5/5は複数のカテゴリーの試合が組まれていたため、早くからハシゴ観戦をしようと目論んでいたのだが、考えた末に選んだのは東伏見→野津田のハシゴ。東伏見で行われるのは、昨年まで「早稲田ユナイテッド」の名前で社会人チームとして活動していた早大ア式FCが、ホームグラウンドにさいたまSCを迎えての一戦だ。早稲田ユナイテッドが今季から早稲田大の学生主体チームに変わったということで、一度観ておくのは悪くない。東伏見の観客席はごく少数なので、気持ち早めに東伏見へ向かったが、観客席はさいたまSC側が早々に満席。辛うじて早大側に僅かなスペースを見つけ着席させてもらう。天候は快晴。午前中のキックオフながら強い日差しが照り付けており、まるで初夏の陽気のよう。選手にとってはやりにくい条件だ。リーグ戦の状況を整理すると、ここまで3試合を消化し、早大は1分2敗、さいたまは1勝2敗と近い戦績。どちらも勝利で勢いをつけたいところだろう。
試合が始まり、両チームの選手の並びを確認しようとしていると、いきなりさいたまのボランチ・飯野がPA内で倒されてPKの判定。これを飯野自身が決め、さいたまが幸先良く先制する。追加点もあっという間だ。10分、先制点を決めた飯野が右サイドで起点となり、石神に縦パスを供給。そのまま石神が切れ込んでフィニッシュを沈め、さいたまのリードが2点に広がる。まだピッチで起きている全容を把握できているわけではないが、早稲田が中盤で相手を全く捕まえられていないことだけは明らかだ。一方のさいたまは、中盤で早稲田にしっかりとプレスをかけてボールを蹴らせ、冷静沈着にボールを回収して自分たちの攻撃に繋げている。30分、今度はさいたまのハイプレスが見事に機能してショートカウンターが発動。2点目を挙げた石神がPA内に侵入したところを早稲田のDFがスライディングで倒してしまい、この試合2度目のPK判定。これをFWの貴島が決めて0-3。早稲田も38分にようやくPAへ攻め込んでPKを獲得し、1点を返して前半を終えるが、ここまでの内容はさいたまが圧倒している。後半に入ってもさいたまがゲームを支配する展開は変わらない。57分にはCKから石神がこの日2点目の得点を奪い、スコアは再び3点差。その後は早稲田がこぼれ球を拾えるようになり、攻め込もうとする場面は増えたが、消耗の激しい時間帯でさいたまが上手くボールを持たせていたようにも見えた。厳しい終盤の時間帯も自陣のブロックを固めるさいたまに対し、早稲田は追撃の得点を挙げることができず。結局、1-4のまま試合終了となった。
端的に言って、内容・結果共にさいたまの「完勝」といえる試合だった。早稲田の守備が落ち着かない前半立ち上がりに早々と2点を挙げ、試合の趨勢を決めた。後方でのパス回しにも余裕があったし、中盤でボールを持たれても厳しいプレスで全く早稲田に流れを明け渡さず。まさに大人のサッカーを見せたと思う。中でも、右サイドや前線に数多く顔を出し、2得点かつPK奪取にも絡んだ石神がこの試合のMVPで間違いないだろう。石神は早稲田のOBでもあるらしく、まさに先輩の貫禄を示したといえるのではないだろうか。一方の早稲田は、守備の修正に時間を要している間に試合を決められ、屈辱の大敗。後半は修正できたように見えたが、攻撃で目立ったチャンスを作ることができないままタイムアップの笛を聞くことになった。ア式蹴球部内でのチーム作りの体制はよく分からないが、試合中に客席から観ていた学生スタッフがベンチにアドバイスを送ったり、HTにも選手間で議論が多く行われたりするなど、社会人チーム相手にいかに戦うか、手法を探ろうとしているように見えた。試合内容は決して褒められたものではなかったし、社会人チームとしての早稲田ユナイテッドが無くなってしまった点については思うところもあるが、学生主体でのチーム運営が行われている点については好印象が残った。