前節、アウェイ・浦和戦で終盤まで1-0とリードしながら、ラストプレイで同点に追いつかれてしまった東京。ショッキングなドローから1週間、第6節はホーム・味スタに清水を迎えての試合だ。前節の結果を引きずらないためにも勝利で再び勢いをつけたい一戦。スタメンには久保が復帰し、開幕からのベストメンバーを揃えて臨む。対する清水は、リーグ戦5試合を終えて未だに勝利無しの17位に沈む。攻撃陣はまずまずの結果を出している一方、失点はここまでリーグワーストの「14」。守備の立て直しが喫緊の課題という状況が続いており、まずは守備をしっかりと機能させたい試合だ。
試合は立ち上がりから東京がボールを支配。5分に久保が右サイドからドリブルでPA内に侵入しシュートに持ち込む場面を作ると、15分にはカウンターから抜け出したディエゴがドリブルでゴール前まで迫るチャンス。19分には正面からやや右寄りの近距離の直接FKを森重が蹴り、GK・六反が弾き出して防ぐ。しばらく東京のチャンスが続いたが、この攻勢が弱まると、一転して清水にもチャンス。26分には東京の攻撃を中盤でカットしてショートカウンターを仕掛け、DFラインの裏でスルーパスを受けた鄭大世がGKと1vs1という絶好のチャンスを作るが、流し込むだけのシュートはゴール左ポストに弾かれて先制点ならず。結局、前半は東京がボールこそ支配したものの、決め手に欠く内容が続き、0-0のままハーフタイムを迎える。
後半、試合はいきなり動く。47分、清水は右サイドの高い位置でボールを受けた金子が下がり目のアウグストへ繋ぎ、クロスを北川がヘディングシュート。ループ気味の軌道となったボールがゴール左隅に入り、アウェイの清水が1点を先制する。嫌な形で先制点を与えてしまった東京は、60分に羅相浩とジャエルを同時に投入。羅相浩をサイドに置く代わりに、東を1列下げてボランチの位置に据える。この采配は見事に的中、中盤の底からボールを引き出せるようになった東京がサイドから徐々に清水を追い詰めていく。75分、左サイドに流れたディエゴにボールを入れると、ディエゴの折り返しをニアに飛び込んだ羅相浩が押し込み、1-1の同点。ボランチの位置で効果的な潰しを見せていたアウグストをサイドに引っ張り出したことで中にスペースを作り出すことのできた象徴的な場面だった。更に86分、中盤の底でフリーでボールを持った東の縦パスを受けたディエゴがジャエルにボールを預け、ジャエルはマーカーを背負いながらもDFラインの裏へボールを送り込む。これに反応して走っていたディエゴが抜け出すことに成功、六反の頭上を抜く鮮やかなループシュートを決め、土壇場で逆転。残された短い時間も守り抜き、2枚替えの采配が的中した東京が2-1で試合を制した。他会場で同じく勝利した広島が得失点差で東京を上回ったため、首位奪回とはならなかったものの、前節のドロー決着の悔しさを結果に繋げた東京が今季無敗をキープ。一方の清水は終盤の東京の攻勢に耐え切れずに逆転負け。J1リーグ戦で唯一の今季未勝利となり、最下位に後退することとなった。