今季4度目の野津田訪問。日程的に観に行けそうなカードが野津田しか無かったのだが、これほど短期間集中で町田を観るのは久しぶりかもしれない。その町田だが、前節終了時点でJ2の15位。直近の5試合で1勝のみという状況も苦しいが、それ以上に今季の町田はホーム・野津田であまり勝てていない。まだシーズン前半とはいえ、あまりに勝てないと下の順位も気になってくるだろうし、ホームではなんとしても結果を出したいところだろう。今節の相手は、J1参入プレーオフ圏内の6位につける長崎。手倉森監督率いる長崎はシーズン開幕後に徳島から補強した呉屋が5試合連続得点中とノリに乗っており、その5試合で4勝1敗。シーズン開幕直後こそ苦しんだが、ここにきてプレーオフ圏内に食い込んできている。
前半は町田がコイントスでコートチェンジを選択。自分が観た今季の町田のホームゲーム4試合のうち、実に3試合でコートチェンジが起きている。今日に関しては夕方のキックオフということもあり、町田が逆光を嫌ったのかもしれないが、内容に大きく影響するようなものではないと思うし、サポーターにとっても後半は味方の攻撃が見えづらいと思うので、エンターテインメントとしてはどうなんだろうかと思う。いずれにしても、これで前半ホーム側に攻めることとなった町田は立ち上がりから積極的にシュートやクロスを狙っていく。しかし先制したのは長崎だった。序盤の町田の攻勢がやや落ち着いた矢先の17分、中盤でのボール奪取から前線でフリーの呉屋へパスが出て、これを難なく流し込み0-1。呉屋はこれでリーグ戦6試合連続得点だ。失点にも下を向かずに攻め続ける町田は、32分にロメロ、34分に戸高がシュートチャンスを迎えるものの、いずれも決めきれない。すると前半AT、長崎は角田のフィードをPA外で受けた呉屋が反転しながら豪快なボレーシュート。これがゴール左隅に突き刺さる。町田のマークがやや緩かったとはいえ、驚異的な身体能力を見せつけるスーパーゴールだ。前半は呉屋のワンマンショーといえるような内容で折り返し。町田は51分に中島、60分に岡田を投入して前線を見直し。するとこれが見事に的中する。62分、岡田がPA内に切れ込んでハーフスペースから中に送り込んだクロスを、ニアでカットに入った李尚珉に当たってオウンゴール。これで1点差となる。更に68分、今度は1点目と同じようにドリブルでハーフスペースへ切れ込んだロメロのグラウンダーの折り返しを富樫が押し込み2-2。町田があっという間に2点差を追いつくことに成功した。その後は町田が逆転を狙って攻撃を繰り出す時間が続いたがチャンスを決めきれず。長崎も同点とされてから交代カードを次々に切ったが、いずれも効果は乏しく、2-2のドロー決着となった。
前半と後半でガラリと内容が変化する試合だった。先制した長崎は守備で我慢をしつつ、前線で待つ呉屋の勝負強さを生かしたサッカーで見事にリードを奪うことができた。特に2点目のボレーシュートは、何度リプレイを見ても飽きなさそうな圧巻のゴール。今日の長崎は呉屋の活躍で勝点1を獲ったといっても過言ではない。一方、町田に主導権を明けあたして守勢に回った後半は危険なエリアへの侵入を許し、交代カードで再び流れを引き寄せることもできず。上位争いを続けていくためには若干物足りなさが残ったのも事実だった。町田は、前半にある程度狙ったサッカーを出来たにも関わらず2点を先行される極めて難しい試合展開だったが、後半の中島投入を境にハーフスペースまで攻め入る場面が多くなり、実際にそこから2得点を奪っている。町田にとっては得意の形であり、ホームゲームで勝てない試合の続く中では好材料だったのではないかと思う。ただ、これは長崎に関してもいえることだが、試合を勝ち切るまでの強さを示すことはできなかった。試合後は町田と長崎の両サポーター共に拍手で選手たちを迎えていたが、残りのシーズンでチームの強みをどこまで伸ばすことができるかが課題のように感じた。