アウェイでの開幕2連戦を1勝1分で乗り切った東京は、第3節でようやく今季初のホームゲーム。今季はラグビーW杯開催の影響で味スタの使用制限があり、前半戦にホームゲームが集中するため、このホーム開幕戦でチームに勢いをつけたいところだ。一方の鳥栖は開幕2連敗という苦しいスタート。未だに得点が無く、今季から就任したカレーラス監督にとっても難しい状況だ。今節は負傷から戻ってきた元・バルセロナのクエンカがベンチ入りしており、1トップのトーレスとのコンビで起爆剤となれるかがポイントとなる。
開始早々にチャンスを作ったのは東京。左サイドの裏のスペースへ抜け出した永井が単独でゴール前に持ち込みゴール僅か右に外れる際どいシュートを放つが、この際に永井が足を負傷。その後もしばらくプレイを続けるが、結局16分で交代。代わりに昨年まで鳥栖に所属していた田川が2トップの一角に入るが、早い段階でボールに対してプレスをかけ、かたやDFラインを早めにセットしてボールの出し先を塞ぐ鳥栖の守備に対してなかなかチャンスを作れない。鳥栖も決定機といえるような場面は訪れないものの、50:50のボールを拾って攻撃のリズムを掴み、右サイドの金崎を中心に崩しを図って押し込む場面を創出。拮抗した内容で0-0のまま前半を折り返す。
後半に入っても膠着した時間が続き、鳥栖は60分にベンチスタートだったクエンカを投入。今季初勝利を狙ったアグレッシブな采配を見せる。しかし直後の61分、東京の中央を崩す攻撃で突破を試みたディエゴに対して、背後を取られた高橋(秀)が後ろからディエゴを倒してしまい、2枚目の警告を受けて退場。数的有利な状況となった東京が一方的にボールを支配する展開となる。しかし、鳥栖はブロックを固める4-4-1ではなく、中盤で運動量のある福田を投入して4-3-2のシステムを選択。前線にトーレスとクエンカのユニットを残して少ないチャンスを確実に得点に繋げる狙いを明確にしてきた。鳥栖の勇敢な選択の前に、東京は数的有利な状況を生かせない時間が続いたが、徐々にクロスを入れる場面が増えて粘り強く攻め続けた成果が試合終盤にようやく実る。88分、右サイドからのクロスのこぼれ球に、左サイドから詰めていた小川が強引にシュートへ持ち込むと、ゴール前でカバーに入った三丸が咄嗟に反応して当てたボールは自陣ゴールに吸い込まれ、オウンゴールで東京が先制。ATには中盤でディエゴが収めたボールを大森がオープンスペースに出し、ドリブルでゴール前に持ち込んだ久保がフリーのジャエルに「決めるだけ」のラストパス。ジャエルがこれを押し込み、リードを2点に広げて駄目押し。守備も最後まで崩れず、2-0で試合終了。東京は昨年8月5日以来、久しぶりの味スタでの勝利。一方の鳥栖はJ1で唯一の開幕3連敗となった。