リーグ戦から中3日でのルヴァンカップ、グループステージ第5節。Bグループで連敗スタートとなった東京だが、その後のホーム連戦で共に勝利し、順位も2位に浮上。この試合で勝てば、プレーオフステージ進出を確定させられる状況まで持ってきた。グループ最終戦は鳥栖とのアウェイ戦になるため、移動の負荷を考慮すれば、この試合で決めてしまいたいところだ。今節のホーム会場は、味スタの使用不可により、4月の鳥栖戦以来2度目となる秩父宮ラグビー場。前回は雨と寒さの中で感慨に浸ることもできなかったが、今日は気持ちの良い晴れに恵まれてちょうど良いナイトゲーム観戦日和となった。対戦相手はグループ首位の仙台。この試合をドローで終えれば首位通過が確定する状況となっているが、メンバーはDFラインを中心にリーグ戦からやや落としてきた印象。ただし前線には石原･長沢というイヤなターゲットを揃えてきた。東京も4日前のG大阪戦(A)からメンバーを半数程度入れ替え。髙萩･橋本･小川などは連戦による疲労が少し心配だ。

前半は一進一退の堅い試合展開。東京は21分に永井がシュートチャンスを迎える場面があったくらいで、決定機といえる場面は無し。仙台も押し気味に試合を進める時間帯はあったが、東京の若いCBコンビも石原･長沢の2トップにはそこそこ対応できている。ただ、こぼれ球をより多く拾えているのは、明らかに仙台。東京は中盤でなかなか余裕を持ってボールを持たせてもらえない。その理由はたった1つ、仙台のボランチ、シマオの守備範囲が恐ろしく広範で、かつ奪取力が高いからだ。東京も髙萩･橋本とレギュラー組を中盤で使っているにも関わらず、物凄いスピードでボールに寄せられ、ペースを握ることができない。シマオがJリーグ初のモザンビーク出身選手という程度の知識はあったが、これほど圧倒的なフィジカルを持った選手だとは予想していなかった。後半、痺れを切らした東京ベンチはHT明けから久保と東を投入。田川と久保の2トップに変更して仕切り直しを図る。61分、東京は右サイド裏の広大なスペースに流れたボールを田川が猛然と追いかけ、PAから飛び出して処理しようとした仙台の関と激しく接触。関はこのまま負傷交代となり、代わりにゴールマウスに川浪が入る。ここが勝負どころと見たか、長谷川監督は切り札にディエゴを投入。リーグ戦とほぼ同じメンバーをピッチに送り出したことで東京が猛攻を開始する。だが守備固めに入った仙台のブロックをなかなかこじ開けられない。関に代わって入った川浪は羅相浩との1vs1を止めるなどのビッグプレイも披露し、バックアッパーとしての役割を完璧にこなしていた。結局、0-0のままタイムアップの笛。大きな勝点1をキープした仙台がグループBの首位通過を確定。東京のグループステージ突破は最終節に持ち越しとなった。

スコアは0-0だが、仙台にとっては勝ちに等しいドローだった。ボランチ起用のシマオの守備面での働きがパーフェクト。なぜこの選手がこれまで仙台で出番を得られていなかったのか不思議な気もするが、起用法に悩んでいたのだとしたら、今日の試合でそれに目途が立った感もあり、リーグ戦で当たる時には注意が必要となりそうだ。東京は一部のメンバーを落としつつ、要のポジションではレギュラー組をスタメンに起用し、後半からは久保やディエゴを投入して勝ちに行ったが、結果は無得点。徒労感の残るドローではあった。ただ、守備面では渡辺･岡崎という若いCBコンビがしっかりと機能。それなりに手応えのある結果だったのではないか。最終節に思い切ったターンオーバーを敷けなくなったのは残念だが、アウェイで引き分けでもグループステージ突破という状況を作ることはできた。結果に悲観的になりすぎず、まずは次のリーグ戦に向けて切り替えることが重要だ。