今季は比較的J2を観る機会が多いのだが、中でも特に気軽に(?)観に行くことのできる、東京Vの試合をまだチェックしていない。ちょうどこの土曜の夜に時間を作れたこともあり、今季初めて東京Vを観るための味スタ訪問となった。東京Vは今季からホワイト新監督の指揮下でのシーズンとなっているが、ここまで12位とまずまずの戦績。ただ、ロティーナ監督が率いていた昨季にJ1昇格プレーオフの決定戦まで勝ち残ったことを考えれば、少し物足りない成績だ。今節の対戦となる大宮は、現在J1自動昇格圏内の2位。先月に日立台で試合を観て以降も無敗記録を継続しており、14試合負け無しと堅実な戦いを続けている。ホームチームにとって勝点を奪うのは容易ではない相手だが、ここで大宮に勝つことができれば、チームに勢いがつくという状況だろう。スタンドに詰めかけたサポーターの数は、ビジター側のオレンジ色が優勢か。大宮にとって味スタは相性の良いスタジアムなので(笑)、気持ち的にもなんとなく足を運びやすいのかもしれない。
試合の立ち上がりはやや東京Vが攻勢。中央からボールをサイドに散らして、DFラインが整うよりも少し早いタイミングでクロスやシュートを狙っていく場面が何度か見られる。ただ、これは大宮の守備が慌てずに対応。徐々に大宮が流れを引き寄せていく。大宮の攻撃は、前線で待つフアンマにボールを収めてから周りが押し上げていく形。特にボールに多く絡むのは、ここ2試合で2ゴールと売り出し中のプロ2年目・奥抜と、今季水戸からレンタルバックで戻ってきた小島の2人。37分にはフアンマから小島を経由して奥抜がシュートに持ち込む場面を作るが、惜しくも決めきれず。結局、0-0のまま前半を終える。後半に入っても試合の主導権を握るのは大宮。61分には、左サイドに流れたフアンマのグラウンダーのクロスに中央の小島がフリーで合わせるが、GK・上福元が身体に当ててビッグセーブ。大宮はこの試合最大のチャンスを逃す。このまま勢いで押し切りたい大宮だが、67分にフアンマが足を痛めてシモヴィッチに交代。このアクシデントは少なからずその後の試合展開に影響した。それまでフアンマを経由した攻撃を続けられていた大宮だが、シモヴィッチがなかなか試合に入れず、ボールを触る機会が少ない。大宮の勢いが少し弱まったのに乗じて東京Vも攻め込む姿勢を見せるものの、こちらも前半の一時のような勢いが無く、決定機といえる場面を作れない。なんとか押し切りたい大宮は、83分に左サイドからの三門のクロスをゴール前の茨田が受けるが、トラップの間にDFとGKが寄せてシュートコースを切り、フィニッシュは枠の上。結局、終盤のチャンスも大宮が生かすことができず、試合は0-0のまま終了。大宮のリーグ戦連続無敗の記録は15試合に伸びることとなった。
決定的なチャンスの数で比べれば、大宮にとって勝点「3」を獲り切れなかった試合だった。東京Vの攻撃は決して悪くはなかった。前半からタイミングを少し外してクロスやラストパスを入れるなど、大宮の守備のリズムを少しでも狂わせようというトライはあったように見えた。ただ、大宮の守備のクオリティが単純に上回っていた。そういう意味で、東京Vにとってドローという結果は悪くないのかもしれないが、目に見えるチャンスはほとんど無かったような気がする。東京Vのサポーターが現状をどう見ているのかは分からないが、個人的には現在の順位は妥当なところかなと感じた。大宮は、フアンマがサイドに流れてボールを収めやすいシステムにして、そこを起点に奥抜と小島が近い距離でプレイしながらフィニッシュを狙う形が多かった。プランとしては大宮の方が狙い通りにできていたのではないかと思う。ただ、大宮のフアンマへの依存度が高かった分、後半のフアンマのアクシデントによる交代はかなり手痛かったのではないか。シモヴィッチ投入後もチャンスは作れていたが、何とか早い時間帯に1点取ってしまいたかったというのが大宮の本音だろう。守備が完璧に機能していた分、攻撃が不発でも勝点「1」をキープできる手堅さはさすが高木監督のチームだが、こういう試合で突き抜ける選手が出てきてほしいところだろう。共に攻撃面で課題を残した一戦だった。