ルヴァンカップの開幕戦。昨季のJ1で17位に沈み、J2へ自動降格となった柏は、指揮官に再々任となるネルシーニョ監督を据えて1年でのJ1復帰を狙うシーズン。レギュレーション上、ルヴァンカップの結果がリーグ戦の数字に影響することがないとはいえ、柏はリーグ開幕の2試合で2連勝と好調のスタートを切っており、この流れを持続したい試合だ。対する東京も、リーグ戦では1勝1分と上出来の成績を残す中での試合。直近のリーグ戦・湘南戦(A)からスタメンを全員入れ替えてフレッシュなメンバー構成で試合に臨む。
試合開始と同時に、柏はDFラインに5人が並ぶ位置取り。リーグ戦で採用している4-2-3-1ではなく、3-4-2-1のシステムを採用して試合に臨んだ。サイドで東京に主導権を握らせないための采配のように思われたが、それでも前半は東京が押す展開。柏の2列目にあたる村田と山崎が積極的に前へ出てくる一方、中盤のサイドや、その後方にスペースが生まれやすく、東京はそのエリアを積極的に使ってサイドから崩す場面を作った。スコアが動いたのは30分。東京はプロデビューとなった高卒ルーキー・中村のやや浅い位置からのクロスから波状攻撃を生み、ジャエルが強引にシュートを狙ってCKを獲得。太田がゴールに向かうコースのキックを蹴ると、ニアに走りこんだ渡辺が頭でコースを変える。これがゴールに突き刺さり、0-1。渡辺のプロ初得点で東京がリードを奪う。柏はロングフィードで何度かDFラインの裏を取り、1トップのオルンガがチャンスを狙うものの、ゴールを脅かすまでには至らず、0-1でハーフタイムを迎える。
後半の立ち上がり、東京は48分に中村の攻撃参加からのグラウンダーのクロスをジャエルが狙ったかと思えば、直後の49分には左サイドからPA内に侵入した羅相浩が強烈なミドルを放つなど積極性を見せるものの、前半ほど思うように前線にボールを収められず、柏がボールを持つ場面が増えていく。すると65分、柏の右CKからゴール前のスクランブルが続き、最後はこぼれ球にいち早く反応したオルンガがセカンドチャンスを押し込んで1-1の同点。更に69分、柏は同点とする直前に投入されていたクリスティアーノが中盤の右サイドに大きく張ってボールを受けると、ゴール前に向けてアーリークロス。これが中央に走りこんだオルンガにピタリと合い、ダイレクトでゴールに叩き込んで2-1。セットプレイからの同点に加え、レギュラーメンバーでもあるクリスティアーノの投入効果が覿面の効果を発揮し、ホームチームが逆転に成功した。東京は前線の選手を交代して反撃に出たいところだが、リードを守り切る撤退戦に移行した柏の5バックを前にサイドをなかなか攻めさせてもらえず、攻撃のミスもあり、同点にできずに試合終了。結果的には、交代の手札に強烈なカードを残していた柏が押し切る形でグループ初戦を制した。一方、東京は今季公式戦で初の敗戦。途中までは充分すぎる試合内容だったが、後半に踏ん張りが効かず、攻守共に課題を残すこととなった。