関東大学リーグの開幕節。本格的な春の訪れを感じさせる晴天に恵まれた日体大Gでは、2部・青山学院大学と慶應義塾大学の対戦。両チーム共に1部所属経験のある実力校ながら、昨季の2部では青山学院が6位、慶應が7位と共に成績が振るわなかっただけに、両校共に今季こそ1部昇格を果たしたい。日体大Gのスタンドは学生応援席にまで一般客が溢れる、なかなかの客入り。開幕節ということもあってか、慶應側のスタンドはチアを動員して雰囲気を盛り上げる。
前半の立ち上がりは青山学院のペース。1トップの大竹に対してロングボールを供給し、2列目以降の押し上げを狙ったサッカーを展開する。最初は守勢に回った慶應だが、その大竹に対しては執拗な寄せで前を向かせず。キックオフから時間が経つと、徐々に前から連動したプレスで青山学院の攻撃を止め、反撃のリズムを掴む。そんな中で迎えた31分、慶應は相手GKのスローイングからの攻撃に猛プレスをかけ、左サイドでボールを奪った橋本がドリブルで縦方向へ一気に突破し、PA内に侵入。グラウンダーの速いクロスを中に送ると、ニアでカットに入った池庭のクリアボールがオウンゴールとなり、慶應が1点を先制。オウンゴールながら見事なショートカウンターを繰り出して先制した慶應が、リードして前半を折り返す。
後半、スコアは早い時間に動く。開始からほとんど時間の経たない47分、青山学院は中盤でフリーとなった尾ノ上がど真ん中を射抜くスルーパスを前線の大竹へ送り込むと、完璧に抜け出した大竹がGKとの1vs1を冷静に決めて1-1の同点。前半のラフなボールへは問題なく対応できていた慶應DF陣が、意表を突く縦パス1本で崩されて追いつかれてしまう。再び守勢に回る時間の続く慶應は、60分にこの日最初の交代カードでピーダーセンを投入して1トップに据える。この采配は見事に的中、慶應はピーダーセンが前線でボールの収め、ロングカウンターを繰り出せるようになった。81分、慶應は自陣でボールを奪うと、短いタッチ数でパスを繋ぎながら縦に早い攻撃で相手陣内へ攻め込み、最後はドリブルでPA内に侵入した橋本が相手DFと縺れるように倒れ、これがPKの判定。それほど当たりの激しい場面ではなかったが、橋本の仕掛ける姿勢が勝ち越しのチャンスを生み出す。PKを獲得した橋本自身がシュートをゴール左隅に沈め、試合終盤で慶應が再び2-1と勝ち越しに成功。残りの時間は青山学院がロングボールを織り交ぜながら攻撃を仕掛けたが、慶應の守備が崩れず、そのままタイムアップのホイッスル。慶應は前後半共に守勢に回る時間帯が長かったものの、ピーダーセン投入によって生まれた攻撃のリズムから少ないチャンスをしっかりとゴールに繋げ、開幕戦で勝利。一方の青山学院はビルドアップの段階で相手の守備にかけられた時間帯で先に失点してしまったことが響き、黒星スタートとなった。