インターナショナルウィークによる中断を挟み、2週間ぶりの開催となるJ1の第5節。前節、ホームで名古屋を1-0で下し勝点「10」の首位に浮上した東京は、浦和とのアウェイゲームに臨む。浦和は現在勝点「7」の8位。開幕2試合は勝利に見放されたものの、その後は松本・C大阪とのアウェイ2連戦で2連勝と調子は上向き。中断期間中に取り組んだ4バックへのシステム変更がどう出るか。一方の東京は日本代表から戻った室屋と橋本がスタメン入りしたが、U-22日本代表のミャンマー遠征から帰国直後の久保がベンチスタート、代わって大森がスタメンとなった。2003年シーズン以来、久しく勝利から遠ざかっている埼玉スタジアムでの浦和戦。今度こそ攻略はなるか。
試合は90分間のほぼ大半に渡り、浦和がボールを支配した。守備時は4バックで自陣を固める一方、攻撃時には右サイドの長澤が中に絞って中央での組み立てに参加し、同時に右SBの森脇の攻撃参加を促す変則的なシステム。守備側にとってはマークに混乱を生じやすい状況が続く。序盤の東京は早いタイミングで自陣へ撤収して跳ね返す場面が続くが、試合が落ち着いてくると前からの連動したプレスが徐々に機能。浦和のパスミスを誘ってボールを奪い、一方的な内容にはさせない。互いに守備がセットされた状況での攻防が増え、個人の仕掛けからセットプレイのチャンスは何度かあったものの、どちらも集中した守りを見せ、スコアレスのまま前半を折り返す。
後半、浦和は柏木に代えてマルティノスを投入。左サイドを強化して東京の守備をこじ開けようとするものの、東京もその裏を狙った効果的な攻撃を開始。49分に室屋が右サイドを崩し、折り返しのボールを永井がフリーで受けるが、シュートは枠の上に大きく外れてチャンスを生かせず。浦和も55分に自陣からの速攻をマルティノスが運んでゴール前まで持ち込むものの、東京の守備が何とか粘り、シュートまで持ち込ませない。ゲームスピードが徐々に上がる中、62分に東京は永井に代えて久保を投入。ドリブルでボールを運べる久保を前線に据えてチャンスを窺う。そして迎えた75分、浦和の攻撃を跳ね返したボールを久保が中盤で拾うと、ドリブルで速攻開始。ディエゴへ預け損ねたボールを再び久保が拾うと、左サイドから久保をフリーで追い越した東へ絶妙なスルーパス。東がダイレクトで中へ折り返し、最後はディエゴがヘディングをゴール右隅に叩き込んで0-1。注文通りの鮮やかな速攻が決まり、東京が遂にリードを奪う。ボールを支配しながら先制を許した浦和は、82分に杉本・山中の2人を同時に投入。前線の枚数を増やして総攻撃体制に出る。東京は押し込まれながらもクリアで耐え、残り時間を着実に消化。ATに突入し、勝利まであと一息というところまで漕ぎつけた。しかし、タイムアップまであと僅かとなったAT4分、浦和は中央から左サイドへボールを展開すると、山中がダイレクトで意表を突くグラウンダーのクロスを供給。これに詰めていたのは森脇。執念のフィニッシュがゴール左隅に突き刺さり、土壇場で1-1の同点。直後に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。4バックの新システムがあまり機能したとはいえず、ワンチャンスで失点を許してしまった浦和だが、終盤の2枚替えが功を奏して九死に一生を得る勝点「1」。一方の東京は、実に16年ぶりのアウェイ・浦和戦での勝利まで「あと1プレイ」という所まで来ながら、痛恨の失点で勝利が手元からこぼれ落ちた。開幕からの無敗こそキープしたものの、選手たちはピッチに座り込み、一様に悔しさを滲ませていた。