激戦となった週末の横浜戦から中3日、天皇杯の初戦となる2回戦。例年、初戦はカテゴリが下となる都道府県代表が相手となるため、メンバーを入れ替えつつ結果だけは出す、というのが定石となるところだ。例年どおり、上層席が開放されない場合は、まったりと観るため下層ビジター側に着席。発表されたスタメンはリーグ戦から全員入れ替えるかと思ったが、橋本だけはレギュラー組で唯一のスタメン入りとなった。それだけ信頼が厚く、逆をいえば、替えがきかない選手ということなのだろう。他にも永井や小川がベンチ入りしているが、できれば彼らを起用せずに試合を終えたいところだ。初戦の対戦相手は神奈川県代表の桐蔭横浜大学。例年激戦となっている関東大学1部リーグにあって、毎年安定していた成績を出し続けている大学だ。県大会にJ3勢が参加している中で勝ち上がってきたのだから、簡単な相手ではない。ただ、最近大学サッカーをあまり追えていないこともあり、申し訳ないが桐蔭大の選手のことは全くといって良いほど知らない。メンバー表を見ても知っているのは川崎への加入が内定しているイサカくらいだ。
想定はしていたが、試合は東京がボールを「持たされる」展開。前半の立ち上がりから東京の選手がボールを持って少しでも後ろを向くと、桐蔭大の選手が一気に寄せてくる。きっと約束事なのだろう。2トップの矢島と兪仁秀も足元に欲しがる場面が多く、裏へ走る場面が無いため、後ろでパスを回す時間が続く。20分、痺れを切らしたか、橋本がドリブルで前へ持ち運び、ワンツーで抜け出して決定機となるものの、シュートはクロスバーに弾かれて先制ならず。この勢いで先制までいきたいところだが、桐蔭大も自陣に4-4のブロックをセットしてスペースを与えず、これ以上のチャンスを与えようとしない。結局、前半は東京も強引に相手陣内をこじ開けようとはせず、0-0のままHTに入る。スコアレスのまま長時間引っ張るとワンチャンスでの失点が怖いところだが、均衡が破れたのは後半の立ち上がり。50分、左サイドから矢島のポストプレイを受けてPA内に侵入した内田がニアにシュートを叩き込み1-0。時間は掛かったが、リードを奪うことに成功する。このまま相手が前に出てきたところで追加点を狙っていきたいところだが、その後はなかなかチャンスを作れず、結局71分に永井・小川の2人を投入。できれば温存したかったが、確実に勝利を拾いにいくという狙いだろう。その後も東京がチャンスを作るが、75分に迎えた矢島のフリーのシュートチャンスは大きく枠の上。今季未だトップで得点を挙げられていない矢島の焦りが見えるが、結局矢島はジャエルと交代。FWで出ている以上はそろそろ結果が欲しい。試合終盤になると、得点の欲しい桐蔭大が猛攻。東京は中盤がやや間延びして、依然として中盤で厳しく来る桐蔭大にボールを拾われる場面が目立つ。90分には桐蔭大の寺沼がゴール正面で拾って得点のチャンスとなるが、危うくシュートは枠の右に外れて間一髪。結局、1-0のまま試合終了。東京が辛くも1点を守り切り、桐蔭大の挑戦を退けて3回戦進出となった。
イーブンな立場で見れば、桐蔭大が狙いを定めてプラン通りに試合を進められた試合だったのではないか。中盤でしっかりとボール保持者に寄せ、ルーズボールに対しては90分間しつこくチャレンジし続けた。個人での突破に対しては脆さを覗かせたが、組織だった守備には抜け穴が無く、1点勝負になったのは必然だろう。関東大学リーグのレベルの高さを見せつける試合だったのではないかと思う。東京からすると、拮抗した勝負に持ち込まれ、何人か主力を使わざるを得なくなってしまったが、岡崎の左SB、インスの2列目、永井・ジャエルの2トップなど、今後あり得る起用法をひととおり試しつつ、結果は手堅くウノゼロ。シーズントータルで見ればまずまずといえる収穫だったのではないかと思う。前半は個人で局面を打開していくようなトライに乏しく苦戦したが、後半頭に内田がさっそくそれをやってのけ、結果を出してみせた。こういう選手がレギュラーに絡んでくれば、チームとしても勢いが出てくるのかなと感じる。個人的には、アルトゥールの使い方が難しいなと感じた試合。先週末のリーグ戦は試合を終わらせる役割で投入したが、効き目が薄かった。今日は組み立てを任される立場だったが、DFからボールを引き出しても中央を切られると早々に手詰まりになってしまう場面が結構見受けられた。ここはしばらく「実験」が必要そうだ。課題はいくつか持ち越しにはなったが、カップ戦はまず勝つことが重要。次の3回戦はどのように臨むのか期待したい。