リーグ戦開幕11試合負け無しでリーグ首位を快走する東京。ただし、2位以下に続く名古屋・大分・川崎もほぼ同じペースで勝点を積み上げており、油断のできない状況が続いている。今節の相手は6位・札幌。ここで迎える相手が、これまで何度も煮え湯を飲まされているペトロヴィッチ監督率いるチームというのは、少しイヤな感じだ。今週はミッドウィークに試合が無かったため、久しぶりに1週間の調整期間が取れた形。前節ベンチを外れた小川・ヒョンスに加え、出場停止明けの髙萩も戻ってきたことで、久しぶりにベストメンバーがスタメンに勢ぞろい。札幌はジェイとアンデルソンロペスが離脱中だが、直近のリーグ戦5試合で負けておらず、チームの調子は上向きだ。
前半の東京最大のビッグチャンスは23分。自陣でのボール奪取から東のスルーパスに永井が完全に抜け出すものの、具聖潤との1vs1をストップされてしまう。この時間帯で獲り切れなかったのが影響したか、前半の残り時間は低調な内容。札幌は予想通りワンチャンスをしっかり狙ってくるスタンス。距離を詰めてブロックを固める東京の守備の隙間にもたまに鋭いパスを通してきたかと思えば、福森から高精度のクロスが上がってくるなど、ピンポイントを突いた攻撃が怖い。それでもHTを挟んで迎えた59分、久保の仕掛けからPA内を攻め込み、一度は防がれるものの、相手のクリアミスを突いたこぼれ球を小川がパワーシュートで叩き込み東京が先制。相手の集中力が一瞬切れたような感じはあったが、形はどうあれ1点だ。小川は3月の鳥栖戦の先制点(結果はオウンゴール)にも大きく関与したが、スコアラーとして記録されるのは今季初。重要な局面でちゃっかりゴール前に詰めているポジショニングにはセンスを感じる。何はともあれ、これで試合運びは楽になった。先制直後の63分にチャナティップの決定的なシュートを林が食い止めると、69分に速攻から久保が右からドリブルで仕掛け、最後はPA内から具聖潤のニアを撃ち抜く冷静なシュートを決めて2-0。前節に大仕事をやってのけた久保はプレイにかなり余裕が出てきた。1ヶ月、いや1週間単位でぐんぐん成長しているように見える。分かってはいるが、末恐ろしい存在だ。久保の追加点によって試合の趨勢は決した感があり、残りの時間は札幌の攻勢もあったが、ビッグチャンスは与えずに試合終了。東京が5試合連続のクリーンシートを達成して勝点「3」を確保した。
今日の東京の勝因は前節と同じ。0-0の堅い試合展開でも集中を切らさず、そして焦れずに戦うことができた。その1点に尽きる。できれば前半の永井のチャンスで先制しておきたかったが、それを逃がして一時的に札幌へ流れを渡してしまっても、後半粘り強く戦えていた。前節はセットプレイの流れからの1点だけにとどまったが、今節は流れの中からも得点を奪うことができ、再び攻撃にも勢いが戻ってきたように感じる。守備の安定感は相変わらずで、少し戦列を離れていたヒョンスが戻ってきても全く違和感は無し。札幌も非常に怖いサッカーをやってきたし、危ない場面が無かったわけではないが、多少の不安を残しながらもクリーンシートを達成できたのは次に繋がるはず。来週はルヴァンカップの鳥栖戦、リーグのC大阪戦とアウェイ連戦になるが、この好調を維持できることを期待したい。