首位・東京にとって、正念場の一戦がやってきた。前節、ホームで神戸に0-1で敗れてしまい、2位で追う川崎との勝点差は「5」。これ以上差を詰めさせると、首位の座が危うくなってくる。なるべく貯金を取っておくためにも、連敗だけは避けたいところだが、今節の舞台は東京にとってかなり相性の悪い地でもあるユアスタ。ホームの仙台は、現在13位と苦しんではいるものの、前節はアウェイで松本に1-0と勝利。これが今季アウェイでの最初の勝利となっており、勢いをもってホームに戻ってきている。スタメンには、U-22日本代表の欧州遠征に帯同していた椎橋が復帰。最終ラインには、5月のルヴァンカップでの試合で苦しめられたシマオが君臨している。東京はこの壁を突破できるか。スタメンには右サイドに羅相浩が入り、U-22日本代表帰りの岡崎がベンチ入り。渡辺はメンバー外となった。日曜のナイトゲームということもあり、ビジタースタンドは例年のユアスタでの仙台戦と比べてやや少なめ。月曜の予定を調整して仙台に来た人も多いだろう。
前半立ち上がりの3分、右サイドで50:50のこぼれ球を奪いにいった室屋が鼻先でかわされ、あっさり縦の突破を許す。幸いにしてクロスは合わなかったが、いきなりのピンチだ。これで勢いに乗ったか、その後も仙台のペースで試合が進む。東京は東が中央に入ってボールを散らそうとするが、全体的に慎重な組み立て。下手にリスクを冒せないせいか、なかなか前線にパスが出ない。右サイドのサンホと室屋のユニットも、なんだかしっくりこない感じだ。こうなると頼みはディエゴのポストプレイ、もしくは永井の裏抜けということになるが、ここに立ちはだかるのがシマオだ。執拗な寄せに苦しみ、なかなかフリーでボールを持たせてもらえず、特にディエゴはかなりイライラした様子。共に決定機の無いまま0-0でHTに突入するが、雲行きは決して良くない。後半の立ち上がりは仙台にイージーミスが続き、東京のチャンス。51分に髙萩が狙ったミドルは枠の僅かに右。続く52分にはファストブレイクが発動し、永井が裏へ抜け出しかかるが、仙台の戻りが早く、シュートを打たせてもらえない。その後はやや膠着した展開となり、ゴールの欲しい東京は73分に大森を投入。東をボランチに落として打開を狙う。だが直後の74分、仙台はPA左に流れたボールを拾った関口がドリブルで仕掛け、フェイクを入れてからのシュートを叩き込み1-0。仙台が先に均衡を破る。「さあここから」という交代カードを切った直後の失点となってしまった東京は、78分に矢島を投入してトップ下のようなポジションに置き、4-3-3に近いシステムに変更するが、その矢島にボールがほとんど収まらず、仙台に攻め込まれ続ける。そして88分、こぼれ球に反応した小川が鼻先で奪われて蜂須賀に突破を許すと、最後は途中出場のハモンロペスにミドルを叩き込まれて2-0。地鳴りのような歓声に沸きあがるユアスタ。「終わった」―。日帰りのために帰りの新幹線が気になる時間だったこともあり、後半ATで見切りをつけて席を立つ。泉中央駅から乗り込んだ地下鉄の座席は、自分と同じで早めに見切りをつけたのであろう青赤ユニフォームで既に一杯だった。
控えめに表現しても、「完敗」。特に先制点を許して以降は、何もさせてもらえないまま今季初のリーグ戦連敗。首位の座が大きく揺らぐ手痛い敗戦だ。前半立ち上がりに球際で勝てずにピンチを招いた場面から仙台に流れを明け渡し、その流れのまま試合ごと押し切られてしまったような印象だった。本来持ち味だったはずのサイド攻撃が今日は生きず、それどころか、逆に使われだしている。この傾向は何とかしなければならない。サイドで後手を踏んだ分、今日は中央が鍵だったが、こちらも良いボールがなかなか後ろから出てこず、東が中に入ってゲームを組み立てることに。それで攻撃が機能すれば良いが、頼みの2トップがシマオに完全に封殺され、決定機といえるチャンスはほとんど作らせてもらえなかった。先制を許した後に矢島をトップ下のような位置に投入し、ボールの収めどころを作ろうとしたアイデア自体は悪くないが、結局それらのトライも功を奏することはなかった。久保がチームを離れて以降、リーグ戦で勝てていないどころか、ゴールすら奪えていないのは事実であり、攻撃面は何としても立て直さなければならない。しかし具体的にどうすれば良いか、今日の内容からは解決の糸口が見えなかった。ユアスタからの帰京の新幹線はだいたい憂鬱な気分で乗り込むことが多いが(笑)、今回もご多分に漏れず。次節は祈るような気持ちで見届けることになりそうだ。